安倍晋三元首相の国葬を控えた27日午前、会場となる日本武道館(東京都千代田区)近くに設けられた献花台には大勢の人が花束を手に訪れ、別れを惜しんだ。
「国葬反対」のプラカードを掲げ、中止を求める市民が抗議する場面もあり、警察官が厳しい視線で周囲を警戒していた。
献花台には朝から長い列ができ、一般弔問者の献花は予定を30分早めて午前9時半から始まった。
埼玉県熊谷市の派遣社員栗原一さん(70)は安倍氏について「和やかな印象だった」と振り返り、「世界的に見ても偉大な人。献花できてよかった」と話した。
相模原市の自営業女性(44)は「安倍さんが首相でいてくれて安心して生活できた。本当に心からありがとうございましたと伝えた」と語った。
警視庁は地方からの応援も含む約2万人で警備に当たった。
日本武道館周辺の道路は午前9時から通行止めとなり、歩道には警察官が数メートル間隔で配置された。
一方、会場から約1キロ離れた千代田区の公園では、午前11時ごろから国葬中止を求める市民らによる集会が開かれた。
正午前にはデモ行進が始まり、「国葬やめろ」などとシュプレヒコールを上げた。
参加した杉並区の主婦(69)は「国葬の決定に至る経過がおかしい。反対の意思表示がしたかった」と説明。
さいたま市の男性会社員(61)は「世論調査であれだけ反対意見が多いにもかかわらず、どうして開催するのか」と訴えた。
時事通信