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これはサウジ・イラン間の緊張の終結を意味するのか?

3月10日北京で、サウジアラビアのムサアド・ビン・ムハンマド・アル・アイバン氏とイランのアリ・シャムハニ氏。(Reuters)
3月10日北京で、サウジアラビアのムサアド・ビン・ムハンマド・アル・アイバン氏とイランのアリ・シャムハニ氏。(Reuters)
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11 Mar 2023 05:03:39 GMT9
11 Mar 2023 05:03:39 GMT9

中国の仲介によって実現したサウジ・イランの合意は中東の地政学において重要な展開である。イラン側はこれまでになく国家主権の尊重、内政不干渉、安全保障上の協力の再開に言質を与えた。

もしイラン政府が自らの責任を果たすのであれば、この合意は真のゲームチェンジャーとなりうる。数十年間見ることのできなかった、地域の平和と繁栄の時代の到来を告げるものとなるかもしれない。

無論、まだ合意は成されたばかりであり、信頼関係を築くための時間と、合意を固めるためにそれを実際の行動に移すことが必要だ。一部にはサウジアラビアの意図に懐疑的な向きもあるかもしれない、あるいはこれは政策の180°の転換だと言っている者もいるが、彼らは明らかに、サウジアラビアが表明している方針を把握していないのだ。3月10日の合意は、1年前にムハンマド・ビン・サルマン皇太子がアトランティック誌に語った内容、すなわち我々はイランを隣人と見なすという方針と一致している。皇太子は、さまざまな問題の解決は両国にとって益となるが、最優先されるのはサウジの安全保障上の懸念だと述べた。

1年前にムハンマド・ビン・サルマン皇太子はアトランティック誌に対し、我々はイランを隣人と見なすこと、さまざまな問題の解決は両国にとって益となることを述べた

ファイサル・J・アッバス

私は心から、今回の合意をきっかけとして、我が国の指導者がここサウジアラビアで行っているのと同様に、イラン政府が経済を再建し、自国民の生活に心を配るようになるよう希望している。仮に両国がともに栄え、平和と繁栄を実現できるなら、サウジアラビア一国だけでなく、中東全体、ひいては世界全体の益となるだろう。

もっとも、サウジ政府関係者は引き続き厳重な警戒を怠らず、イランの外交当局者との間で成立した合意をイラン革命防衛隊が受け入れないという可能性も明確に認識している。我が国では、我々はイランとの不和の全期間を通じて常に分別ある態度を保ち、和解を申し出てきたことは知られている。これまでの試みは失敗に終わったが、万人のために今回こそは成功すると願おう。

サウジ政府関係者は引き続き厳重な警戒を怠らず、イランの外交当局者との間で成立した合意をイラン革命防衛隊が受け入れないという可能性も明確に認識している

ファイサル・J・アッバス

間違いなく、実情を知らない欧米の専門家たちは、大局を見ずに中国の役割にだけ関心を向け、なぜアメリカが排除されたのかと問うだろう。私の信じるところでは、今回の合意にアメリカが関与しなかったことは、信頼関係の欠如によるものではない。我が国のもっとも重要で忠実な戦略的同盟国としてのアメリカの地位は変わらない。今回の場合、この種の交渉の性質上、成功のためには双方の当事者から公平で、先入観や利害の衝突を持たないと認められた仲介者を通じて秘密裏に行われる必要があった。中国はイラン、サウジ両国と良好な関係にあり、アメリカやヨーロッパの多くの国とは異なって中東での武力行使や植民地化の過去がなく、この条件を完ぺきに満たしている。実際、中国はサウジアラビアにとって最大の石油輸出先(175万日量バレル)であり、この合意を実現させることでエネルギーの安定供給を図ることは中国の国益にかなっている。

サウジ・イラン間の緊張は終結には程遠いものの、今回の合意は、数十年にわたる流血の1章の終わりの始まりである可能性がある。

  • ファイサル・J・アッバスはアラブニュース編集長

Twitter: @FaisalJAbbas

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