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トランプ氏から「心機一転、切り替える」時期が来たといえる理由

2022年11月15日、ドナルド・トランプ氏はパームビーチのマー・ア・ラゴで演説し、3度目となる大統領選への出馬を表明した。(AP)
2022年11月15日、ドナルド・トランプ氏はパームビーチのマー・ア・ラゴで演説し、3度目となる大統領選への出馬を表明した。(AP)
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04 Dec 2022 08:12:32 GMT9
04 Dec 2022 08:12:32 GMT9

11月に行われた米国の中間選挙は、共和党、およびドナルド・トランプ前大統領の今後に対する重要なメッセージとなった。選挙結果はトランプ前大統領が支持した共和党候補14名が敗れたことを示している。その中には1月6日の国会議事堂襲撃の扇動者や参加者が複数含まれていた。今回の選挙結果はトランプ氏の「凋落」とも捉えることができ、現在、共和党内や米国全体がトランプ氏に対して疑念を抱いていることを浮き彫りにしている。

最大の勝利は、2期目を獲得したロン・デサンティス共和党フロリダ州知事であった。彼の勝利で、共和党がトランプ氏から「心機一転、切り替える」ことへの期待が高まっている。共和党支持者の不満は、伝統的な党幹部の多数、大口献金者、保守活動家に、2024年大統領選においてデサンティス氏への支持を表明する自信を与えた。

さらに、この選挙結果により、世論調査の数日後に2024年大統領選への出馬を表明したトランプ氏との早期対決の扉が開かれた。デサンティス氏の人気をトランプ氏と比較するうえで特筆すべきは、フロリダ州において、トランプ氏は2016年の選挙で49%、2020年は51%で勝利したのに対し、デサンティス氏は2018年に49%、今年(2022年)は59.6%で勝利している点だ。また多数の共和党員は、対立候補がジョー・バイデン氏であれ他の民主党候補であれ、デサンティス氏が大統領選候補者としてトランプ氏よりも強いと考えている。 

ほとんどのアメリカ人は、民主主義は米国の政治体制の礎であり続けることを強く信じており、政治での暴力を強く拒絶する。再選に向けて出馬するにせよ、新たな役職に就くにせよ、2020年度世論調査の結果を疑ったり、今後の選挙結果の無効化を約束したりした候補者はほぼ全員が敗北している。

中間選挙の結果によって、米国民のほとんどがもはやトランプ氏に従う気がないことが示された。これには共和党の指導者らも含まれており、その1人であるマイク・ペンス元副大統領は「そろそろ先へ進むときだ」と述べている。多数の共和党幹部が、トランプ氏に対して、再出馬して党の未来を脅かさないよう求めたが、それでもトランプ氏は出馬を宣言し、党幹部らへの圧力を強めてきたのだ。幹部らはトランプ氏を見捨てるだろう。

トランプ氏の出馬表明に対して、国民やメディア、特に保守系メディアからの反応は低調だった。保守系メディアは、選挙で共和党が劣勢となったのはトランプ氏のせいだと非難した。共和党内の分裂はかつてないほどに広がっている。

複数のアナリストが次のように主張している。共和党内で真の変化を起こすためには、民主主義に忠実であることを選んだ保守派の共和党員らが、米国民主主義への脅威であり続け、実際は権威主義的一党支配を求め、司法を政治化し、選挙制度を操作しようとするMAGA共和党員に対して、今こそ独自のアジェンダを展開し、党内の反トランプ派閥を強化して、彼らを組織的に拒み、挑み、距離を置かなければならない、と。

そのためには、共和党は党の支持基盤と精力的にコミュニケーションをとり、トランプ氏の再選に伴うリスクと、トランプ氏がホワイトハウスに戻った場合に何が生じうるかについて説明しなければならない。作家のジェニファー・ルービン氏は、共和党の政治家がトランプ氏に批判的な意見を発言するだけでは不十分だと指摘している。必要なことは、袂を分かって、トランプ前大統領にホワイトハウスに戻る資格がないとする理由を説明することである。ただし、このような断絶を行うには、共和党は、トランプ支持層を失う勇気を持たねばならない。より多くの国民の支持を得るために、保守派の共和党員らは米国の民主主義を強化するために戦い、法の支配を協力に支持し、公正かつ自由な選挙結果を全面的に信頼する必要がある。

最後に、共和党内の潜在的変化を表している最も顕著な兆候の1つに、「トランプ後の世界」を考慮する共和党員の公的・私的な言説が増加している点がある。中間選挙の不調を受けて、トランプ氏を脇へ追いやり、新世代を党首に迎え入れようとする共和党員が増えているのだ。また、共和党の有力な献金者の多くがトランプ氏に嫌気がさし、他の候補者を支援するよう求めている。保守派はまた、ソーシャルメディアやニュース番組でトランプ前大統領を批判し、彼の「有害な」政治スローガンのせいで3度連続で選挙に失敗したと非難している。

 

・マリア・マーロウフ氏はリヨン大学政治社会学修士号を取得しているレバノン人ジャーナリスト、放送者、出版者、作家である。

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