



ハラ・タシュカンディ(Hala Tashkandi)
サウジアラビア、ミナ:ハッジ(メッカ巡礼)の苦難が肉体的に不十分だとでも言うように、ロンドンの勇敢なサイクリストチームが自分たちを極限に追い込み、巡礼を行うために都市メッカまで自転車で向かった。
ターへ・アクターが率いる「ツール・ド・ハッジ」チームは、巡礼期間に間に合うようにメッカへたどり着いただけでなく、マディーナへも立ち寄って預言者のモスク(預言者ムハンマドの霊廟)でも祈りを捧げた。
同チームの旅の目的は、パキスタン、南アフリカ、ウガンダなどの国々で井戸、学校、モスクを建設する慈善活動のための資金集めだった。同チームはメッカ到着までに55,378ポンド(66,927ドル)を集めた。
8人のサイクリストとサポートドライバーで構成された同チームは、途中17か国を経由して58日間の旅をした。同チームは6月7日に、イースト ロンドン モスクでジュマの礼拝(金曜礼拝)を行ってからロンドンを出発した。
ハイライト
イード・アル=アドハー(犠牲祭)の初日、アラブニュースがメッカで同チームの3人のメンバーに話を聞いた。
サポートドライバーで、チーム内で唯一ハッジ経験のあるイスラー・フセインは、今回の旅ではいつも仲間のドライバーを助け、ハッジにまつわる様々な儀式を案内していた。
フセインは、「私は普段は普通の配達ドライバーです。4か国に5つの近代的な村を作って貧しい人々を助けるというジュナイドの構想に感銘を受けました。村にはモスクと学校があり、地元住民にソーラーパネルと井戸を提供します。ジュナイドからその話を聞いたとき、私はすぐに参加しようと思いました」と語った。
「今回のハッジの旅は素晴らしかったです。私は2014年にハッジを果たしていたので、今回のハッジは亡くなった祖父のために行いました」
同チームのサイクリストであるジュナイド・アフサルは、2017年に自転車で聖地メッカへ向かったあるグループの取り組みに触発された。アフサルは、「2、3か月間、そのことについてずっと考えていたので、『これが朝目覚めたときに最初に考えることなら、実現するために最善を尽くそう』と自分に言い聞かせました。そして今日、私たちはハッジを達成しました」と語った。
アフサルはこの旅の実行を決断する前はサイクリストではなかったが、事前準備に最善を尽くしたと語った。しかし、道のりには常に予想外のつまずきとリスクが待っていると述べた。「試験のようなものです。どんなに準備をしても足りません。何が起こるかわかりませんでした。また、トレーニング最中にラマダンが始まったので大変でした。私たちは週100マイル(160km)のトレーニングで、週400〜500マイル(600〜800km)の実際のサイクリングを実行しました。週400〜500マイルを実際にトレーニングするのは無理です」
今回の旅で一番素晴らしかったのは、「目の前で神の奇跡を目にする」ことだったとアフサルは語った。最も困難だったのは、家族をロンドンに残すことだった。「自転車で旅立つ日、出発前に周囲を見回したら、私の家族が今にも泣き出しそうな顔をしていたのが見えました。私はただ前を見て、決して振り返ることはありませんでした。これまでの人生でもっとも辛い経験でした」
サイクリングの長旅で疲れ切った体でメッカに到着したチームにとって、ハッジ自体も大変だった。「今回の旅のあとで、メッカ巡礼は問題ないと思っていましたが、歩くのと自転車に乗るのは全く異なるものです。本当に大変でした」
アフサルはアドバイスとして次のように語った。「一番のアドバイスは、生計を立てることだけを目指すのではなく、人生に大きな変化を起こすことに情熱を傾けるべきです。時間を無駄にせず、偉大なことを成し遂げて遺産を残してください。人の記憶に残るのは世界一の金持ちではなく、世界を変えた人物です」