
アラブニュース
リヤド:サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子が国賓訪問でフランスに到着した。これは、2つの友好国間で頻繁に行われてきたハイレベルな交流の伝統を引き継ぐものである。
フランスとサウジアラビアの政治的結びつきと戦略的パートナーシップの強さは、近年、両国の首脳や高官が行った数多くの訪問に表れている。
2017年以来、サウジアラビアの皇太子は一度フランスを訪れている。 同時期、フランスの外相はサウジアラビアを3回訪問し、エマニュエル・マクロン大統領は1回訪問した。
最後の公式外交訪問は2021年12月、マクロン大統領が湾岸諸国視察の一環としてジェッダでムハンマド・ビン・サルマン皇太子と会談した時である。
フランスとアラビア半島の正式な関係は、1839年にフランスがジェッダに、地域初の外交上のポストとして領事館を開設した時にまで遡ることができる。
1919年には、後のサウジアラビア国王、ファイサル・ビン・アブドルアジーズ王子が、王族として初めてフランスを公式訪問した。1932年に成立したサウジアラビア王国の前身であるナジュド及びヒジャーズ王国をフランスが承認し、本格的な外交関係が始まった。
フランスが王国を承認した最初の国々の一つとなった後、ファイサル王子は外務大臣として再びパリを訪問した。
1967年には、ファイサル国王は君主としての初の国賓訪問で、パリでシャルル・ド・ゴール大統領を訪問した。それ以来、両国の関係は発展し、かつてないほど緊密になっている。
軍事援助や先端技術から経済・文化協力に至るまで、数多くの協定が両国の間で結ばれている。
フランスのヨーロッパ・外務省のウェブサイトによると、サウジアラビアとフランスの関係は、「問題を抱えた地域における安全保障の維持、テロ対策への共通のコミットメント、および地域の危機に対する見解の一致」という共通の関心に基づいて構築されている。
サウジアラビアとフランスは、両国の経済史と総貿易量の両方が示すように、強固なビジネス関係を築いている。国連の国際貿易データベース「コムトレード」によると、2021年、フランスは38億ドル相当のサウジ製品を輸入し、32億3000万ドル分を同国へ輸出した。
バンク・サウジ・フランシは、1977年にサウジ王令によって設立されたサウジの株式会社で、フランスのクレディ・アグリコル・コーポレート・アンド・インベストメント・バンクと提携している。現在、サウジアラビア国内に100以上の支店を有し、海外にも支店を展開している。
2003年に設立されたサウジ・フランス・ビジネス・カウンシルは、これまで数十回の会合を開き、二国間の貿易・投資について協議してきた。
両国は互いに経済的関係を結ぶだけでなく、共同経済援助で他国を支援するために協力し合ってきた。
今年4月、サウジアラビアとフランスは、危機的状況にあるレバノンの食の安全、医療、教育、エネルギー、水、国内治安部隊の開発のために、7600万ドルを提供する共同開発基金を発表した。
おそらく、サウジとフランスの関係で、文化・芸術の共同事業ほど強固で目につきやすい分野はないだろう。2018年、サウジアラビアの文化大臣であるバドル・ビン・アブドラ・ビン・ファルハーン王子とフランスのジャン・イヴ・ル・ドリアン外務大臣は、文化・観光名所アル・ウラーの開発で協力する政府間協定に調印した。
この協定以降、フランスとサウジアラビアはアル・ウラー開発に密接かつ集中的に取り組んでいる。また2018年には、アル・ウラー王立委員会が、アル・ウラーで働くサウジアラビア人ホスピタリティ業界従業員68名の研修を行うため、フランス政府留学局と協定を結んだ。翌年には、この地に、受賞歴のあるフランスの建築家ジャン・ヌーヴェル氏設計の高級リゾートが建設されることが発表された。
現駐サウジアラビア仏大使のルドヴィック・プイユ氏は、今月初め、アラブニュースに対し、継続的な文化協力について語った。
「2002年、フランスの考古学者ライラ・ネフメ氏が率いる仏・サウジ間の最初の考古学的発掘がマダイン・サーレハで開始されました」と同氏はアラブニュースに語った。
「今年、この協力関係は20周年を迎え、サウジにおいて16もの仏サウジ考古学ミッションに展開してきました」
また同氏は、フランス・サッカー連盟と協力して、サウジアラビアの若者のためのトレーニングセンターを開設する協定が近年いくつか結ばれていると指摘した。
今年5月には、サウジ・フランス・ビジネス・カウンシルが、エンターテインメント業界を代表するフランスのハイレベルな代表団を招き、サウジで隆盛を誇るエンターテインメント産業へのフランスの投資の可能性について話し合った。
フランスとサウジの共同教育事業は、フランス政府留学局の取り組みだけではない。2021年、リヤドでの夕食会で、当時の駐サウジアラビア仏大使ベルトラン・ベザスノ氏は、1500人のサウジ人学生がフランスの大学で学んでおり、これらの大学の多くが、国内のサウジ人学生の増加を目指す協定に署名したと述べている。
G20のメンバーである二国は、進歩と近代化に関する明確なビジョンも持っている。ムハンマド・ビン・サルマン皇太子は2016年に「サウジ・ビジョン2030」を打ち出し、フランスは数カ月前に独自の「フランス・ビジョン2030」を打ち出した。両計画の目標には、再生可能エネルギーへのエネルギー転換、デジタル・トランジション、持続的な経済成長などが含まれている。
フランスは長年、サウジアラビアへの軍事・過激派攻撃に際し、同国と連帯してきた。1979年12月、フランスはエリート特殊警察GIGNからアドバイザーを派遣し、サウジアラビア情報総局のメンバーを訓練した。彼らは、武装狂信者によるメッカのグランドモスクの包囲を終わらせた。
今年3月、フランスはイランが支援するイエメン人武装組織「フーシ派」がサウジアラビア領内で行った攻撃を非難した。
フランスはサウジアラビアへの防衛装備や技術提供の主要国でもあり、その関係は2015年に両国の間で締結された120億ドルの取引によって裏付けられている。
2019年、サウジアラビア軍事産業(SAMI)はアブダビで開催された軍事展示会で、フランスの海軍グループとサウジアラビアで軍艦を建造する契約の締結を発表した。その2年後、SAMIはフランスのエアバス社、フィジャック・アエロ社との共同出資を発表した。
このような背景から、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子の訪仏は、両国の外交関係のあらゆる分野での結びつきを強めることが期待される。