
スマートフォンの登場により、金融テクノロジー(フィンテック)のスタートアップが激増している。2008年の金融危機後、ブロックチェーンとクリプトカラ ンシーの台頭により、フィンテック革命の新時代に突入している。この新しいテクノロジーの波は、決済、資金調達、または貸し出しの面での新しい代替手段を生み出している。近年、フィンテックはあらゆる金融市場のエコシステムの一部となっており、サウジアラビアをはじめとする新興市場や発展途上国がこの新たな変革の旗手となっている。
サウジアラブアでは、中央銀行であるサウジアラビア通貨庁(SAMA)が資本市場庁(CMA)と協力して、起業家や投資家に選ばれる地域のハブになることを目的に、フィンテック産業の発展を支援する「フィンテック・サウジ(Fintech Saudi)」を立ち上げている。
直近のフィンテック・サウジの年次報告書では、注目に値する興味深い統計が掲載されている。第一に、フィンテック業界は過去3年間で毎年18%以上のペースで急速に成長している。第二に、決済サービス関連が市場の3分の2、ユーザーベースでは98%近くを占めている。
第三に、個人向け金融がフィンテックの取引額の30%を占めている。また、個人向けの決済の取引額は、2023年までに330億ドルに達すると予測されることを報告書は示している。
現在、フィンテック・エコシステムの一部として、銀行、大学、企業、政府機関など54機関がパートナーとして参加している。さらに、開発、市場シェア、資金調達の面で各社区々の開発段階にあるフィンテック企業の会員リストも増加しており、現在では47社に達している。
先日リヤドで開催されたBMG財団とダール・アルヒクマの行事で、フィンテック・サウジのディレクターであるネジュード・アルムライクと会談し、フィンテック・サウジには3つの柱があることを教わった。一つ目の柱は、サウンドボックスプロセスを通じて、ツールで規制を支援すること。第二の柱は、サービス・プロバイダーがメンバーを銀行と同じように扱うことを保証するために、金融セクターのプレーヤーと緊密に連携すること。最後の柱は教育であり、学術機関と提携してエグゼクティブコースやインターンシップを提供することで、地域社会との連携を図っていくことである。
サウジアラビアのフィンテック市場が国際的な投資家にとって魅力的であることの証として、STCグループは昨年11月、子会社であるサウジ・デジタル・ペイメント・カンパニー(STC Pay)の15%の少数株主持分を2億ドルで売却することでウエスタンユニオンと合意したことを発表した。調達した資金は、STC Payの資本金に充てられ、長期的な事業拡大計画の支援に充てられる。STC Payはフィンテック・サウジのメンバーである。
私の考えでは、これまで考えられていたよりもはるかに早く、完全にデジタル化され、透明性と分散化されたグローバルな金融システムに向かっていると考えている。 フィンテック・サウジは、2021年4月にオープンするキングアブドラ金融街(King Abdullah Financial District: KAFD)に拠点を構え、サウジアラビアをユーザーフレンドリーな地域のローンチパッドにするために、地元や国際的な投資家を支援するための迅速な取り組みを継続していく。