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ロシアの戦争を支援するイランに核の見返り

イランは最近、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領を脅迫した。 (ウクライナ大統領報道局/AFP)
イランは最近、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領を脅迫した。 (ウクライナ大統領報道局/AFP)
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31 Dec 2022 12:12:03 GMT9
31 Dec 2022 12:12:03 GMT9

ロシアとウクライナの衝突が始まった際には、イラン政権がこの戦争で重要な役割を果たすようになることなど思いもよらなかったかもしれない。しかし、イラン・イスラム共和国は徐々にこの戦争への関与を深めている。

イランの最初の一手は、信頼を置く盟友のシリアと共に、4月に国連総会決議ES-11/3に反対票を投じることだったが、この決議では、ロシアの国連人権理事会のメンバーシップの停止が決定した。

その後、ロシア政権とイラン政権がこの戦争で軍事協力した初期の例として、イランの神権政治体制がカミカゼ攻撃を行うドローンのロシアへの供給を開始したことが挙げられる。これにより、ウクライナ外務省は在キエフのイラン大使の認証を取り消し、同大使館のスタッフ数を削減させるに至った。

イランは、最近、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領を威嚇した。ゼレンスキー大統領が米国議会で演説を行い、その中でイラン政権がロシアに武器提供していることを非難したことへの反応だった。イラン外務省のナセル・カナアニ広報官は、イラン政権の公式ウェブサイトに掲載された声明で、「このような無根拠な非難に対するイランの忍耐は無限では無いことをゼレンスキー氏は思い知るべきだ」と述べた。また、同広報官は、ウクライナの大統領は「米国の支援に満足した他の政治指導者の運命から教訓を得るべきだ」と付け加えた。

しかし、イラン政権が武器をロシアに提供しこの戦争を悪化させている証拠は圧倒的だ。EUは、イラン政権が「無人航空機の開発とロシアへの引き渡し」により「ロシアのウクライナに対するいわれのない不当な侵略戦争に軍事支援を行っている」と結論づけた。

関与の次の段階では、イランはロシアを支援するためにクリミアに部隊を派遣するようになった。ウクライナのインフラや民間人への攻撃、自爆ドローンの有効性の改善が目的である。

米国の国家安全保障会議のジョン・カービー広報官は、「イランは、ロシアがそれら (ドローン) をより高い殺傷率で運用できるように訓練要員と技術支援要員を派遣することを決定した」と述べた。

現在、イラン経験はロシアに、ドローンに加えて、弾道みサイルを提供することを計画している。イラン政権が中道で最多かる最も多様な弾道ミサイル兵器を保有していることは特筆に値する。

イラン政権はロシアとウクライナの戦争への関与を強めている。

マジッド・ラフィザデ博士

しかしながら、イランは、ロシアとウクライナの戦争への関与からいかにして利益を得ているのだろうか? 第一に、厳しい国際的金融政策を受けた後、イラン政権は貿易を増加させ、米国手動の政策の回避に役立つパートナーを探している。

ブルームバーグの最新のリポートによれば、イラン政権とロシア政権は、ヨーロッパからインド洋に至る約3,000kmもの大陸横断貿易ルートを構築しようとしている。それは、「いかなる外国勢力の干渉も及ばない」交易路となるという。

同報告書はさらに、「両国は、何十億ドルも費やして、カスピ海で連結された河川や鉄道による貨物輸送を高速化しようとしている。ブルームバーグが集積した船舶追跡データでは、制裁対象のものを含む何十ものロシアとイランの船舶がすでにこのルートを定期航行している」と付け加えた。

軍事的観点からは、イラン政権は、ロシア・ウクライナ戦争の間にイラン製ドローンの不具合から学習し、得られた情報を自国のドローン技術と弾道ミサイル計画の更なる改善に役立てる機会を得ているとも言い得る。それに加えて、イランは支援の見返りとしてより高度な軍事技術を提供するようロシアに対して要請する可能性が非常に高い。

英国のベン・ウォレス国防相は、今月、英国議会で、「イランはロシアの最大級の軍事的支援国家となりました…300機以上のカミカゼ・ドローンの提供を受けた見返りとして、ロシアは高度な軍用コンポーネントを提供する予定です。これは、中東そして世界の安全保障に対する脅威となりつつあります。 — この取引を白日の下に曝さなければなりません。実際、今、まさに私が暴露したわけですが」と述べた。

第三に、ロシアのような世界の強大国に兵器を提供することでイラン政権は影響力のある軍事力を有した主要国家として世界という舞台で存在感を増している。

最後に、イラン政権がその核計画を推進するためにロシアの助力を求めると想定することは非現実的ではない。これまでにロシア政権とイラン政権は、イラン国内に複数の原子炉を建設しイランの核技術を向上させようと連携したことがある。イランが、核の敷居を越えた核武装国家の段階に突進していることが増々明白になっている。

ゼレンスキー大統領は、「皆さんに質問があります。ロシアはこのためにイランにどのように支払いをしているとお考えでしょうか? イランはお金に興味があるだけなのでしょうか? おそらくイランはお金には全く興味が無く、自国の核計画へのロシアの支援を欲しているのです。おそらく、これこそが両国の協力の真相なのです」と、的確な警告を発している。

イラン政権はロシアとウクライナの戦争への関与を強めている。火に油を注ぐようにして、イランの指導者たちは、経済的に軍事的に、自国に利益をもたらそうとしている。

マジッド・ラフィザデ博士はハーバード大学出身のイラン系米国人の政治科学者。

Twitter: @Dr_Rafizadeh

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