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ワールドカップの皮肉屋は、いかにしてボールから目を逸らしたか

18日、リオネル・メッシ率いるアルゼンチンは、中東初のW杯で優勝した。(ロイター)
18日、リオネル・メッシ率いるアルゼンチンは、中東初のW杯で優勝した。(ロイター)
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20 Dec 2022 07:12:01 GMT9
20 Dec 2022 07:12:01 GMT9

FIFAワールドカップ(W杯)カタール2022が閉幕した。ピッチの中でも外でも、間違いなくサッカー史上最もドラマチックなW杯の1つだった。

試合に関して言えば、ほとんどのチームのハラハラする展開、ショック、素晴らしいプレーがとても胸を熱くさせるものだったので、(私のような)サッカーファンではない人も夢中になってしまった。

実際、サウジアラビアのアルゼンチン戦での歴史的勝利(「グリーンファルコンズ(緑の鷹)」ことサウジアラビア代表チームは新しい世界チャンピオンを破った唯一のチームとなった)から、準決勝まで進出したモロッコの歴史的躍進、ドイツ戦で日本が挙げた大金星まで、サッカーというスポーツにとって、これまでにないほどハラハラドキドキの連続する1か月だった。

しかし、皮肉屋たちは、こうした偉業を開催国カタールのものとは認めない。フィールド上でのあらゆる成果はサッカー選手自身の努力、監督、そして、おそらく多くの決定的なゴールとファウルの判定を覆したり、正当であると認めたりしたVARテクノロジーがもたらした新しいドラマによるものだと、彼らは――正しいのだろうが――主張するのだ。

ピッチ外のドラマについては、カタールは明らかに費やした金額(大半の見積りでは2200億ドルという途方もない額)に見合う宣伝効果を手に入れた。しかし、悲しいことに、これまでに開催されたワールドカップの中で最も完璧に計画され、安全で成功した大会の1つであるにもかかわらず、宣伝効果のほとんどはネガティブなものであった。

もちろん、カタールは人権問題や、国連や米国が指名手配しているテロリストの受け入れ、前政権による近隣諸国の問題への露骨な干渉の試みに関して欠点があるのを自覚している。どんなスポーツ大会もこうした欠点を消し去ることはできない。そうした問題を解決する唯一の方法は…、問題そのものを解決することだ。2021年1月にカタールと湾岸協力会議(GCC)に参加する近隣諸国およびエジプトとの間でアルウラ協定が結ばれて以来、湾岸地域に快い変化の風が吹いているのを私たちは目にしている。

しかし、ここで私が主張したいのは、欧米のメディア、特に英国の活字媒体がカタールに対し繰り返し行っている「スポーツウォッシング」の非難は、短絡的かつ偽善的だということだ。

第一に、もし本当にカタールがイメージアップのためにすべての資金を費やしたのだとしたら、なんという無駄遣いに終わったのかということだ。アラブニュースの取材に対して、11月に「国家ブランド指数」の創設者であるサイモン・アンホルト氏が指摘したように、スポーツ大会などの大きなイベントは国のブランドイメージの向上には何の役にも立たない。

「サッカーW杯や夏のオリンピックのような大きなスポーツイベントの運営や開催がその国のイメージに影響を及ぼすのは、一般的に言って、数か月に限られていることが示されている」とアンホルト氏は説明し、「半年もすれば、忘れられてしまうのだ」と述べた。

欧米のメディア、特に英国の活字媒体がカタールに対し繰り返し行っている「スポーツウォッシング」の非難は、短絡的かつ偽善的だ

ファイサルJアッバス

第二に、一人当たりのGDPで世界一豊かな国であるカタールには、「スポーツウォッシング」をする必要がまったくない。カタールの人が、例えば、ロンドンの大部分を所有しているにも関わらず、ロンドンでの自分たちの評判を気にしたり、収入の必要がない上に、いずれにせよ観光産業の成長に必要なだけのホテル数がないにもかかわらず観光産業の損失を気に病んだりするとは思えない。

はっきりさせておきたいのは、これはカタールの擁護ではなく、英国の一部の批判者の信じられないようなダブルスタンダードと偽善に対する批判であるということだ。クリミア併合とウクライナ東部への侵攻にもかかわらず2018年のW杯がロシアで開催されたときの気まずい沈黙はともかくとして、なぜ英国の人権活動家たちが、カタールという湾岸地域の小さな国家が自国の首都の最も重要な資産を所有しているという事実よりも、カタールでのW杯開催で頭を悩ますのかは不思議だ。

英国のオブザーバー紙は、今月、カタールが英国の土地所有者リストで10位を占めており、約210万平方メートルの不動産を所有していると報じた。カタール投資庁の保有物件には、ナイツブリッジ地区の高級百貨店ハロッズ、カタールによるおよそ20億ポンドの投資で建てられた英国一高いビル、ザ・シャード、フォーブスハウス邸、チェルシー・バラックス、サヴォイやグロブナーハウスといったホテルがある。さらに、カナリー・ワーフと呼ばれるビジネスエリアの共同所有者でもあり、ヒースロー空港の20%の株式も保有している。しかも、この中に、カタールの王族個人の保有分は含まれていない。

間違いなく、英国を拠点とする活動家には、主権国家によるサッカー大会の開催を阻止しようとするよりも、このような投資を阻止するために自国政府に働きかけることの方が簡単だろう。

私は、英国のメディアがカタールの人権問題について論じるのをやめるべきだと言っているのではない。論じるのであれば、本当に重要な問題に焦点を当て、残りの私たちにはサッカーを楽しませてほしいと言っているのだ。

ファイサル・J・アッバスは、アラブニュースの編集長。

ツイッター: @FaisalJAbbas

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