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リサイクルの文化はサウジアラビアで排出されるゴミを削減できるか

サウジアラビアでは年間約1500万トンものゴミを排出しており、その95%が埋め立て処理され、リサイクルされるのはゴミ全体のわずか5%だ。 (シャッターストック)
サウジアラビアでは年間約1500万トンものゴミを排出しており、その95%が埋め立て処理され、リサイクルされるのはゴミ全体のわずか5%だ。 (シャッターストック)
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28 Jan 2022 08:01:16 GMT9
28 Jan 2022 08:01:16 GMT9
  • GCC諸国の消費文化はゴミの山を作り出した。そのほとんどが生分解性のないものだ
  • 「循環型経済」が、サウジアラビアの人々にゴミを自らリデュース(削減)、リユース(再利用)、そしてリサイクルさせる大きな機会を生み出す

ラワン・ラドワン   

ジェッダ: 世界の他のほとんどの地域と同様、中東諸国全体でも、人口の増加、都市化、そして経済の拡大に伴い、個人の消費だけでなく排出されるゴミの量も大幅に増加している。

5つの湾岸協力会議参加国— バーレーン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタールとクウェート—は、国民一人当たりが排出する一般廃棄物の量で世界トップ10にランクインしている。

原油から得られる富のおかげで、これらの国々における消費支出はここ数十年間成長を続け、国内経済を牽引する重要な要素となっている。しかし他の先進諸国と同様、消費者主義文化はゴミの山を作り出し、そのほとんどに生分解性はなく環境にとって非常に有害なものである。

サウジアラビアだけでも年間約1500万トンものゴミを排出しており、その95%が埋め立て処理され、土壌を汚染し、メタンを含む温暖化ガスを何十年にもわたり大気中に排出している。

埋め立て処理されなかったものは、ポリ袋、ファストフードの容器、プラスチックボトルやソーダの空き缶といった形で街中の路上にポイ捨てされている。

2020年初めから2021年前半までの間、サウジアラビアでリサイクルされたのはプラスチック、金属や紙を含め、ゴミ全体のわずか5%だ。

ゴミの排出を減らし、脆弱な生態系を守り、再利用可能な資源を最大限に活用するために、サウジアラビアは「循環型経済」の概念を有効に活用できる。これはつまり3-R:リデュース、リユース、そしてリサイクルのアプローチを取り入れた無限ループのシステムだ。

この変革の動きをリードするのが、2017年公的投資基金(PIF)の完全子会社として設立されたサウジアラビア投資リサイクル会社(SIRC)だ。

SIRCでは有害産業廃棄物の85%、固形廃棄物の100%、建設廃材の60%を2035年までに埋め立て地から移動させる計画だ。彼らの権限の下にないのは軍や原子力関連の廃棄物だけで、それらは専門機関によって扱われる。

循環型経済モデルは製造、エネルギー産業やサービス分野にとっても、多くの機会を生み出すことになる。ビジョン2030の改革戦略に沿ってサウジ経済を原油関連産業への依存から脱却させる多様化に大きく寄与するものだ。

サウジアラビアでは、より持続可能なゴミ処理システムに移行していくため2035年までに240億リヤル(64億ドル)をゴミのリサイクルに投資する計画だ。13億リヤルを建設廃材に、9億リヤルを産業廃棄物に投資する。都市ゴミへの投資は200億リヤルを超え、またその他の種類のゴミに対する投資は16億リヤル以上になる。

循環型経済で価値を生み出す方法はいくつかあるが、その一つが「廃棄物発電」で、ゴミ、生汚水や産業スラッジを乾燥させ焼却し、蒸気タービンを動かすというものだ。

サウジアラビアのボランティア。ビーチのゴミを除去し、海へ再び流れ出るのを防いでいる。(提供/ワールドクリーンアップデー)

ゴミを焼却することにより二酸化炭素が排出されるが、埋め立て処理場に放置して分解されるのを待つと、温室効果ガスであるメタンがその20〜40倍も多く、しかも長い年月にわたって排出されてしまうことになる。

当然、循環型経済へのアプローチは効果をあげている。2020年サウジアラビアはG20の議長国を努め、同盟国に対して、大気中の炭素排出を削減するための方策として炭素循環型経済(CCE)を提案した。

しかし炭素循環型経済(CCE)モデルは大企業、小規模企業の起業家、また一般市民の積極的な参加がなければ成功しない。

専門家によれば、王国のリサイクル施設建設は、解決策のほんの一端に過ぎないと言う。サウジ国民に対し家庭でのリサイクルや責任ある消費といった意識を植え付ける努力も同時に進めなくてはならない。

「インフラへの投資も必要だが、それと同等に教育とそれを支援するプログラムの策定が不可欠だ。」とSIRCのCEOジヤド・アル・シーハ氏は10月、アラブニュースに対し述べた。「25〜35%のリサイクル率を達成できれば、国民に「ご覧ください、これが皆さんの努力の成果であり、我々が皆さんに還元できる成果なのです」と言えるのです。」

サウジアラビアの環境分野の成長タイムライン

2016: サウジビジョン2030を発表

2017: 国家再生可能エネルギープログラムを発表。

2018: 国家環境戦略を発表。

2019: サウジアラビアが国際太陽光同盟に加盟。

2020: 環境基金の設立。

March 27, 20213月27日: サウジ・グリーン・イニシアティブ(SGI)と中東グリーン・イニシアティブを発表。

Sept. 16, 20219月16日: ファラサン島がユネスコエコパークネットワークに登録される。

Oct. 23, 202110月23日サウジアラビアが2060年までの温室効果ガス排出実質ゼロにする目標を発表。

Oct. 23, 202110月23日: サウジアラビアがグローバル・メタン・プレッジに参加。

コミュニティレベルでも環境に配慮した行動への関心が高まっている。サウジアラビアの高速道路は以前よりも整備され、街の中でも排水溝がタバコの吸い殻やティッシュペーパー、紙カップや捨てられた食べ物のパッケージゴミで詰まるということがなくなったのだ。

このような改善が見られたのは罰則の導入による側面もある。都市農村省は公共の場所でのポイ捨てまたは唾吐き行為に対し133ドルの罰金を課すことが可能となった。

しかしまた市民社会団体が行ったキャンペーンの効果によっても、環境に対する関心やリサイクル、家庭ゴミの削減に対する一般市民の関心が非常に高まっている。

Mawakeb Alajerはジェッダで17年間、コミュニティレベルでのリサイクル促進活動として分別施設を運営している団体だ。ここには紙くずからプラスチックゴミ、不要になった家具、古い結婚式用のドレスまで、あらゆる資源ゴミを一般市民が持ち込むことができる。

「リサイクルショップとして、人々から不要になったものを寄付してもらうことで、ゴミを減らして環境を保全する役割を担っています。とマワケブ・アラジャーの広報を担当するサラ・アルファドル氏はアラブニュースに語った。

「私たちは、コミュニティの一人ひとりに役割があると思います。そして皆が恩恵を受けられるようなサービスを提供しています。寄付されたものは全て分別しています。これには多くの時間と人手を要し、とても大変です。ありがたいことに、私たちが受け入れている物品は衣類でも資源ゴミでも状態の良いものがほとんどです。」

地元企業も協力し、トラックに山積みされた資源ごみがマワケブ・アラジャーの施設に運び込まれ、そこで分別される。その後販売されたり寄付されたり、または再利用、再資源化、別の目的で利用するために運ばれる。この過程で、団体は徐々に人々の態度を変化させてきた。

「まだ始まったばかりですが、意識は確実に広まっています。」とアルファドル氏は言う。

学校においても「環境リテラシー」プロジェクトを取り入れることで次世代の行動を形成する重要な役割を担っている。ここでは生徒に学校に関連したリサイクル計画とサイエンスプロジェクトを取り入れた学習機会を与えている。

サウジ市長がイギリス人居住者、ニール・ウォーカー氏に対し、27年間ビーチクリーニングを行い、アル・コバールでのクリエイティブな環境活動の先駆けとなったとして表彰。(提供)

多くのサウジアラビア企業も、国家の持続可能な開発目標に沿って、循環型経済モデルへの変革を進めている。

現地で企業間での環境持続性ソリューションを提供するNaqaaの共同設立者、モナ・アルオスマン氏によれば、現在多くの企業がリサイクルやゴミ削減といった活動をビジネスモデルに組み込んでいると言う。

「これは一過性のものではありません。」と彼はアラブニュースに話す。「多くのサウジアラビア企業がオフィス用品を削減、再利用し再資源化するための独創的な方法を取っており、とりわけゴミの管理を改善していこうとしています。」

「ここ最近で多くの変化がありました。国際基準を準拠するために、規制はより厳しくなりました。当社の理念も持続可能性を中心としており、リサイクルもその一部です。」

「今日では、企業はオフィスから出る廃棄物に対して当社が提案したソリューションを採用するだけでなく、ゴミの出し方について人々の意識を高めるキャンペーンを積極的に行なっています。」

こういった教育、チャリティ活動、厳しい規則やペナルティを含む多方向からのアプローチが、王国の企業組織に対して、より環境に優しい活動を行うことを促し、コミュニティに対しても、ライフスタイルが環境に与える影響を考える機会を与えている。

自分たちの雇用主、近隣住民や地元当局に対して、より環境に対して責任ある行動をとることを促すために、サウジアラビア国民にできることは各家庭でも職場でも、まだ多く残されているとマワケブ・アラジャーのアルファドル氏と同僚たちは考える。

「リサイクル活動はここサウジアラビアでもっと拡大すると思います。」アルファドル氏は言う。「意識の高まりによって、一つのプロジェクトあるいは短期的なイニシアチブであったものが、必然となったのです。」

「我々のアプローチは常にボトムアップでした。従業員の誰かが持続可能性を求めた行動を行えば、間もなく他の人も同じことを行い、同じアプローチを行う人々のコミュニティが生まれるのです。」

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