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プーチン大統領はイランへの扉を閉めて、イスラエルへの窓を開けようとしている

会談に臨むイスラエルのベンジャミン・ネタニヤフ首相とロシアのウラジーミル・プーチン大統領(右)(AP/ファイル)
会談に臨むイスラエルのベンジャミン・ネタニヤフ首相とロシアのウラジーミル・プーチン大統領(右)(AP/ファイル)
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22 Feb 2021 04:02:57 GMT9
バリア・アラマディン
22 Feb 2021 04:02:57 GMT9

バリア・アラマディン

1月、シリア西部のラタキア近くのロシア軍基地で、シリアとイスラエルの高官の間で驚くべき会談が行われた。イランの高精度ミサイルやドローン無人機の能力が周辺地域で飛躍的に増大していることへのイスラエルの懸念がきっかけと見られる。

イスラエルはテヘランに、シリア領内でイラン軍のプレゼンスは断じて容認できないというメッセージを伝えたかったのだ。おそらく会議そのものよりも注目すべきは、シリアが燃料供給の一時停止などの行動に参加するよう、ロシア側がダマスカスに対して大規模な圧力をかけたことであろう。

一部の識者は、イスラエルとシリアの関係者を近づけようとするモスクワの執拗な努力を、和平合意の仲裁をした他のアラブ諸国と同様に行うための前触れと見ている。もしロシアがそのような取引を促進したとすれば、本質的な要素は明らかである。ゴラン高原の返還と引き換えにイランをシリアの領土から完全に引き離すことである。これは双方の立場を飲み込む程の大きな譲歩であるが、巨大な戦略的な利益をもたらすことになる。プーチン大統領がこのようにアサド大統領を足蹴にするつもりなら、既にひどく弱体化しているシリアの独裁者は拒否することができないであろう。特にシリア紛争の行方を決定的に変えたのは、2015年のロシアの介入であったことを考えるとなおさらである。

アサド政権の幹部の多くが、まるでダマスカスが自分たちのものであるかのように振る舞うイスラム革命防衛隊員からの侮辱にうんざりしているのは周知の事実である。ロシアにとっても同様に、イランは必要な同盟国からお荷物になってしまった。イランの過激派民兵が地域紛争を引き起こす限り、ロシアのシリアへの巨額の軍事投資は決して安全ではない。

一方、プーチン大統領のイスラエルへの、そして友人であるベンヤミン・ネタニヤフ首相へのコミットメントの深さは、先週ロシアが仲介した捕虜交換で再び強調された。三度目となる今回の交換は、ネタニヤフ首相が政治生命をかけて戦ったイスラエルの選挙の最中に行われた。

ロシアは、イスラエルが瞬時にシリア領内のイラン関連の標的を攻撃できるよう、シリアの空域を日常的に開放していることは明白である。米国の情報筋は、シリアの空域がイスラエルとロシアの飛行機で「飽和状態」にあると表現しており、両国間で緊密な連携があることを示唆している。ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は最近、イスラエルの指導者たちに、「シリアの領土からの脅威に直面しているという事実がある場合は、直ちに我々にその事実を報告すれば、その脅威を無力化するためのあらゆる措置を取る」と宣誓した。

バイデン政権は、シリアがロシアの影響下に収まることを容認したように見える。イランの衛星やDaeshの巣窟になるよりはマシだと考えているようだ。トランプ大統領のシリア特使だったジェームズ・ジェフリーは、「ロシアは、この地域における代替的な安全保障体制を構築するために抜け目がない。(ロシアは)イランと同様に、この地域における我々の競争相手である」と警告する。実際、バイデン大統領のアラブ指導者への働きかけの欠如は、アラブ指導者がロシアとの緊密な関係を求めることに拍車をかけるかもしれない。

当分の間、モスクワは世界の紛争における第一の挑発者である立場から姿を変え、情勢を落ち着かせる側に立つようになっていた。しかし、テヘランの熱狂的且つ絶え間ない挑発に対し、プーチン大統領が痺れを切らしている中東では事情は違うようだ。

バリア・アラマディン

バイデン大統領はモスクワとのタフな関係を標榜しているが、戦略兵器削減条約(START)に速やかに復帰したことからも分かるように、対立のための対立を求めているわけではないことは明らかである。しかし、ロシアと米国の利害が重なっても、プーチン大統領はできるだけ多くの交渉カードを手にすることを狙っており、高度な駆け引きを必要とする関係であることに変わりはない。

イランの核問題も同様である。プーチン大統領もバイデン大統領も、2015年の包括的共同作業計画(JCPOA)への復帰を支持している。実際、ロシアのラブロフ外相はイランに「感情的にならないように」と警告する一方、IAEA追加議定書からの脱退を促すなど、ロシアは表面化では、JCPOAのコミットメントに違反しないようテヘランを励ましてきた。モスクワはさらに、イランのプロキシ・パラミリタリー組織の削減を含んだ協定を拡大することに戦略的な関心を持っている。

レバノンでのロシア外交もまた、西側の努力が弱まっているように見えた後、サード・ハリリの政府樹立を支持する動きが目立ち始めている。これもロシア外交がイランの影響力を抑制する可能性のある分野である。特にモスクワがシリアでのイランの活動を抑制すれば、テヘランがヒズボラを武装・支援する能力を制限することになり、ヒズボラの地域的な野望を急停止させることになるからだ。ロシアはまた、自身の裏庭にある破綻したテロリズム輸出国家から失うものが最も大きいことから、失敗に終わったアフガニスタンの和平プロセスにも介入している。

バイデン大統領は、NATO加盟国であり、ロシアと頻繁に国益が対立するトルコに、ロシアの拡大主義を牽制するよう働きかけるべきである。アンカラはナゴルノ・カラバフで勝利したアゼルバイジャンを支援したが、モスクワ(以前はコーカサスの覇権を握っていた)が状況を落ち着かせるために介入したのは終盤になってからであった。

このアルメニア・アゼルバイジャン和平協定の一環として、「姉妹国」であるトルコとアゼルバイジャンは、アルメニアを経由した「汎トルコ超高速道路」で物理的に結ばれた。これにより、エルドアン大統領のネオ・オスマン極右政権は、ロシアと中国が排他的な影響力を持つ地域とみなしている中央アジアのトルコ系国家へのアクセスを強化することができる。軍事支援を含むウクライナとの密接な関係は、黒海地域を支配しようとするプーチン大統領の野望と対立するものである。

2017年以来、中央アフリカ共和国(CAR)はプーチン大統領のアフリカ拡大戦略の中心地となっており、この地域の広大な鉱物資源を独占するという魅惑的なオファーを提供してきた。しかし、内戦が再び勃発する中、プーチンは数百人の傭兵(または「軍事教官」)の追加派遣を余儀なくされている。

旧ソビエト諸国(特にベラルーシ、キルギスタン、アルメニア)の危機が多発し、国内の抗議運動(アレクセイ・ナバルニーに代表される)が活発化し、経済的にも厳しい見通しの中で、プーチン大統領はこれまでにないほどに脆弱で緊張した状態にあるように見える。当分の間、モスクワは世界の紛争の最大の挑発者から、精力的に火を消し、事態を沈静化させてきたのであるが、テヘランの熱狂的且つ絶え間ない挑発に対し、プーチン大統領が痺れを切らしている中東では事情は違うようだ。

シリアやこの地域でロシアが優位に立つことは、統治、自由、人権への影響を考えると、確かに我々の理想的なシナリオではない。しかし、テヘラン、ヒズボラ、Daesh、アルカイダ、その他の準軍事組織などの包括的な脅威の方が、問題は無限に悪化する可能性がある。

  • バリア・アラマディン氏は、中東と英国で数々の賞を受賞したジャーナリストであり、放送局員でもある。メディア・サービス・シンジケートの編集者であり、多くの国家元首にインタビューを行ってきた。
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