









ルバ・オべイド
ジェッダ:多くのセクターがサウジ女性に雇用機会を提供しているが、航空分野もその一つだ。サウジ女性は既に航空管制、オペレーション、管理の業務に就き、フライトアテンダントとしても働いている。
サウジアラビア航空が運営するジェッダのプリンス・スルタン航空アカデミーでは、2年前からサウジ女性にフライトアテンダントの訓練を施している。国家規模で雇用の現地化と女性の社会進出を図る取り組みの一環だ。
このクラスが開始されて以降、37人のサウジ女性のフライトアテンダントが卒業し、その人たちは現在、国内線・国際線のフライトで男性の同僚と一緒に仕事をしている。これまでも常にフライトアテンダントに女性はいたが、従来は外国籍の女性に制限されていた。
訓練生はお客様対応、フライト前の手順、搭乗、機内サービス、安全・セキュリティ手順、応急処置などの、特別な技量をマスターするための2カ月間の集中訓練プログラムを受講する。
現在アカデミーで安全訓練を受講中のフライトアテンダント訓練生サウジ女性、バイラサン・アフマド氏は、フライトアテンダントへの道のりは楽しい、とアラブニュースに語った。
「この仕事はサービスやおもてなしがメインだと考えていました。しかし、訓練では、安全について、また救急医療や火災といった緊急事態への対処について学びました」
サウジ女性が示した成果にはたいへん驚いています。知識に優れ、成績も優秀です。サウディア航空の文化とおもてなしを象徴する人たちとしてはサウジ女性が最適だと思います。
ハッタン・アル・シャリフ氏
アフマド氏は幼い時分からよく旅行に出かけ、そこで出会うフライトアテンダントにいつも感銘を受けていたという。
「フライトアテンダントの人たちと話をし、その仕事について教えてもらいました。多くの責任を担っていることもわかりました。ところが、実際に自分が訓練を受けてみると、予想とは異なる経験をしました」
アフマド氏はこのチャンスを与えられたことに感謝しており、またナショナルキャリアであるサウジアラビア航空を代表するサウジ人として名乗ることを誇りに思っている。
サウジアラビア王国のフラッグキャリアでの雇用を希望するサウジ女性の応募要件は、30歳未満、高卒以上、英語に堪能というものだ。他に、全身の容姿と態度に関して特定の条件もある。
もう一人のサウジ人女性フライトアテンダント訓練生、ミアド・アル・バラカ氏は、この機会に意欲満々であることを表明した。「サウジ女性にはこうした職に就く能力があることを、世界に向けて示したいと思います。この職業で一番気に入っているのは、国を代表できることです」
アル・バラカ氏は、最高のおもてなしを提供するという搭乗客に対する責任感や、この職業では世界中を訪ね歩けることも、気に入っているという。
サウジ女性訓練生は職業訓練で100パーセントの合格率という破格の成績を残した、とアカデミーの職員が語った。
ハッタン・アル・シャリフ氏は2002年以来サウジアラビア航空で働いている。この3年はフライトアテンダントの教官を務め、機内サービスを教えている。
アル・シャリフ氏は、「サウジ女性に訓練を施す教官に選ばれたこと、サウジアラビア王国全体で起こるこの大きな変革の一端を担えることを、たいへん誇りに思っています」と、アラブニュースに語った。
アル・シャリフ氏によると、サウジ女性の志願者は高学歴の傾向があり、この仕事に本物の熱意を抱いているという。
「サウジ女性が示した成果にはたいへん驚いています。知識に優れ、成績も優秀です。サウジアラビア航空の文化とおもてなしを象徴する人たちとしてはサウジ女性が最適だと思います」
やはりアカデミーでフライトアテンダントの訓練を受講しているアラー・アラフ氏によると、今でも多くの人がフライトアテンダントの大切な責任について明確に理解していないという。
アルフ氏は、「この職業には多くの誤解がつきまとっています」と、アラブニュースに語った。
「フライトアテンダントは食事を作っている、と考えている人もいます。しかし、実際には私たちはいっさい料理に関わりません。主な任務は、安全やセキュリティに関わる業務です。客室内のすべてのものが適切な場所、所定の位置に収まっていることを保証する役割です。離陸前や飛行中にすべての人の安全を確保する役割も担っています。この『すべての人』には乗客だけでなく、客室乗務員も含まれます」
2016年にアラフ氏はフライトアテンダントになることを希望したという。当時はまだサウジ女性はこの職に採用されていなかった。
「サウジアラビア王国で起こりつつある大きな変革に感謝しています。サウジ女性に無限の機会が与えられようとしています。サウジ女性はどの分野でも能力があり、優秀であることを証明できる、と確信しています」
サウジアラビア民間航空総局は今年、民間航空部門全体に及ぶ専門職28種の航空輸送職1万人の雇用を2023年までに現地化する計画を発表した。これにはフライトアテンダントの職も含まれる。
この計画は、航空部門のさらなる強化に関する同局と人材・社会開発省の協力の賜物だ。両当局は、ビジョン2030の改革プランの目標に則して、サウジアラビア王国の失業率を7パーセントに低下させたいと考えている。
サウジビジョン2030では、サウジアラビア王国経済を石油一辺倒から多様化していく方策の一環として、国全体の労働力に占める女性の比率を30パーセントに高めることを目指している。