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ローマ開催の移民協議にサウジアラビア代表団が出席 ローマ教皇は難民の窮状を訴え

ヨーロッパ、地中海、中東諸国のトップがイタリアの首都に集まり、不法移民への取り組みについて対話を行った。(SPA)
ヨーロッパ、地中海、中東諸国のトップがイタリアの首都に集まり、不法移民への取り組みについて対話を行った。(SPA)
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24 Jul 2023 03:07:17 GMT9
24 Jul 2023 03:07:17 GMT9
  • イタリア首相は不法移民対策に向けた同盟関係の構築を目指す
  • サウジアラビアの代表団はアブドルアジーズ・ビン・サウード内務大臣が率いる

フランチェスコ・ボニャーラ

ローマ:フランンシスコ教皇は、ヨーロッパとアフリカの指導者たちに対し、彼が「兄弟姉妹」と呼ぶ難民たちがヨーロッパを目指す中で苦境に立たされているとして「緊急の救済」を求めた。

「地中海が再び死と非人道の劇場となることがないように。全ての人々の心と心を照らし、兄弟愛、連帯、歓迎の感情を呼び起こすように」と教皇は日曜日、サン・ピエトロ広場で礼拝者を前に語った。

教皇の発言は、イタリアの首都で開かれる、不法移民対策を話し合うヨーロッパ、地中海、中東の各国トップ代表団の集結に先立つものだ。協議には、チュニジアとのEU支援の合意を延長し、難民のヨーロッパ流入を抑える取り組みも含まれている。

イタリアのジョルジャ・メローニ首相は日曜日、ヨーロッパと地中海地域の国々との共同利益に基づく、移民と開発に関する「対等な対話(Dialogue of Equals)」フォーラムを発足させた。

この会議は、北アフリカにおける不定期移民への対応と成長の促進を目指すもので、メローニ首相が過去1ヶ月間にチュニジアを3度訪れた際に発表された。

欧州委員会(EU)のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長とチュニジアのカイス・サイード大統領も参加するこのフォーラムは、厳重な警備の中、イタリア外務省で開催された。

北アフリカ・中東諸国からは、UAEとモーリタニアの大統領、アルジェリア、リビア、エジプト、エチオピア、ヨルダン、レバノン、マルタ、ニジェールの首相など参加するハイレベル対話となる。

ギリシャ、トルコ、サウジアラビア、クウェートからは閣僚が派遣されている。

ヨーロッパ、地中海、中東諸国のトップがイタリアの首都に集まり、不法移民への取り組みについて対話を行った。(SPA)

サウジアラビアの内務大臣アブドルアジーズ・ビン・サウード王子は、サウジアラビアを代表して会議に出席した。

サルマン国王とムハンマド・ビン・サルマン皇太子を代表して発言したアブドルアジーズ王子は、人権規範を守り、持続可能な開発を進めるというサウジアラビアのコミットメントを強調した。

王子は、サウジアラビアが「あらゆる共通の課題への取り組みにおいて、国際的な協力を支持する、揺るぎない確固たる姿勢」を持っていることを語った。

王子はまた、国内人権制度、労働制度、労働政策の規則的・制度的構造の発展、労働権利の促進、契約関係の改善に対する王国の支援を強調した。

イタリアのアントニオ・タヤーニ外相は、同国は地中海がヨーロッパにおいて、安全とより良い生活を求める人々の墓場ではなく、「平和と進歩の海」になることを望んでいると述べた。

「私たちが今日発足させようとしているのは、何よりも、相互尊重に基づいた対等な対話だ」と、アラブニュースが出席した同国際会議の冒頭演説でメローニ首相は述べた。

彼女は、ヨーロッパと広範な地中海地域との間には、「競争的または対立的な関係は存在せず、実際のところ利害関係は我々自身が認識するよりも常に一致している」と述べた。

首相はさらに、「大量の非正規移民は、最も脆弱な人々の生活をもてあそぶために力を行使する犯罪組織以外の、すべての人々に害を及ぼす」と指摘、「人身売買のネットワークと戦うための共同の努力と、さらなる協力」を求めた。

メローニ首相は、「不法移民に取り組む国際的なパートナーシップは、平等で、多次元的で、長期的なものでなければならない」とし、「威圧的なアプローチではなく、敬意に基づき、連帯し、互いの主権を尊重し、法の遵守に対する責任を共有するものでなければならない」と述べた。

サウジアラビアのアブドルアジーズ王子とイタリアのメローニ首相。(SPA)

これは、「これこそが我々の絆を強化し、お互いを信頼し、我々の国民の発展と繁栄を促進する唯一の真剣な方法だ」と彼女は語った。

首相官邸の情報筋がアラブニュースに語ったところによると、チュニジアのサイード大統領はローマ会議を「前向きな道のりの始まり」と表現した。

チュニジアとイタリアには共通の未来がある、と彼は付け加えた。

リビアのアブドル・ハミド・ドベイバ首相は、会談を組織したイタリア政府を賞賛した。

「これが問題に対する正しいアプローチだ」と彼はイベントでのスピーチで述べた。

先週、EUはチュニジアとの間で、移民船の出航を阻止し、密入国者と闘うために1億500万ユーロ(1億1700万ドル)を欧州から直接援助する協定に署名した。

この協定はまた、より多くのチュニジア人不法移民を送還し、チュニジアにいるサハラ以南のアフリカ系移民を出身国に送り返すことも定めている。

今回のローマ会議によって、EUはエジプトやモロッコとも同様の協定を結ぶ可能性が出てきた。

EUのフォン・デア・ライエン委員長は、「私たちは、チュニジアとの協定を、この地域の他の国々との、より多くのパートナーシップへの道を開くことのできるモデル、将来のプロジェクトにしたい」と述べた。

「私たちは、共通の利益と価値観に基づいた現実的なアプローチを採用したいと思っている。現地の様々な実情に合わせた解決策を見つけたい」と述べた。

国連によると、2023年の最初の6カ月間で、10万人以上の移民が北アフリカ、トルコ、レバノンの海岸から海路でヨーロッパに到着した。

昨年は18万9000人以上の到着があり、そのほとんどがイタリア南部に上陸した。

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