
イランの核開発が民生目的なのか、それとも核兵器開発を目的としたものなのかという問題は、地域や世界の平和と安全を考える上で、最も差し迫った問題の一つである。この質問への回答は、他の政府がイランの体制とその核の野望に対してどのような政策を取るべきかを決定することになる。
イランの指導者らは、「イランの核開発は常に平和的な民生目的のみに限定されている」と頻繁に主張している。イランは、その立場を強調するため、ハメネイ最高指導者の発言に繰り返し依拠している。2010年に核軍縮に関する国際会議に宛てた書簡の中で、ハメネイ最高指導者はこう書いたと伝えられている。「イランは、このような核兵器の使用をハラーム(宗教的に禁止されている行為)と考えており、この大きな災害から人類を守るために努力することがすべての人類の義務であると信じています。」 また、ハメネイ最高指導者は自身の公式ウェブサイトで、核兵器の製造や使用はイスラム法により、禁止されていると記載している。「シャリア法とアクリー(論理と理性に関連する)ファトワの両方が、核兵器開発を追求しないことを指示しています。」
しかし、イランの核開発の歴史を注意深く調べてみると、イランは当初から核兵器開発を意図していたことは非常に明らかとなる。イランの指導者らがすべての核施設を公開すれば、実際に利益を得ることができるのに、なぜイランは核開発に関連する活動を全て秘密裏に行うのだろうか。
もし、イランの核開発が本当に民生目的なのであれば、イランは核施設の存在を宣言し、イラン政府が加盟している核拡散防止条約に基づいて、技術支援を受けているはずだ。世界原子力協会は、核開発が平和目的である場合に、参加国が得られる利点について指摘し、次のように述べている。「核兵器不拡散条約(NPT)は当初、核保有5カ国と核技術に関心のある他の国々の間の条約でした。同条約の内容というのは、援助や協力を提供する代わりとして、国際的な監視のもとで、核開発施設や核物質を兵器に転用しないことを約束するというものでした。同条約に参加しない国は、核技術に関わる国際協力やその交換条件から排除されます。」
イランが核兵器の研究を行っていることは、各種諜報機関や国際原子力機関(IAEA)によって決定的に証明されている。
マジッド・ラフィザデ
しかし、イランは最初から核活動の隠蔽を決め込んでいたのだ。例えば、ナタンツとアラクという2つの主要核施設で秘密裡に行われていた核活動は、2000年にイランの野党組織であるイラン国民抵抗評議会(NCRI)によって初めて明らかにされた。2017年、NCRIは非常に保護されたパルチン軍事基地でイランが核活動を継続していたことを示す重要な情報も公開した。NCRIは、パルチン軍事施設の一部が、イランの核兵器開発計画を継続するために秘密裏に使用されていると主張した。NCRIはこのように述べた。「核兵器開発の研究と製造を担当する部隊は、『爆発及び衝撃技術研究開発センター』と呼ばれており、ペルシャ語の頭文字をとって『METFAZ』として知られています。」
イランには現在、国際社会が認識している秘密の核施設が4つ存在している。国際原子力機関(IAEA)は先週、次のように報告した。「IAEA事務局長は、イラン国内の未申告の4箇所の核施設に関連して、約2年経過した今でも、以前説明された保障措置の問題が解決されていないことに対し強い懸念を抱いています。」
さらに、イラン当局は核兵器開発の意図を常に否定してきたものの、イランが実際に核兵器の研究を行ってきたことは、各種諜報機関やIAEAによって決定的に証明されている。例えば、2011年にIAEAは、イランがどのような活動を行ったかについて、このように詳細に説明した。「当局が把握した情報は、イランが核兵器装置の開発に関連し、このような活動を行ったことを示している。その活動とは、軍関連の個人や組織による、核関連及び汎用の資機材の調達(一部成功)、秘密裡の核物質製造方法の開発、『核供給ネットワーク』を通じた核兵器開発情報や資料の獲得、そして部品の実験等を含む独自の核兵器の開発、である」
さらに、2018年にイスラエルがイランの核アーカイブから文書を押収したことは、イランの核活動の軍事的側面について、直接指摘している。その後、科学国際安全保障研究所はこのように警告を発した。「イランは10キロトンの爆発力を持ち、弾道ミサイルに搭載することが可能な、5つの核弾頭の製造を意図していた。」
イランが常に核兵器の製造を意図していたことは明らかである。したがって、各国政府はそのような理解に基づいて、イランに対する政策を考案しなければならない。