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サウジアラビアとパキスタン、再び軌道に乗る

振り返ってみると、カーン首相のジッダ訪問が意味するものは、サウジアラビアとパキスタンの関係は、2 年以上前に王子がイスラマバードを訪問した際の水準に戻っている、ということだ。(Photo by Bandar Algaloud)
振り返ってみると、カーン首相のジッダ訪問が意味するものは、サウジアラビアとパキスタンの関係は、2 年以上前に王子がイスラマバードを訪問した際の水準に戻っている、ということだ。(Photo by Bandar Algaloud)
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08 May 2021 09:05:19 GMT9
08 May 2021 09:05:19 GMT9
  • サウジ – パキスタン関係におけるこの有望な瞬間が、各最前線での局面打開という形で特徴づけられる、地域における地政学上好ましい転換の最中で起こっている。

パキスタン首相イムラン・カーン (Imran Khan) は、ムハンマド・ビン・サルマン王子の個人的な招待により、サウジアラビアを訪問している。

パキスタン陸軍幕僚長カマル・ジャビド・バジュワ (Qamar Javed Bajwa) は、高官の訪問に先立ち、リヤドを訪問した。とりわけ、経済的、貿易上、そして環境に関する協力という観点から、サウジ – パキスタン関係を大きく後押しする、とメディアが評する事案の下準備を行うためである。

このことは、両兄弟国にとって良い兆しである。というのは、両国の歴史ある友好関係は、昨年不幸な不和に面したからだ。

幸運にも、両国の首脳は非常に柔軟であり、問題を見抜いて、サウジ – パキスタン関係を再び軌道に乗せている。

確かに、この柔軟さは人と人との関係に根差している。この関係はいずれ、一時的な対立を克服し、相互に関心や利害のある問題に関する協力を続ける手助けとなる。今回もまったく変わりはない。その理由をここに述べる。

2018 年 8 月の首相選出後すぐに、カーンは王子と個人的な関係を築くことができた。

その後 2 ヵ月の間に、彼はサウジアラビアを二度訪問した。二度目は王子の個人的な招待によるもので、サウジビジョン 2030 の一環として、未来投資戦略 (Future Investment Initiative) 会議に参加するためであった。

カーンは、深刻な国際収支危機を引き継いだ。そこで、サウジアラビアは、62 億ドルの経済救済策を率先して準備した。それは、30 億ドルの融資と、32 億ドルの原油の支払い延期策であった。

 リヤドの行動をきっかけに、UAE はこれに従い、60 億ドルを準備しパキスタンに対して追加支援を行った。

2019 年 2 月、サウジ王子がパキスタンを訪問した際、カーンは彼を自らの運転でイスラマバードにある、イスラマバードの丘の上に立つ首相邸に招いた。

二人のカリスマ的指導者の個人的な相性の良さを象徴する別の例として、王子がパキスタン首相に、「私は貴国のサウジアラビア大使です」、と心から語りかけたことがあった。( 同年のち、王子はカーンに自家用機を準備して、国連サミットのためニューヨークに飛んだ。そして、サウジ – パキスタン関係が 2020 年に一時的に悪化した際にも、カーンは「パキスタンとサウジアラビアは、常に親友であり続けるだろう」、と断言した。)

2019 年のムハンマド・ビン・サルマン王子によるパキスタンへの歴史的訪問では、経済領域におけるサウジ – パキスタンの戦略的関係の大きな変化を目の当たりにすることとなった。サウジアラビアはパキスタンに200 億ドルの投資を行うことが発表され、そこには、戦略的港湾都市グワダルにおける、100 億ドルに上るアラムコの精油および石油化学コンビナートが含まれていた。

残りの投資は、採鉱および再生可能エネルギー部門におけるものであった。

これは、二国間の貿易量を増大させるための自由貿易協定への署名という取り組みと並行して行われた。貿易量は 20 億ドル相当であった。

過去には、安全保障および地政学的問題において、両国は緊密に協力したことがあったが、サウジによる経済的援助は、石油採掘権に限定されていた。現在、初めて王国は、パキスタンの長期的な経済発展に関心を示した。

  サウジ – パキスタン関係におけるこの有望な瞬間が、各最前線での局面打開という形で特徴づけられる、地域における地政学上好ましい転換の最中で起こっている。  

  アリ・アワド・アセリ博士  

とりわけ、こうした投資的関心からグワダルを選択したことは、より広範囲の地域を統合するネットワーク、中国・パキスタン経済回廊にサウジが傾いていることを示唆した。

物事の自然な成り行きとして、次なる必然的な段階は、サウジの提案する経済事業に向けた発展計画を、パキスタンで共同で実施することだった。

不幸にも、イスラム世界におけるサウジアラビアの特別な立場、そして歴史あるサウジ – パキスタン同盟に友好的でない国際軍は、両兄弟国が、その関係を別の水準にしようとしている事実を咀嚼することができなかった。両国の利害は、将来地域経済的に絡み合う可能性があったのだった。

次に起こったことは、私たちの現在の歴史の悲しい面である。それは、思い出すに値しないものだ。

しかし、述べるに値することは、サウジアラビアは現在、そして将来にわたっても、世界のイスラム教徒にとってイスラムの中心であり、他のどの国にも、「イスラム協力機構 (OIC) が、イスラム教国家 57 ヵ国を代表する唯一の機関であり、別のイスラム教連合を形成する試みが成功することはない」、などと言う権利はない、ということ、そしてもちろん、サウジ – パキスタン関係は、両国民がお互いに対して感じている好意と愛情に根差しているという事実である。それゆえ、どんな企みも、歴史的提携国として有機的に発展することを阻むことはできないのだ。

だからこそ、カシミールにおける OIC の役割についての説明が間違っていたため長い間受け入れられずだったり、パキスタンへのサウジの経済支援についての描写が良からぬ方向に描写されようとも、最終的に(2か国関係は)時の試練に耐えてきた。

幸運にも、両国には、公式および非公式の意思疎通の経路があり、両国の関係に影響を及ぼす重大な誤解や意図的な誤った情報という、あらゆる局面を克服する。

両国の絆は、両国民の意志の上に築かれているため、壊れることはない。

それゆえ、両兄弟国は、困難な時には常に協力してきた。2 つの聖なるモスクの尊厳を守ることから、テロ行為の苦しみに打ち勝つことに至るまで、パキスタンは、サウジアラビアの重要な提携国であり続けている。

同様に、パキスタンが困難に直面しようと、サウジアラビアはパキスタンに失望することは決してない。ポスト 9/11 の相次ぐテロ行為や 2005 年の破壊的な地震があったとしても、である。

また両国は、アフガニスタンにおける平和と安定の実現に向け、緊密に協力している。現在の、あるいは今後起こるであろうパキスタンへのサウジの関与は、イスラム教にその根を持つ友愛と同じ精神の表れである。

振り返ってみると、カーン首相のジッダ訪問が意味するものは、サウジアラビアとパキスタンの関係は、2 年以上前に王子がイスラマバードを訪問した際の水準に戻っている、ということだ。

20 億ドルの融資を来年に延期することをサウジアラビアと UAE が決定したことは、経済救済策を継続することを意味する。パキスタンは、コロナウイルス (COVID-19) によるパンデミックの第三波の破壊的な影響を、何としても回避する必要があるからである。

訪問によって、パキスタンにおける 200 億ドルにおよぶサウジの開発計画、とりわけ、グワダルにおけるアラムコの精油および石油化学コンビナートへの取り組みに弾みがつくことが期待される。

また伝える所によれば、二国間の貿易を増大させるため、包括的な関税業務協定が、協議事項に盛り込まれている。

その上、バジャワ幕僚長が、サウジの相手担当者とほぼ一週間に及ぶ対話を行うこと、そしてサウジアラビアへのパキスタン大使として、退役したバイラル・アクバー (Bilal Akbar) 中将が最近指名されたことは、両国間における防衛上の調整や戦略的関係の強化を確実にするだろう。

事実、今回の関係に期待されるのは、防衛や経済を超えた、とりわけ気候変動問題における、より踏み込んだ協力の実現である。

カーンは、最近発表されたサウジ・グリーンおよび中東グリーン (Saudi Green and Green Middle East) 構想に着手する王子と将来像を共有している。サウジの構想は、彼の政府が掲げるクリーン・グリーン・パキスタン (Clean and Green Pakistan) 構想とも合致する。

そして、幸運なことに、サウジ – パキスタン関係におけるこの有望な瞬間は、サウジのイランへの和平提案、カタール危機の終焉、そしてカシミールにおけるインド – パキスタンの停戦という形で特徴づけられる、地域における地政学上好ましい転換の最中で起こっている。

こうした展開は確実に、サウジアラビアとパキスタンの外交空間を開け放ち、経済発展と地域の安定に向け、両国は協力して取り組むことに注力することとなる。

* アリ・アワド・アセリ博士は、2001 年から 2009 年まで、パキスタンへのサウジアラビア大使として従事した。そして、サウジ – パキスタン関係を前進させた活動により、パキスタン最高の市民賞、ヒラル・エ・パキスタン (Hilal-e-Pakistan) を受賞した。彼は、ベイルート・アラブ大学より経済学博士を受け、『テロと戦う : テロ戦争におけるサウジアラビアの役割 (Combating Terrorism: Saudi Arabia’s Role in the War on Terror)』 (Oxford, 2009) の著者である。

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