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「2030年万博の開催地にリヤドを選ぶことは賢明で先見性がある」と元フランス文化相

フランスとサウジアラビアの文化交流を積極的に支援してきたジャック・ラング氏は、リヤドで2030年万博を開催することはアラブ地域にとって大きな意味があると述べた。(AFP)
フランスとサウジアラビアの文化交流を積極的に支援してきたジャック・ラング氏は、リヤドで2030年万博を開催することはアラブ地域にとって大きな意味があると述べた。(AFP)
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18 Jun 2023 12:06:45 GMT9
18 Jun 2023 12:06:45 GMT9
  • ムハンマド・ビン・サルマン皇太子がパリでマクロン大統領と会談する中、アラブ世界研究所所長がサウジアラビアで進行中の「文化革命」を称賛
  • また、万博をサウジアラビアの「類まれな首都」で開催することは、「多くを示唆する象徴的な意味」があると発言

ダリア・リアチ

パリ:サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子による今週のパリ公式訪問に合わせて、元フランス文化大臣で、現在はアラブ世界研究所(IMA)の所長を務めるジャック・ラング氏は、リヤドは2030年万博の開催都市として「賢明で先見性のある選択」だとアラブニュースに語った。

ムハンマド・ビン・サルマン皇太子は6月16日、フランス大統領官邸エリゼ宮殿でエマニュエル・マクロン仏大統領と会談し、サウジアラビアとフランスの関係と協力を強化する取り組みについて話し合った。

「今回の公式訪問は極めて重要なものであり、皇太子殿下がパリにいらっしゃることを嬉しく思います」と、ラング氏はパリのセーヌ川を見下ろす8階の自身のオフィスでアラブニュースに語った。

「フランス大統領とサウジアラビア首相が国際情勢に関する時事問題全般を話し合う機会であり、フランスとサウジアラビアの友好関係の節目となる機会です」

2023年6月16日、パリのエリゼ宮殿でサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子を迎えるエマニュエル・マクロン仏大統領。(AP)

フランスとサウジアラビアの緊密な文化交流を長年にわたって積極的に支援してきたラング氏は、サウジアラビアの「類まれな首都」で世界的なイベントである万博を開催することはアラブ地域にとって非常に象徴的な意味があり、近年のサウジアラビアの成果を際立たせることになるだろうと述べた。

「第一に、サウジアラビアは広大な領土に膨大な人口を抱える大国です。活発で創造的な若者や積極的に参加する女性がいる活気に満ちた国です」とラング氏は語った。

「サウジアラビア当局が構想している投資プロジェクトは、文化的な発展が期待でき、産業や経済の発展も期待できる有望なものだと言えます」

「また、現在にとどまらず、アラビアには歴史があり、文明があり、世界の生活に大きなインパクトを与える瞬間があります。アラビアで最も重要な国で万博を開催することには、多くを示唆する象徴的な意味がある考えています」

ラング氏はさらに、「2030年万博の開催地にリヤドを選ぶことは賢明で先見性がある選択」だと語り、サウジアラビアを「未来の大国」と表現した。

 サウジアラビアは、リヤドを2030年万博開催候補地として正式に申請した。2030年万博は「変化の時代:地球を先見性のある明日へ導く」をテーマに、2030年10月1日から2031年3月31日まで開催される予定だ。

博覧会国際事務局調査団のメンバーは昨年3月、リヤドの2030年万博開催地への立候補を評価するため、サウジアラビアの大臣や専門家と会談した。(提供)

2020年ドバイ万博、2025年大阪万博に続き、リヤドは2030年の万博を同市のすぐ北にある600万平方メートルの敷地で開催することを提案している。ムハンマド・ビン・サルマン皇太子は来週初めにパリで開催される博覧会国際事務局(BIE)の総会でサウジアラビアの立候補をアピールする予定だ。

6月19日には、サウジアラビアは万博開催に向けたサウジアラビアの招致活動の一環として、フランスの首都パリで179カ国を対象に公式レセプションを開催する予定だ。2030年万博の開催都市を選ぶ投票は来年11月に行われる。

このレセプションには、サウジアラビア高官代表団、パリに拠点を置く国際外交団、ユネスコ加盟国の大使、主要参加団体およびプロジェクトの代表、BIE加盟国の代表、政府・民間部門のフランス高官らが参加する予定だ。

サウジアラビアのほか、韓国、イタリア、ウクライナも2030年万博の開催地への立候補を申請している。1851年から開催されている万博は、最新の成果や技術を紹介し、人類を結びつける文化的価値観を称える世界最大の舞台だ。

サウジアラビアは昨年10月、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子がBIEに送った書簡の中で、2030年万博開催地への立候補を表明した。

博覧会国際事務局(BIE)調査団のメンバーはサウジアラビアの大臣と会談し、2030年万国博覧会開催に向けたサウジアラビアの招致について議論した。(SPAファイル写真)

サウジ通信によると書簡には「私たちは変化の時代に生きており、人類がともにアクションを起こすことがかつてないほど必要とされています」と書かれていた。

サウジアラビアが開催地に選ばれた場合、当局はリヤドや全国その他地域をグローバルな文化、ネット接続性、気候変動対策などで世界クラスの開催地に進化させる計画だ。

ラング氏はリヤドへの招致が成功することを特に強く望んでいる。文化・建築プロジェクトを中心に、フランスとのさらなる協力への道が開かれる可能性があると考えているからだ。

「リヤドが選ばれた場合、最も美しい万博を作りたいと願い、そしてその方法を知っているサウジアラビアの友人たちは、大規模なプロジェクトの設計に特に才能と経験を持つフランスのクリエイター、建築家、エンジニアとのコラボレーションを求めることになるでしょう」と、アル・ウラーやパリなどでのフランスの才能あふれる人々の仕事を例に挙げながら語った。

「アラブ世界研究所は、私が選んだ若手建築家のジャン・ヌーヴェルが設計しました。それ以来、ヌーヴェルはアル・ウラーやリヤドで、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子からも求められるようなスターになりました。他の有能で実力のある著名人も、万博組織にその才能、エネルギー、能力を提供することができます」

ムハンマド・ビン・サルマン皇太子はパリ訪問中、6月19日に開催されるサウジアラビア・フランス首脳会議と、同じく6月23〜24日にパリで開催される多国籍の代表が集まる新グローバル金融協定サミットで、サウジアラビア代表団の団長として参加する予定だ。

新グローバル金融協定サミットのウェブサイトによると、マクロン大統領は「気候変動と世界的不平等という二重の課題に対処するため、南北諸国間で新たな協定」を構築することを目指しているという。

同サミットは昨秋、エジプトの紅海に面したリゾート都市シャルム・エル・シェイクで開催された国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)の中で発表された。

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、2022年11月7日にエジプトのシャルム・エル・シェイクで開催されたCOP27で、パリで新グローバル金融協定サミットを開催すると発表した(写真提供:ルドヴィク・マリン/AFP/ファイル)

6月16日に行われたムハンマド・ビン・サルマン皇太子とマクロン大統領の会談では、安全保障、防衛、クリーンエネルギーへの移行に関連した問題が優先議題に上がった可能性が高い。とは言え、文化的、教育的結びつきについても議論されたことは間違いない。

「アル・ウラーや、アラブ世界研究所でアラブ世界最大の現代美術館を創設するプロジェクトなど、両国間に存在する非常に活発な文化協力についても話し合うことになると思います」と外交・文化機関を10年間率いてきたラング氏は述べている。

「そのようなプロジェクトは、私たちがサウジアラビア当局と協力して取り組んでいるプロジェクトの一部であり、私たちは喜んで協働しています」

2019年10月7日にパリのアラブ世界研究所で開催された展覧会「アル・ウラー:ワンダー・オブ・アラビア」を訪れ、学芸員の説明を聞くフランク・リステル仏文化大臣(右)、アラブ世界研究所のジャック・ラング所長(右から2番目)、アル・ウラー王立委員会のアムル・アルマダニCEO(中央)。(AFP)

ラング氏は、サウジアラビアで進行中の「文化革命」を称賛した。ほんの数年前、社会改革と経済多様化を目指すサウジアラビアのビジョン2030が開始される前には考えられなかった公演会場の開設や全く新しい創造的産業の推進に、この文化革命は顕著に表れている。

「私たちフランス人は、少なくともアラブ世界研究所で働く私自身は、サウジアラビアで現在進んでいることに感嘆しています」とラング氏は語った。

「実際に進行中の文化革命は、ジェッダやリヤド、その他サウジアラビア各地で目にすることができます。美術館、映画、音楽、あらゆる芸術が動き出し、サウジアラビアの若者たちはこの素晴らしい文化運動に喜んで参加しています」

アラブ世界研究所は昨年5月に「サウジ・シネマ・ナイト」を主催し、「バドル・ビン・アブドゥラー・ビン・ファルハーン王子(サウジアラビア文化大臣)が始動したアル・ウラーに関するユニークで壮大な展示会(2019年)」を主催した。同展示会は大きな成功を収め、展示が数カ月間延長されたとラング氏は語った。

 「アラブ世界研究所とその所長が、皇太子が始めた真摯な計画を最初から信じていたのは事実です」

ラング氏は近々、ジェッダの紅海映画祭と共同でアラブ映画祭を開催する予定だ。そして、他の人々がフランスとサウジアラビの協調に疑問を抱いていた時代に、両国間で文化的な絆を育んだことを誇りに思っていると語る。

「ヨーロッパ中の誰もが、世界中の誰もが懐疑的でした」とラング氏は語った。

「何よりも、皇太子殿下から2、3度、特にアル・ウラーでお会いした時に、『世界で最初に私たちの計画を疑わずに信じてくれてありがとう』と言われました」

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