Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter

イラン体制に抗議、現在の主流はZ世代

ローマで行われたイラン人女性との連帯のための抗議デモで、マフサ・アミニさんの写真を手にするデモ参加者。(AFP)
ローマで行われたイラン人女性との連帯のための抗議デモで、マフサ・アミニさんの写真を手にするデモ参加者。(AFP)
Short Url:
08 Oct 2022 08:10:24 GMT9
08 Oct 2022 08:10:24 GMT9

イランで以前、広範な抗議デモを行っていたのは、貧困層や中産階級の人々だった。一方、 マフサ・アミニさんの死をきっかけに現在行われているデモは、主に若者、特に「Z世代」と呼ばれる人々によって先導されているようだ。

社会的、道徳的、倫理的、宗教的、政治的価値観に関して、支配層の聖職者とZ世代との間には大きなギャップが存在する。首都テヘランに住む22歳の学生、サラさんは、アトランティック・カウンシルの記事で次のように総括している。「私は人生を通して、自分の国は他と違っていて、そのルールは厳しいということを学びました。また、自分が成長する過程では、自分の権利について発言してはいけない、さもなければ投獄されたり、追放されたり、あるいはもっとひどい目に遭うかもしれない、ということも学びました。この国では、私の世代や前の世代を抑圧してきたイラン・イスラム共和国の法律を認めないという理由で、私は死ぬかもしれないのです」

彼女はこう続けた。「10代のころは、迷ったり頭が混乱したりして、とても孤独でした。他の多くの家庭と同じように、私は保守的ではない家庭で育ちました。服装、友達、外出といった点で、家では少女が望むすべての自由がありましたが、外の世界ではまったく違っていました。まったく違う二つの人生を送っているような感覚でした。イランでは、髪を見せることも含めて、何でも簡単に犯罪になり得るのです」

イランには多くの若者が住んでおり、その多くは現在の政治体制に不満を抱いている。イランの人口8,000万人のうち60%以上が30歳未満だ。圧倒的多数のZ世代は、言論、報道、集会の自由が抑圧されない民主的な統治システムを追い求めている。しかし、彼らは自己決定という願望を実現しようと試みる中で、これまで以上に、自分たちが取り残されていると感じている。

このことは、イランの民主化を求める国家的、非国家的な役割を担う人々に、ある種の機会を提供するものであるはずだ。世界の大国や、非国家的な役割を担う人々は、イランの若者たちの側に立ち、彼らの願望を支持するという明確なメッセージを送る必要がある。

イランの大多数の人々の側に立つということは、イラン政権と政治的、外交的に密接な関係を持つことから決別するということでもある。世界の大国が、イランの政治家と同じテーブルにつき、握手や ビジネスの取引をしながら、一方ではイラン国民に対して、彼らの主義主張を支持するといった矛盾した メッセージを送ることはできない。イラン国民は、そのような行動をダブルスタンダードとみなすだろう。

問題は、欧米諸国政府がイラン政府に対して、政治的、外交的、経済的、地政学的、戦略的な面、あるいは貿易面で友好と支援の態度を示すとき、イランの若者を直接的に弱体化させていることである。圧倒的多数の若者が望む民主主義の大義を本当の意味で支持することは必然的に、イラン政権に毅然と立ち向かうことを意味するのだ。

言い換えれば、イランの若者たちが目的を達成するためには、外部からの援助が必要なのだ。イランのZ世代の一人であるサラさんは、こう指摘する。「これは私だけの戦いではありません。私の時代に、私の国に生まれていれば、これは簡単にあなたの物語になったかもしれないのです。自由がどのようなものかを知っている、勇敢で美しい心を持つ皆さん、どうか私たちの声になってください。皆さんの国の当局に、助けを求める私たちの声に目と耳を閉ざした責任を取らせてください。さらに重要なことは、イラン・イスラム共和国が自国の人々に対して行っている残虐行為の責任を追及することです。私たちの前には、もっと良い日々が待っているのです」

イラン政権は、世界の主要なテロ支援国として絶えずリストアップされている。イラン国内で密かに活動する人権および民主化グループは、政治的および財政的に支援されるべきである。さらに、若者や女性に対する政権の深刻な人権侵害の記録や、国際法を完全に無視する政権の実態に注目することで、若い世代に力を与え、イスラム共和国に大きな圧力をかけることができる。

最後に、イランの国内外には、若い世代とつながり、その支援に力を尽くす反体制派が数多く存在する。残念ながらこれらのグループは、他の国家的、非国家的主体による政治的、外交的、財政的支援がなければ、イランのイスラム革命防衛隊とその民兵組織バシージの前では無力に見える。

結論として、イラン政権とZ世代との間には、埋めるにはあまりにも大きいギャップがある。彼らの価値観や優先順位は、まったく異なっているように見える。イランの若者は、支配層の聖職者たちの権力保持に対する最大の挑戦者なのだ。

  • マジッド・ラフィザデ博士はハーバード大学出身のイラン系アメリカ人政治学者。ツイッター:@Dr_Rafizadeh
topics
特に人気
オススメ

return to top