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サウジアラビアのキング・ファハド国立図書館はいかにしてイスラム史を後代へと遺しているか

キング・ファハド国立図書館は、イスラムが人類文明に果たしてきた恵沢が現在と未来の人々に今後とも裨益するうえで核心的な役割を果たしている。(提供資料)
キング・ファハド国立図書館は、イスラムが人類文明に果たしてきた恵沢が現在と未来の人々に今後とも裨益するうえで核心的な役割を果たしている。(提供資料)
キング・ファハド国立図書館は、イスラムが人類文明に果たしてきた恵沢が現在と未来の人々に今後とも裨益するうえで核心的な役割を果たしている。(提供資料)
キング・ファハド国立図書館は、イスラムが人類文明に果たしてきた恵沢が現在と未来の人々に今後とも裨益するうえで核心的な役割を果たしている。(提供資料)
キング・ファハド国立図書館は、イスラムが人類文明に果たしてきた恵沢が現在と未来の人々に今後とも裨益するうえで核心的な役割を果たしている。(提供資料)
キング・ファハド国立図書館は、イスラムが人類文明に果たしてきた恵沢が現在と未来の人々に今後とも裨益するうえで核心的な役割を果たしている。(提供資料)
キング・ファハド国立図書館は、イスラムが人類文明に果たしてきた恵沢が現在と未来の人々に今後とも裨益するうえで核心的な役割を果たしている。(提供資料)
キング・ファハド国立図書館は、イスラムが人類文明に果たしてきた恵沢が現在と未来の人々に今後とも裨益するうえで核心的な役割を果たしている。(提供資料)
キング・ファハド国立図書館は、イスラムが人類文明に果たしてきた恵沢が現在と未来の人々に今後とも裨益するうえで核心的な役割を果たしている。(提供資料)
キング・ファハド国立図書館は、イスラムが人類文明に果たしてきた恵沢が現在と未来の人々に今後とも裨益するうえで核心的な役割を果たしている。(提供資料)
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15 May 2020 05:05:04 GMT9
15 May 2020 05:05:04 GMT9

ヌール・ヌガリー&ロジーン・ベン・ガーセム

【リヤド】歴史は過去へ埋もれるのが必然という厳然たる事実はあるにもせよ、同時に、保存保管のうえ後代へと伝えることもまた可能だ。

きちんと保全し愛情こまやかに世話を見、そうして悠久の時を抗することもまたできない話ではない。

サウジアラビアのキング・ファハド国立図書館ではこうした取り組みを過去30年にわたり続け、イスラムの文化遺産の保存において将来につながる役割を果たしてきた。これにより、イスラムが人類文明に果たしてきた恵沢は現在と未来の人々に今後とも裨益することになる。

同図書館は1990年にリヤドで開設された。所蔵する手稿は6,000本を超え、写本は紙・電子を合わせて73,000を数える。手稿の多くは古代の稀覯書で、中には、西紀9世紀にさかのぼる精妙なクーフィー体コーランもある。

[video width="500" height="280" mp4="https://www.arabnews.jp/wp-content/uploads/2020/05/WhatsApp-Video-2020-05-15-at-11.13.36-AM.mp4"][/video]

同図書館の手稿担当責任者のアブドゥルアズィーズ・ナースィフ氏は本紙取材にこう語る。「1989年の設立以来、キング・ファハド国立図書館では手稿や文化遺産の保存に関心をもって取り組んでいます。これは、図書館に対し手稿保存についての王令が出たことも加味しています」

「手稿を入手した場合、私どもではその価値判断や値踏みをおこないます。当図書館へ寄贈いただけるものならどんな手稿でも、所蔵価値のある手稿ならどんなものでも喜んで所蔵したいと考えています」

所蔵するクーフィー体コーランは独特のクーフィー書体で鑑別できる。最古のアラビア文字の一種であり、きわめて角張った形状をしたこの文字で黎明期のコーランは書かれている。

クーフィーの名の由来はイラク南部の都市クーファ。初期イスラム時代の知の集積点として知られ、今のイラク首都バグダッドにあたる。

「これは紙ではなく鹿革に書かれています。革に聖句をしたためるのはテキストに敬意を示した証しです。表紙は改められていますが」とナースィフ氏は語る。

このクーフィー体コーランは20年も前にアラビア半島南部で購入された。延命措置として最近になって再製本されている。

[caption id="attachment_14714" align="alignnone" width="537"] AL IGNAA LITALI AL INTIFAA 著者:ムーサ・ビン・アフマド・ビン・アル=ヒッジャーウィー(ヒジュラ暦968年)。 書写:アブドゥッラー・ビン・スライマーン・ビン・アフマド。 書体および書写日:ナスフ体。ヒジュラ暦1901年10月16日書誌記録:2巻よりなる貴重な写本。行脇に多数詳説。1ページ目は端部破損につき補修テープにて修復。黒字は叙述、赤字は章頭を示す。装丁は現代風。 頁数:177+149 サイズ:30.5 x 20 cm 行数:29 所蔵ナンバー:699/ Al-Ifnaa[/caption]

コーラン手稿についてはほかにも古代書体でしたためられたものを所蔵する。また、西紀995年にバグダッドで没した著名な詩人アル=アフナフ・アル=アクバリーの詩作といった特殊本も所蔵する。

14世紀後葉に書かれたイブン・ダキーク・アル=イードの『アフカームのアフカーム』も所蔵する。アル=イードといえば、イスラムの法と信条の基盤となる偉大なイスラム学者の一人だ。

また、“Yatimat Al-Dahr” も所蔵する。これは、アンソロジーや諷刺詩集で知られるアラブ人ないしペルシャ人作家 Abu Mansur Al-Thaalibi の著作だ。

同館が手稿を入手すると、厳格かつ緻密な保守保存作業が待ち受ける。

「手稿はそれぞれ、まず修復・消毒に回され、次いでこちらの保存部門に回付されて目録化されます」とナースィフ氏は言う。

[caption id="attachment_14710" align="alignnone" width="473"] ヒジュラ暦3世紀のクーフィー体コーラン
羊皮紙に書かれたコーラン。繊細かつ美麗な手法での表現に心を砕いている。コーラン手稿はこうした横書きで羊皮紙に書かれるのがこの時代のコーランの特徴。
黒字で書かれている。短母音は赤字で表記。ハムザについては黄字で書かれ、シャッダは緑字で書かれる。
このコーランは Surah Al Imran 第50節より始まり、Surah Abasa で終わる。
現存する2冊については後代のもの。
頁数:165 外寸:25 x 17.5 cm 行数:17 保管ナンバー:2500/書庫[/caption]

が、手稿がすべて修復に回されるわけではない。「かえってダメになってしまうこともあるからです」と同氏は言う。

修復の後には目録化が続く。これはたいへんな作業だ。

ナースィフ氏の説明はこうだ。「目録を作成するときは最初に次のような情報を記載します。表題、著者名、手稿の寸法(縦横)、書写した者の名前、手稿末尾の記載事項。このように分けると、同じ体裁でそれぞれの手稿の見分けが付くのです」

[caption id="attachment_14713" align="alignnone" width="507"] AL-MUWATTA
Mohammed ibn Al-Hasan が語り、Imam Malik ibn Anas が編纂した Al-Muwatta
日付:ヒジュラ暦179年
書写者:Abdulqader bin Mohammed Al-Qurashi 書写場所:Al-Azhar Mosque
書体および書写史:ナスフ体。ヒジュラ暦719年4月10日(木)
近代ハナフィー学派法学者 Abdulqader Al-Qurashi による貴重な写本。“Tabaqat Al Hanafiyah” の著者でもある。原音による面談記録、書写日は面談日でもある。10部に分けられ黒字で書かれる。
頁数:123 寸法:17.5 x 26 cm 行数:21 保管ナンバー:193/ファトワー[/caption]

手稿の古さやかけがえのなさを鑑みると、保存法も劣らず重要であり、まさにここに図書館の使命の核心があるといえる。

「手稿は虫が付いたり細菌が付着することを避けるため、冷温保存が必要です。これらが付くと紙や皮革にも書かれることのある手稿に害が及ぶからです」とナースィフ氏は言う。

劣化を避けるため、手稿は一年ごとまたは半年ごとに滅菌処理をほどこされる。

物理的な歴史的資産を有する図書館のような知の宝庫は、デジタル化の時代にも求められる。キング・ファハド国立図書館はこうした時代の要求にも応えている。

[caption id="attachment_14712" align="alignnone" width="508"] 聖コーラン
Sherif Al- Mu’min bin Mohammed Naseer Al-Qummi 写本。Al-Majood ナスフ体。ヒジュラ暦122年8月。
幾何学模様と花柄をあしらった熱情的な装飾。丸みを帯びた金の詩標、テキスト欄は金罫および多色罫。各章頭は金の下地に赤字で筆記。
装飾は色彩豊かな植物柄。枠は金箔で取り巻き、植物の連続パターンで飾る。
頁数:270 寸法:17 x 26.5 cm
行数:14
保管ナンバー:369/書庫[/caption]

手稿全体のデジタル化にも取り組んでいる。「ほとんどの手稿はマイクロフィルム化にとどまりますが、光学ディスクおよびハードディスクにデジタル化する作業もおこなっています」とナースィフ氏は言う。

専門家や歴史愛好家、また一般利用者に向けても、所蔵する貴重な蔵書群を電子サービスからアクセスできるようにしている。

利用者はログインのうえで浩瀚なコレクションを閲覧、要望も伝えられる。専門家については、研究用に特定の手稿や稀覯本、また写真を要望することもできる。

[caption id="attachment_14711" align="alignnone" width="475"] 『勇敢詩集』
アブー・タンマームことHabib ibn Aws Al-Ta'i。書体および書写史:母音を正確に記述したナスフ体。ヒジュラ暦1065年9月7日。
Mohammed Jalabi bin Mohammed Agha、一名 Qazdaghly の書写になる校訂本。奥付は Mohammed bin Omar Al-Ardi Al-Halabi に帰属。
書写者のコメントあり。別に、Ared 学派教師の Yahya Khaled に帰属する奥付もあり。本文は黒字、詩は赤字で記述。
頁数:175
寸法:12 x 20.4 cm
行数:29
保管ナンバー:382/書庫『勇敢詩集』
サルマーン国王寄贈[/caption]

同館のサービスはサウジ国内外のすべての人々に開放されている。

キング・ファハド国立図書館では、米国の図書館が所蔵する最も重要なアラビア語手稿コレクションであるプリンストン大図書館所蔵のマイクロフィルムについても入手している。

また、ジューイッシュ大図書館所蔵のスライド複写手稿1,140枚についても所有する。

書き忘れるところだが、リヤド図書館蔵の792点の文書からなる “Dar Al-Iftaa” もキング・ファハド国立図書館に移管されている。これは、サルマーン国王がリヤド州知事と図書館の管理主幹を務めていた時代の命による。

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