
クリーブランド:日本の現代美術家、村上隆は、絵画、彫刻、ルイ・ヴィトンなどのファッション・ハウスとの高級品、アルバム・ジャケット、メジャーリーグとの独占的な商品化コレクションなど、決して一つの媒体に限定されることなく作品を制作してきた。
そして今、彼はクリーブランド美術館で日曜日に開幕する展覧会の一環として、アメリカの美術館のホールを色とりどりの肖像画で埋め尽くした。「Takashi Murakami: Stepping on the Tail of a Rainbow」は、ロサンゼルスで最初に展示された展覧会のアップデート版で、100点以上の幅広い作品が展示されている。
にこやかな虹色の花のアイコンで知られる村上氏は、トラウマに関連する歴史的出来事と軽快なテーマを意図的に重ねたと、AP通信に語った。
ロサンゼルスの現代美術館ザ・ブロードのキュレーター兼出版マネージャーであるエド・シャド氏は、このアートはトラウマが人々や文化に与える影響を探求していると語った。
「肖像画には歴史的なルーツがあり、社会が何をしているのか、社会がどれほど健全なのか、社会が何に反応しているのか、多くのことを教えてくれる」とシャド氏は言う。「この展覧会で社会が最も多く反応しているのは、トラウマという考え方だからです」
ある彫刻は、村上と彼の愛犬の体の半分を解剖学的な形で描き、骨や臓器を示し、もう半分は外見である。この彫刻「ポムと私」は、村上が西洋での経験を日本人のアイデンティティというレンズを通して解釈したものだと説明されている。
漫画のような表情の花をモチーフにした正方形の肖像画が展示の壁一面を覆い、背景の色ごとに整理されて虹のような効果を生み出している。ある花は涙を拭っているが、別の花はゾンビのように見える。ある花は口から血を垂らしている。ある花は花火を見て畏怖の念を抱いているように見える。
明らかに歴史的な出来事を直接的に視覚化したものはないが、美術館によれば、このアートは日本の歴史上の3つの出来事を通して見ることができるという。第二次世界大戦中のアメリカによる広島と長崎への原爆投下、2011年の東北地方太平洋沖地震と津波、福島第一原子力発電所の事故、そしてCOVID-19のパンデミックである。
村上は、彼の作品が 「とても簡単で、とても人気がある 」と誤解されているようだと語った。
「でも、これは僕のトリックのひとつだからいいんです」
子供の頃に彼の芸術を賞賛した人がいたとしても、大人になってから賞賛されるようなものではないだろう、と村上は言う。
美術館の下の階にある展示室に入る前に、奈良の法隆寺にある八角形の建物「夢殿」の中を歩くことができる。村上は、2024年の連続テレビ小説『翔ぶが如く』を見て、この建造物を作るインスピレーションを得たと語った。
建造物の内部には、2023年から2025年にかけて制作された4つの新作絵画、「青龍の京都」、「朱雀の京都」、「白虎の京都」、「黒亀の京都」が展示されている。
チケット制の展示は9月上旬まで行われる。
AP