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アメリカのアフガニスタンでの失敗は、地域の同盟国に不穏なメッセージを送る

2021年5月2日、アフガニスタン南部のヘルマンド州にあるキャンプ・アントニックで下ろされる米国旗。(AP通信 写真)
2021年5月2日、アフガニスタン南部のヘルマンド州にあるキャンプ・アントニックで下ろされる米国旗。(AP通信 写真)
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18 Aug 2021 04:08:38 GMT9
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オサマ・アル・シャリフ

タリバンによるアフガニスタンの劇的な陥落は、米国にとってここ数十年で最も大きな軍事的・政治的失敗として歴史に残るだろう。

20年間占領していた国から軍を撤退させたにもかかわらず、これまで何年にも渡ってそうだったようにアメリカは誤った対処と誤算を繰り返した。アメリカの屈辱的なベトナム撤退の後、十分な軍事力を備えた南ベトナム軍が最終的に敗北するまでに2年かかったが、米軍により訓練された30万人のアフガニスタン軍が敗北するまで、1ヶ月もかからなかった。

日曜日、タリバンは戦わずして首都カブールに入った。その日の夕方には、タリバンは大統領官邸で首都陥落を祝った。アシュラフ・ガニ大統領と政府高官は国外に逃亡した。何百万人ものアフガニスタン人が、アメリカとその西側同盟国に見捨てられたのだ。

そして、首都陥落の不吉な日には「サイゴン陥落」と同じようなシーンが見られた。何千人ものアメリカに「友好的 」なアフガニスタン人の協力者ら(通訳、補助者、支援者)とその家族が、見捨てられた都市から脱出するため、飛行機に搭乗しようと急ぐ中、米軍のヘリコプターが大使館職員を退避させるため、無人となったアメリカ大使館の建物の上を飛行していた。混乱の中で、多くの人が運命に身を任せることになる。

アメリカ政権にとって、次に何をすべきかという明確な戦略はない。ドナルド・トランプ前大統領と同様に、ジョー・バイデン大統領もこの終わりなき戦争を終結させたいと考えていた。しかし、数か月という間であれ、侵攻してくるタリバンの制圧をアフガニスタン軍に頼ったことは、アメリカにとって大きな誤算だった。過去20年の間にアメリカは、何千億ドルもの予算を費やし、何万人もの命を失った。そしてアメリカは戦略目標をほとんど達成できずに敗北したのだ。バイデン大統領はこれまで「米国は国家建設のために駐留しているのではない」と述べていたものの、実際には、歴代のアメリカ政権は、アフガニスタンで西洋式の民主主義を実現することにより、タリバンやその他の過激派グループが政権に復帰しないことを期待していたのである。

イラクと同様、アメリカはアフガニスタンの複雑な社会や文化を理解していなかった。そして崩壊した旧ソビエト連邦のように、アメリカは歴史の教訓を学ぶことができなかったのだ。アフガニスタンは、現在唯一の超大国のアメリカでさえも解決に導くことできなかった地政学的な権力闘争の支点となった。

米軍撤退によってできた空白を埋めるのは、アフガニスタンにとって近くて遠い隣国となるだろう。そういうものなのである。ロシアと中国はいずれかの時点で介入してくるだろう。タリバンが生き延びるためには、認知度が必要だ。過去40年間のほとんどが戦争状態にあり、宗派や部族、民族間の深い亀裂があるこの国を、タリバンが今後どのように統治していくかは明らかになっていない。地域のライバルたちと権力を共有するのか、それとも過去の権威主義、独裁主義、純血主義的な支配に回帰するのか。

また、タリバンの保護下でアルカイダやその他の過激派グループが再出現し、再編成される可能性についてはどうだろうか。それは西欧諸国やこの地域にとってどのような意味を持つのだろうか。実現されるようになったばかりの民主主義や、女性の権利、人権、表現の自由はどうだろうか。今後の見通しは悪く、未来は暗い。

また、アメリカ国内のイデオロギー的な反発もある。カブール陥落は、ジョージ・W・ブッシュ政権下で外交政策の核となった約20年間の新保守主義的な世界観とアメリカの役割の象徴的な結末となった。

新保守主義者の中心人物らがブッシュ政権下で推し進めてきた介入主義のイデオロギーは、ついに終焉を迎えたのだ。アメリカは疲弊しており、中東はもはやアメリカの平和的な影響力の及ぶ範囲ではなく、地政学的な厄介者、負担となっていた。

新保守主義者の中心人物らがブッシュ政権下で推し進めてきた介入主義のイデオロギーは、ついに終焉を迎えた。

オサマ・アル・シャリフ

アフガニスタンでの失敗は、アメリカ政府が選択的孤立主義をゆっくりと受け入れることを意味するのだろうか。それは、より安定した東南アジアへの方向転換、中南米のような戦略的に重要な地域への移行、そしてEUとのより快適で公平な関係への移行を加速させる可能性がある。

アメリカ政府がアフガニスタンを放棄することは、相反する課題を抱える当該地域のアメリカ同盟国に対し、不穏なメッセージを送ることになる。しかし、より重要なこととして、伝統的なアメリカの敵対諸国であるイランや、トルコ、ロシアに対しても同様に不穏なメッセージを送ることになるのだ。アメリカによるこの地域における直接的な関与がなければ、アメリカの同盟国は不安を感じるだろう。

アメリカのアフガニスタン撤退の余波は今後何年にもわたって続くだろう。この地域情勢は依然として不安定であるが、これはヨーロッパやロシアを含む近隣諸国にとっても同様に重要であり、民主主義と平等主義を必死に模索する中で、極端な宗教的教義、宗派や民族の分裂と闘っているのだ。

  • オサマ・アル・シャリフ氏は、アンマン在住のジャーナリスト、政治評論家である。 Twitter: @plato010
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