
アラブニュース
リヤド:中国でインターン生として学んだサウジアラビアの医学生が、王国の新型コロナウィルス感染症によるパンデミックとの闘いの最前線に立っている。
昨年1月に河北医科大学を卒業したマーズ・バシル氏(27歳)は、午前中に患者の治療を行い、夜は検疫センターでボランティア活動に取り組んでいる。
彼は中国での医療研修課程の最後の数週間に非常に危険なウイルス感染症について学んだが、帰国後すぐにパンデミックと闘うサウジのチームの一員になるとは予想しなかった。
「最初は怖かったが、時間が経つにつれ、だんだんと慣れてきた。 現在、毎日新型コロナウィルス感染症の患者を診ていて、平均して多くて20人の新規感染者を診断している。 それが仕事の日常になっている」と彼は述べている。
感染症が蔓延し出した初期、バシル氏はウイルスとその患者に対処する方法についてトレーニングを受けた。このトレーニングによって、彼は恐怖心を克服し、マディナのキング・ファハド病院のチームと協働する資格を得ることができた。
バシル氏の家族、特に母親は、彼が新型コロナウィルス感染症と関わっていることを非常に心配していた。そうした家族の恐れを拭うことも、彼につきつけられた課題の一つだった。
「医療インターンとして、さまざまな新しい経験を学び、チャレンジしたいという熱意を抑えることができなかった。 母は、この崇高な使命を遂げたいという私の決意を知って、ようやく認めてくれた。 現在、母は私を支えてくれている」と彼は述べている。
しかし、家族の後ろ盾は、バシル氏が病院から感染症を持ち帰って、家族にうつさないことに対して、彼の肩により重い責任を負わせた。バシル氏は自宅で自分を隔離し、病院の同僚と同じく、新型コロナウィルス感染症検査を定期的に受けている。
バシル氏は、新型コロナウィルス感染症の検査で陽性となる新しい患者に触れる中で、感情的になり、心の平静を保つことが非常に困難になるときがあることを認める。 「腎不全で新型コロナウィルス感染症の検査で陽性となった1人の子供を忘れることができない。 そのような子どもの感染者には本当に心が痛む」。
彼は、検疫センターや病院でボランティアの仕事を探すことで、サウジアラビアとウイルスとの戦いに加わるよう促している。
バシル氏は、この新型コロナウィルス感染症危機が収束し、インターンシップ・プログラムを修了したら、中国に戻り、卒業し、奨学金を獲得している河北医科大学で高等教育を継続する予定だ。
バシル氏によれば、ここ数年の間に、サウジアラビア人の中国で勉強することに対する関心が高まっている。 「中国で高等教育を受けることに興味を示しているサウジアラビア人から、ツイッターを通じて多くの質問が寄せられている」。
バシル氏はアラビア語、英語、中国語、ビルマ語(ミャンマーの公用語)を話せるが、中国語とビルマ語は中国の学生時代に学んだものだ。 彼はシリアで2年間医学を学んでいだが、内戦勃発後すぐに同国を離れ、2015年に中国に留学している。