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イランはいかにして制裁に耐えられる経済を作り上げているのか

イランのイブラヒム・ライシ大統領と、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣。2022年6月22日、イランのテヘランにて。(AP通信フォト)
イランのイブラヒム・ライシ大統領と、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣。2022年6月22日、イランのテヘランにて。(AP通信フォト)
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24 Jun 2022 08:06:58 GMT9
Majid Rafizadeh
24 Jun 2022 08:06:58 GMT9

かつて、イランの体制に対する米国の制裁が極めて効果的であった時代があった。しかし、最近の動向は、米国政府による対イラン制裁が、政権抑止にあまり成功しなくなってきていることを示している。

核合意が成立した2015年以前は、イスラム共和国に対する制裁は、いくつかの理由で成功していた。何よりもまず、米国には、イラン政府に圧力をかけるのに加わるよう、ロシアと中国を説得できた。その結果、国連安保理常任理事国5ヵ国(英国、フランス、ロシア、中国、米国)の間で合意が形成され、イランに制裁を科す複数の決議を可決することができた。2006年に可決された最初の国連安保理決議第1696号は、イランに対して「研究開発を含む全ての濃縮関連活動と再処理活動の停止」を求め、国際原子力機関がイランの遵守状況の報告を担った。

国連安保理常任理事国5ヵ国はまた、核開発プログラムに関連するイラン企業の金融資産を凍結し、核関連の設備や技術の供給または販売に制裁を加えるよう、全ての国に全会一致で要求した。2008年の決議第1803号は、イランの銀行取引に制限を加え、政権が禁止されている製品を密輸していると考えられる合理的な根拠がある場合には、イランの船舶や貨物機を検査するよう各国に求めた。

しかし、現在、世界の超大国の間では、米国、英国、フランス側と、ロシア、中国側との間で、大きすぎて埋められない隔たりがあるように思われる。例えば、2020年に米国は、13年間続いたイランに対する武器輸出禁止措置の失効を阻止しようとした。しかし、安保理は、ロシアと中国が拒否権を行使し、他の11ヵ国が棄権したことで、失効を認めることを投票で決めた。米国はまた、イランに対する国連制裁を復活させるための十分な支持を集めることができなかった。これは、当時のイランのハッサン・ローハニ大統領が次のように指摘した通りだ。「米国がイラン・イスラム共和国に大打撃を与える決議案を何ヵ月も準備し、(支持票は、ドミニカ共和国の)1票しか集められなかったことは(過去に)記憶がない」

このような世界の分断が、制裁に耐えられる経済をイランの体制が作り出すことをいかに後押ししているかを理解するには、イランの収入の大部分の出どころを検証することが重要だ。伝えられているところによると、イスラム共和国は世界第2位の天然ガス埋蔵量を有し、確定原油埋蔵量は世界第4位となっており、石油の売上は政府の歳入全体の60%近く、輸出収入の80%以上を占めている。複数のイラン指導者は、同国が石油輸出に大きく依存していることをほのめかしている。例えば、ローハニ大統領は2019年に、「他の収入もあるが、国を維持できる唯一の収入はオイルマネーだ」と認めている。

現在の世界の大国間の分断によってもたらされたチャンスをさらに掴むために、イランの政権は、米国の制裁の悪影響から自国経済を恒久的に分離するために、石油の顧客と長期契約を結んでいる。例えば、中国とイランは1月に包括的な協力計画の立ち上げを発表した。これは、昨年イラン政府と中国政府の間で結ばれた25年契約のことを指している。その条件の1つは、中国がイランの石油、ガス、石油化学産業に4000億ドル近くを投資することだ。その見返りとして、中国はこれらの産業に関連するイランでのどの新規プロジェクトにも優先的に入札できるようになる。また、中国は12%の割引を受け、支払いを最長で2年間遅らせることができる。また、中国は好きな通貨で支払いができるようになる。

このような包括的な取引が、イランの政権が米国の制裁をより容易に回避し、資金を手にし、地域の民兵やテロ集団に力を与え、核開発プログラムの前進を続ける後押しになるのは明らかだ。

イランが現在、日量100万バレル以上を輸出しており、そのうち約80万バレルは中国に輸出されていることは注目に値する。実際、強硬派のイブラヒム・ライシ大統領は先月、イランの石油売上の増加を誇り、「売上は2倍になった。石油販売の心配はしていない」と述べた。

世界の超大国の間では、米国、英国、フランス側と、ロシア、中国側との間で、大きすぎて埋められない隔たりがあるように思われる。

マジッド・ラフィザデ博士

またイランは今月、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領とも、両国の石油や石油化学産業、軍の関係を拡大することを目的とした20年間の協力協定を結んだ。

要約すると、米国のイラン政権に対する制裁は、イランの指導者らが中国やベネズエラなどの国々との関係を強化し、石油の売上を確保することで、制裁に耐えられる経済を作り上げているため、時とともに効果が薄れてきている。

  • マジッド・ラフィザデ博士は、ハーバードで教育を受けたイラン系アメリカ人政治学者。ツイッター:@Dr_Rafizadeh
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