


リヤド/ニューデリー:過去30年間、インドの外交政策アジェンダにおけるサウジアラビアとの関係は、着実に重要性を増してきた。そして、その潜在的可能性が最大限に発揮されるようになったのは、G20を中心とした協力関係の影響が大きい。
2019年、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子がニューデリーを訪問し、戦略的パートナーシップ協議会を設立したことをきっかけに、サウジアラビアとインドの関係は新たな段階に入った。
2020年、サウジアラビアがG20の議長国となった際、両国は新しいパートナーシップとプログラムを築き始めた。それは、インドが2023年に議長国を引き継いだ際にさらに発展した。
「両国間の関係はすでに成熟している。G20は、さまざまな問題に関する新しい関与の可能性を生み出す、別のプラットフォームとして提供されている」と、デリーを拠点とするオブザーバー・リサーチ・ファウンデーション(ORF)の研究・外交政策担当副会長であるハーシュ・V・パント博士はアラブニュースに語った。
「関係は勢いを増している。G20のプロセスによって、両国の関係はより深みを増したと考えている」
サウジアラビアは、1月にワーキンググループ会議が始まった当初から関与している。同国は複数のハイレベル代表団を派遣したほか、いくつかの重要な会議、特に持続可能な開発、食糧安全保障、健康、起業家精神、スタートアップ、テクノロジーに関連する政策をサポートする会議の後援者および共同主催者を務めた。
これらの分野はすべて、サウジアラビアの『ビジョン2030』の多様化・変革計画とインドの開発戦略の中心であり、さらなる協力関係は有望であるだけでなく、長期的なものとなる可能性がある。
「両国が協力してきた分野には、エネルギー、貿易、防衛関係、安全保障関係がある。共通の課題を考慮すると、G20プラットフォームはインドとサウジアラビアの活動範囲を拡大し、新しい可能性が出現するだろう」とパント氏は述べた。
「これはG20を超えた、より生産的かつ幅広い関与の基礎を築くものである。確実にその基盤は構築されており、おそらく、さまざまな分野で多くの活動が見られるだろう」
サウジアラビアのファハド・ビン・アブドルラフマン・アル・ジャラジェル保健相はアラブニュースに対し、保健分野において新たな展開を期待していると語った。
「8月18日と19日に開催された今年の保健相会議と共同財務相会議は、サウジアラビアのG20議長国時代に発表されたこれまでの保健イニシアティブを再確認するものだった」と同氏は語った。
「特に、19日の世界保健機関(WHO)との協力によるデジタルヘルスに関するグローバルイニシアチブの立ち上げは、そのハイライトであった」
デジタルヘルスソリューションにおけるサウジアラビアの経験は、強い関心を集めた。
「会議の間、私はインドの保健大臣を含む複数の大臣と会った。サウジアラビアの公衆衛生への投資は、非常に求められている話題だ」とアル・ジャラジェル氏は語る。
「インド大統領府から、デジタルヘルス変革における私たちの経験や、セハ仮想病院(SVH)のような最先端技術の導入について開会式で紹介するよう招待されたことを深く感謝している」
2022年2月に開始されたこの病院は、世界最大のバーチャル病院であり、サウジアラビアの医療分野変革プログラムの優先的なイニシアチブのひとつである。
G20のプラットフォームはまた、インドの技術系起業家がこれらのイニシアチブに貢献し、両国間の知識と経験を交換する余地を提供した。
リヤドを拠点とする「HealthGena」のCEOであり、G20会議のサウジアラビア代表団メンバーでもあるフダ・アルファーダス博士はアラブニュースに対し、投資と技術移転の分野における関係と協力には「前向きな勢い」があると語った。
「HeathGenaはリヤドのインド大使館と積極的に協力し、国を超えた経済的機会を創出している」と彼女は語った。
「現在私たちは、サウジアラビアの新興企業15社をインドに連れて行く共同プログラムを実施している。来週にはインド企業の代表団をリヤドに招き、サウジアラビアでの現地法人化を支援する」
1年を通した会議は具体的な経済的成果をもたらしただけでなく、両国をより緊密にする取り組みも含まれていた。アルファーダス氏のようにG20若手起業家同盟(YEA)サミットに参加したサウジアラビアの代表団の中には、すでにインドの教育機関と協定を結んだ者もいる。
「文化・教育交流を通じて人と人とのつながりを促進することは、相互理解と友好を育むことにつながる」と彼女は語った。
「学生交流、文化イベント、大学間のコラボレーションを奨励することは、長期的な関係構築に貢献するだろう」
7月にデリーで開催されたYEAサミットで、「エンタープレナーシップ・ビジョン」の理事長であり、サウジアラビアG20若手起業家同盟の会長であるファハド・ビン・マンスール王子はアラブニュースに対し、新たな共同プロジェクトが間もなく開始されると語った。
「インドには、投資の機会を探し求めている民間部門の企業が存在する。私たちは、サウジアラビアへの投資を計画している投資家を数多く見つけた」と彼は語った。
「私たちには巨大な機会がある。私たちはそれを生かしながら前進していくつもりだ」
「両国はすでに達成したことを活用している。持続可能な開発、包括的成長、エネルギーの転換に向けたステップの最前線に立っている」と、デリーにあるジャワハルラール・ネルー大学の西アジア研究センターのムダシール・クアマール准教授はアラブニュースに語った。
「インドで開催されたG20にサウジアラビアが積極的に参加していることは、両国が互いのリーダーシップとG20のアジェンダに信頼を寄せていることを示している。インドもまた、サウジアラビアが議長国を務めた2020年のG20イベントに積極的に参加する姿勢を見せていた」と彼は語った。
「G20議長国としてのインドの焦点は、持続可能な開発目標、包括的成長、デジタル公共財、公正なエネルギー転換、保健、教育、雇用、そして国際平和と調和である。これは、サウジアラビアの開発アジェンダとビジョン2030プログラム、そしてインドとサウジアラビアの関係の範囲における優先事項とうまく適合している」
クアマール氏にとって、両国関係が勢いを増しているという事実は、「政治、経済、文化、安全保障の結びつきを包括する、重要な戦略的要素」を伴った、「活気に満ちた」関係になったことを反映している。
彼は、9日と10日に開催されるG20首脳会議がさらなる後押しになると期待している。
「G20は、多国間フォーラムや多国間組織を通じて、インド・サウジアラビアの協力を拡大するためのプラットフォームとなり得る」と彼は語った。
「サウジアラビアとインドは、持続可能な開発や包括的な成長、環境や気候変動への配慮といった分野において、協力やパートナーシップをさらに強化することができる」
「インドのG20議長国としてのテーマは『ひとつの地球、ひとつの家族、ひとつの未来』であり、これは世界の持続可能で調和のとれた未来に向けて人類が協力していくための普遍的なメッセージである。そして、これはサウジアラビアとインドの関係を強化する新たな接着剤となりうる」
ワシントンの中東研究所で戦略技術ディレクターを務めるモハメド・ソリマン氏は、サウジアラビアとインドの関係がここ数カ月で世界的な意義と注目を集めるようになったことに同意した。
サウジアラビアとインドは、G20というプラットフォームを国際的に有利に活用する方法を熟知している、と彼はアラブニュースに語った。
「両国は多極化する世界に機会を見いだしている。そして、G20を世界の課題に対処し、経済的・政治的影響力をアピールするための効果的なプラットフォームと見なしているのだ」
「サウジアラビアとインドの関係において、G20が最も重要な役割を果たした点は、両国のグローバルな舞台における協力関係の強化である」