Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter
  • Home
  • 芸術と文化
  • 田中達也氏:ドバイ万博日本館のミニチュアインスタレーションを制作したアーティスト

田中達也氏:ドバイ万博日本館のミニチュアインスタレーションを制作したアーティスト

日本人アーティストでミニチュア写真家の田中達也氏が、ドバイ万博2020の日本館で作品を展示する。(ANJP Photo)
日本人アーティストでミニチュア写真家の田中達也氏が、ドバイ万博2020の日本館で作品を展示する。(ANJP Photo)
日本人アーティスト田中達也氏によるミニチュアインスタレーションが、ドバイ万博2020の日本館で展示される。(ANJP Photo)
日本人アーティスト田中達也氏によるミニチュアインスタレーションが、ドバイ万博2020の日本館で展示される。(ANJP Photo)
日本人アーティスト田中達也氏が制作した、日本から輸入した布の首長国の伝統的なスカーフで砂漠を表現するミニチュアインスタレーション。(ANJP Photo)
日本人アーティスト田中達也氏が制作した、日本から輸入した布の首長国の伝統的なスカーフで砂漠を表現するミニチュアインスタレーション。(ANJP Photo)
日本人アーティスト田中達也氏によるミニチュアインスタレーションが、ドバイ万博2020の日本館で展示される。(ANJP Photo)
日本人アーティスト田中達也氏によるミニチュアインスタレーションが、ドバイ万博2020の日本館で展示される。(ANJP Photo)
日本人アーティスト田中達也氏によるミニチュアインスタレーションが、ドバイ万博2020の日本館で展示される。(ANJP Photo)
日本人アーティスト田中達也氏によるミニチュアインスタレーションが、ドバイ万博2020の日本館で展示される。(ANJP Photo)
日本人アーティスト田中達也氏によるミニチュアインスタレーションが、ドバイ万博2020の日本館で展示される。(ANJP Photo)
日本人アーティスト田中達也氏によるミニチュアインスタレーションが、ドバイ万博2020の日本館で展示される。(ANJP Photo)
日本人アーティスト田中達也氏によるミニチュアインスタレーションが、ドバイ万博2020の日本館で展示される。(ANJP Photo)
日本人アーティスト田中達也氏によるミニチュアインスタレーションが、ドバイ万博2020の日本館で展示される。(ANJP Photo)
日本人アーティスト田中達也氏によるミニチュアインスタレーションが、ドバイ万博2020の日本館で展示される。(ANJP Photo)
日本人アーティスト田中達也氏によるミニチュアインスタレーションが、ドバイ万博2020の日本館で展示される。(ANJP Photo)
Short Url:
31 Jan 2022 03:01:42 GMT9
31 Jan 2022 03:01:42 GMT9

カーラ・シャハルー

ドバイ:ドバイ万博2020の日本館に設置されたイノベーションルームのクリエイティブディレクターである日本人アーティスト、田中達也氏は、新しい素材、技術、スケールを試すことで、日常のものに新しい光を当てることに力を注いでいる。

ギャラリースペースに入ると、「宇宙」「都市」「海」「大地」の4つのテーマに分類された数百個のガラスドームと、その動きを同時に映し出す鏡があり、来場者は必然的に期待感に包まれることになる。

来場者はすぐに、この展示ではこれまでとは異なる種類の知的関与が必要であることを知らされる。展示では、日常のものを使って作られたミニチュアアートが詰め込まれた128個のガラスドームが並んでいる。これらのオブジェは、地球規模の問題の解決策を示すと同時に、記憶やノスタルジー、ユーモアを喚起するために、田中氏によって再現されたものだ。

ドバイ万博2020の日本館に設置された都市のミニチュア・インスタレーションの傍に立つ日本人アーティスト田中達也氏。(ANJP Photo)

電卓やキーボードを積み重ねてできたビルや、トイレットペーパーでできた工場、ガラス板でできた融ける氷河、青と白のドミノでできた津波警報装置、バゲットでできた電車がある街を、2cmほどのフィギュアが歩いているのを想像してほしい。作品は身近でありながら、各テーマに関連した技術の進歩を表現する手の込んだ場面へと、緻密に操られており、人々の暮らしに役立つものを不思議と超現実的に見せている。


黒い服を着たアーティスト(田中達也氏)自身を模したミニチュア模型と街のインスタレーションのクロースアップ。(提供)

アートディレクターやデザイナーとして多方面で活躍する田中氏は、アラブニュース・ジャパンの独占インタビューで、日本館で展示される作品のインスピレーションやテーマとの関係性を明らかにし、展示の制作過程や物語を解説する。その中で、田中氏は日本の芸術形式である「見立て」について説明し、シンプルなものの持つ力に注目する。


大体が不条理な設定で日常のものの場面を表現する、ジオラマ人形のコレクションを撮影したシリーズ「ミニチュアカレンダー」で、田中氏は主に「ミニチュア」写真家の第一人者として知られている。10年前から発表しているそのアートは、日本国内のみならず海外からも注目されている。

日本芸術において、見立てとは、多くの場合、ある対象をそれが当初意図された形とは異なる形で認識することを指す。この芸術には視覚的な洒落の形式が含まれ、人は連想的な方法によって芸術作品の中の洒落を解釈しなければならない。

ガラス板とペンギンの模型で、地球温暖化の影響を表現したインスタレーション。(ANJP Photo)

「私の作品は、すべて日本式芸術の見立てを利用して作られています。そのためには、人々がよく知っているものを使って、別の視点から見る必要がありました。そのため私は、さまざまな立場の人が理解できるようなミニチュアを作り、その場面を別のものに変身させる必要がありました」と田中氏は語る。

彼は最初に、2011年に日常のものをインスピレーション源として使い始め、さまざまな媒体を用いてアート作品に変身させた。作品制作の過程で、ふさわしい物や模型を見つけるのに苦労し、その後、市販の建築模型やジオラマ人形、自分で一から作ったり、3Dプリンターで作った模型など、自身のミニチュア人間のコレクションを使い始め、その作品をインスタグラムに投稿するようになった。10年前から発表しているそのアートは、300万人以上のフォロワーを持つことからもわかるように、日本国内だけでなく海外からも注目されている。

見立てのコンセプトは私の作品の中心であり、夕食時にブロッコリーを見ていて、ブロッコリーが木に見えるから森を作ったらどうかと思いついた時から始まりました。なので、私のミニチュアアートの世界は見立てを通して広がっていったのです」と、大学で芸術を学んだ後、グラフィックデザインスタジオのアートディレクターになったアーティストは話す。

見立てを仕事に取り入れ始める前に、そのコンセプトの原点は幼少期にあったと田中氏は話した。兄弟が多く、おもちゃの数が限られていたため、田中氏はティッシュボックスなど身の回りにある日常のもので遊び始めたという。

子供時代は過ぎたが、この活動はいつもやっていたことだと彼は記憶している。ただ、今日彼が制作しているものは、プロフェッショナルなレベルで行われており、物体の形而上学的な知覚に挑戦し、物体を識別する視点を変化させている、という点で唯一異なっている。

色の異なるドミノで津波警報システムを表現するインスタレーション。(ANJP Photo)

田中氏のコレクションにおけるインスタレーションの包括的なテーマは、4つのカテゴリーにまたがる「今のソリューション」である。これは、多様な出会いが新しいアイデアを生み出し、より良い未来へとつながるという日本館のテーマ「アイディアとの出会い」と展示される作品が合致するよう、意図的に行われたものだ。

「インスタレーションを制作する過程で、日本館のプロデューサーに、扱われる現在の技術について情報を求めました。全ての情報を集め、4つのカテゴリーに分類し、全材料を25個のダンボール箱に入れて日本から取り寄せました。そして、128作品すべてをUAEでひとつひとつ組み立て直したのです」と田中氏は話す。

ガラスドームの中にミニチュア像を配置したのには、2つの理由があると田中氏は言う。ひとつは、パビリオン全体に共通するテーマである日の丸を強調するため。もうひとつは、来場者がどの角度から見ても自由に作品を鑑賞できるようにするためだ。

「四角い箱の中に展示すると、来場者が見る角度が決まってしまうでしょう。しかし、ドームであれば、360度から作品を見ることができます。また、ドームなら影が作品に干渉することもありません」と田中氏は語る。

田中氏は、「今のソリューション」というテーマと、テーマと日本の技術革新との関係について、宇宙航空研究開発機構が開発したロボット宇宙船「はやぶさ」のターゲットマーカーをお手玉で表現したインスタレーションを挙げた。ターゲットマーカーを小惑星に着地させる技術が、日本の伝統的なおもちゃであるお手玉の仕組みにヒントを得ていることから、お手玉を宇宙船周辺の小惑星の表現に用いることを思いついたのだという。


「はやぶさ製作に関わる技術の話を聞いて、この基盤技術の発想の原点がお手玉だと知りました。私はこのような基本的・初歩的な発想が、高度な技術の開発につながるということに考えを巡らせ始めました。見立ては、単にものの視覚的な変形を見せるだけでなく、解決策を見つけるための手段としても使われています。解決策とは、探求の鍵です。解決策を探すには、ハイテクの複雑な概念だけでなく、身の回りにあるもの、すでにあるもの、あるいはシンプルな伝統の中からも考える必要があります」と田中氏は言った。


宇宙航空研究開発機構が開発したロボット宇宙船「はやぶさ」のターゲットマーカーをお手玉で表現したインスタレーション。(日本館)

現代のアーティストはテクノロジーを駆使しているが、伝統的な手法で日常のものを使って手の込んだ作品を制作している田中氏の作品を紹介するという日本館の決断は、既存のシステムを新しい視点で見直すことでどう現在の問題の解決法が生まれ得るかという表現を通して、多様なバックグラウンドを持つ来場者の持つ幅広い概念の先入観に挑戦することを可能にする。

特に人気
オススメ

return to top