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皇太子のインタビューからサウジアラビアと米国の関係を考える

ムハンマド・ビン・サルマン皇太子がサウジアラビアのジャーナリスト、アブドゥラー・アル=ムダイファー氏からインタビューを受ける。(Screengrab アルアラビーヤ)
ムハンマド・ビン・サルマン皇太子がサウジアラビアのジャーナリスト、アブドゥラー・アル=ムダイファー氏からインタビューを受ける。(Screengrab アルアラビーヤ)
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05 May 2021 01:05:39 GMT9

サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子が自国とバイデン政権との関係についてコメントした数日後、米国がハイレベルの代表団を派遣したのは賢明な対応であった。米国代表団は5月3日(月)、サウジ高官らと会合し、バイデン政権の中東政策の「再調整」について明確な説明を行おうとした。現在必要とされているのは、このような新たな理解と認識を正しく解釈して、今後数年間の方向性を定める具体的方法に反映することだ。それにはタイミングが肝心であり、少しでも遅れを取れば政治的空白が生まれ、敵国からつけこまれ、誰もが回避したい誤解や失策へとつながりかねない。

4月27日(水)のテレビインタビューで、サウジアラビアと米国との間に意見の食い違いはあるのか、バイデン政権はサウジアラビアに背を向けてしまったのか、という問いに対し、皇太子は、二国間において100%の合意などはありえず、どんなに密接な関係にあっても、ちょうど家庭内でも同じように、メンバーの間で必ずしも見解がぴたりと合致するわけではない、と述べた。

皇太子はこう言う:「米国はサウジアラビアにとって確かに戦略上のパートナであり、80年以上もの間提携関係にある」しかし皇太子は、どの米国新政権とも、多かれ少なかれ常に意見の相違は出てくると指摘した。バイデン政権とは、諸問題の90%以上について合意しているが、残り10%未満については、今後取り組んでいくべき見解の相違があるかもしれないと言う。

両国とも二国間の提携関係の価値は認めており、1933年にサウジアラビアが米国の石油会社らに原油探査の膨大な利権を認めて以来、その関係は飛躍的に成長した。石油がきっかけとなって、両国の提携関係は防衛、政治上の相互支援、テロ対策、貿易と投資、経済協力、教育、その他共通の利害を持つ多くの領域にまで発展している。

現在直面している地域的・世界的諸問題によって、サウジアラビアと米国の提携関係はかつてなく重要となっている。例えば、安保上の空白を残していくことを回避するには、中東における軍事配備を削減するという米国の計画の実行にはさらに大掛かりな防衛上の協力が必要となる。この二国は中東問題のほとんどについて見解が一致しているが、そうした問題に取り組む上でやはり緊密な連携は欠かせない。テロとの戦いも終わってはおらず、テロ対策における両国の提携関係は継続する必要がある。エネルギーについては両国ともに主要産油国であり、石油市場の安定を維持する上で連携を保つことが必要だ。サウジアラビアは湾岸諸国およびその周辺諸国を含む中東全域における最大の経済大国であり、米国は貿易についてもサウジアラビアのような強力なパートナーを必要としている。また、気候変動や再生可能エネルギーなど、両国が指導力および同様の利害を有する新たな優先的分野もあり、それらは両国の緊密な協力体制によって大きく恩恵を受けることになろう。

しかし、皇太子が言うように、両国関係の10%未満ほどは、何らかの見解の相違がたしかに存在する。皇太子によると、サウジアラビアはそうした見解の相違にも前向きに取り組む用意があり、次のように述べている:「我々はソリューションを見つけて相互理解を達成し、見解の相違を克服する努力を行う。そうすることによって両国にとってのリスクを解消し、共通の利益を維持することになる」

皇太子は、湾岸諸国に始まり、アラブ諸国、そして中東諸国との多岐にわたる戦略上の提携関係について言及した。そして彼はこう述べる:「我々は米国、英国、フランス、ヨーロッパなど、世界中の提携国との同盟も強化しようとしており、その他にもロシア、インド、中国、南米、アフリカ諸国など、全方位的に新たな提携関係を作り上げようとしている」

そしてこう続けた:「我々はあらゆる国々との関係を強化し、我が国の、彼らの、そして世界の利益に貢献しようとしている。結局のところ、すべての国がそれぞれの選択を行う権利を持っている。彼らと協力してすべての国の利益に貢献することができれば、それは素晴らしいことだ。それができない場合には、他にも多くのオプションがあるはずだ」

米国は中東政策を再調整する一方で、米国政府がサウジ政府に歩み寄り、今後の方向性を定めることが重要だ。

アブデル・アジズ・アルワイシェグ(Dr.)

米国との10%の見解の相違は「単なる意見の食い違いなのか、それとも米国はサウジアラビアに圧力をかけているのか?」と尋ねられ、皇太子はこう述べた:「サウジアラビアは自国の内政に対するいかなる介入も許さない」そしてこう指摘した:「国連憲章はそれぞれの国が完全なる主権と独立性を有すると明確に規定している」そして「国連憲章の最も重要な大黒柱の一つが、各国の主権を尊重し、いかなる内政干渉をも禁ずる、というものだ。従っていずれかの国が他国の内政に干渉するなら、それは第二次世界大戦後の世界の平和と安定と安全を支え、過去50、60年間我々が享受してきた繁栄を保証しようとする国連憲章に違反するものである」皇太子が繰り返し国連憲章に言及するのは、国連を中心とする規則に基づいたあらゆる分野における国際秩序に対し、サウジアラビアが強くコミットしていることを表している。

米国は中東政策を再調整する一方で、米国政府がサウジ政府に歩み寄り、今後の方向性を定め、共通の利益を追求していくことが重要だ。サルマン国王とバイデン大統領の間の個人的な親しい関係によって、サウジアラビアと米国の提携関係が一段と強化され、最近の艱難苦労が克服され、差し迫っている中東内の脅威と地球的課題に取り組んでいけるようになるだろう。

リヤドへ赴いた米国代表団は、機関対機関の協力体制を強化する重要性について正しく強調した。機関同士のこうした提携関係は共通の利害のある分野における正式な合意によって強化され、二つの政府間にある10%ばかりの意見の相違についても、信頼に足る対話経路が提供されるはずだ。米国政権とサウジ政権の間の今後の変遷においても、国家間の正式な枠組みが整えられれば、外交関係の管理もよりやりやすくなることだろう。

アブデル・アジズ・アルワイシェグDr. Abdel Aziz Aluwaisheg)は湾岸協力会議の政治問題・交渉担当事務次長補で、アラブニュースのコラムニストをつとめる。この記事に記載されている見解は個人的なものであり、必ずしも湾岸協力会議の見解を示すものとは限らない。ツイッター:@abuhamad1

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