


リヤド:28人の若いサウジアラビア人ツアーガイドたちが、歴史的建造物であるサルワ宮殿の前に準備万端で整列している。彼らが語るのは、先祖がオスマン帝国の侵略者たちと勇敢に戦い、今日のサウジアラビアの礎を築いた歴史だ。
「ディルイーヤの人々の気概と粘り強さを伝えたい」と、モハメド・アーメド・アルサレム氏は宮殿の古い壁を誇らしげに指差した。
ディルイーヤ・ゲート開発局のガイドたちは、ツアーを提供しながら、同時に先祖の物語を守り続けているのだという。
シニアツアーガイドのマナル・アルカター二氏は、アラブニュースの取材に対し、「私は単にツアーガイドやシニアツアーガイドをしているのではなく、自国とその歴史を代表しているのだと思っています」と語った。
「私は国に仕える大使として、ここディルイーヤで活動しています」
意外なことに、アルカターニ氏は自分がツアーガイドとして働くとは思ってもみなかった。だがトレーニングを受けているうちに、観光ガイドという仕事に魅了されたという。2年以上かけてホスピタリティ、歴史、観光のコースを修了した彼女は、今ではディルイーヤで最も経験豊富なツアーガイドの一人となり、国を代表することを誇りに思っている。
トゥライフのツアーガイドは、1446年初期のアル・サウードの入植から、1818年の波乱のディルイーヤ包囲と破壊まで、王国の歴史を解説している。
若くて情熱的なガイドたちは、単に史跡を案内するだけでなく、自分たちの先祖の物語を語ることで過去を紡いでいる。その中には1814年から1818年までの、最初のサウジアラビア国家の最後の支配者であったイマーム・アブドゥラーが率いた6ヶ月間の抵抗運動など、勇気と誠実さの物語が含まれる。
ディルイーヤ出身のシニアツアーガイド、モハメド・アーメド・アル・サレム氏は、先祖の地で働いていることを誇りに思っていると語った。
「大きな役目を担っていると感じています。故郷で働くというのは、誇れることです」
ツアーガイド達は、サウジアラビアの歴史が決して失われることのないよう、サウジアラビアの遺産と歴史を伝え、国の物語を語り継いでいる
「自国の歴史を国民だけでなく、(海外からの)観光客にも紹介できるのは素晴らしいことです。サウジアラビアにはお話しできることがたくさんあると思います」とアル・サレム氏は語る。
ガイド志望者はその役割を担うため、サウジアラビアの歴史、考古学、ホスピタリティに関する集中的なトレーニングプログラムを受講する。
研修期間は数ヶ月から数年だが、ディルイーヤ・ゲート開発局が提供するコースを終えた後も、ツアーガイド達は皆熱心に学んでいる。
研修ではサウジアラビアの成り立ちを学び、学んだことをノートにまとめる。また何も見ずに説明できるよう、歴史上重要な出来事をマークし、事実や数字を暗記する。
ガイドの大部分が外国語を学んでいる。彼らの目的はサウジアラビアの歴史をできるだけ多くの人に知ってもらうことであるため、様々な国籍の人に歴史を伝えられるようにしているのだ。
ツアーは英語、アラビア語、韓国語、スペイン語、ウルドゥー語、イタリア語に対応している。
ツアーガイドのナジャ・アルドリース氏は、「さまざまなニーズに対応できるように、手話のコースも始めました」と話す。
28人のツアーガイドのうち21人が女性であり、サウジビジョン2030の取り組みの一例となっている。観光客や旅行者は、多くの女性がツアーを率いて、国内最高レベルのホスピタリティでもてなしている様子を目の当たりにする。
アルカターニ氏は、「私はこのディルイーヤで働く女性の一人であることを心から誇りに思っています」と語り、「サウジビジョン2030」の改革プログラムのもと、サウジアラビアで起こった大きな変化についてコメントした。
「サウジアラビアからのサポートを感じます」
現在のサウジアラビアへと続く道を切り開くまでの歴史や文化を、サウジアラビア人や海外からの観光客に教えるという重要な役割を、ツアーガイドは担っている。
ディルイーヤを訪れた人は、こうしたツアーに込められた情熱を感じる。観光ガイドはただ機械的に仕事をこなしているのではない。彼らはサウジアラビアの歴史をサウジアラビア人や観光客に伝えるという責任を担った大使なのだ。
「私達は自国の歴史、特にナジュドの歴史を伝えています。私達の国、正確な国の起源、文化を紹介しているのです」とアルカターニ氏は語った。
ユネスコの世界遺産に登録されているディルイーヤは、目を引く泥レンガの宮殿で知られており、300年以上にわたるサウジアラビアの豊かな歴史が刻まれている。
しかしガイドのおかげでツアーはちょっとした冒険となり、過去が生き生きと蘇ってくる。サウジアラビアの原点ディルイーヤでのツアーは、彼女達の語りのおかげで他に無い体験である。