
火災で正殿などが焼失した首里城(那覇市)の再建を支援しようと、岡山県の備前焼作家らがシーサーの置物を制作し、売り上げを全額寄付する活動をしている。厄よけの守り神として知られる沖縄県ゆかりのシーサーをモチーフにした置物には「災いから早く立ち直ってほしい」との作家の願いが込められている。
備前焼作家は木村玉舟さん(67)。火災の2日後に沖縄を訪れた知人らが支援を思い立ち、木村さんに協力を要請した。木村さんは展覧会でよく沖縄に足を運んでおり、「自分の作品が再建の一助になるなら」と快諾した。
シーサーは陶器でできているものも多く、備前焼と共通点がある。さらに、沖縄で伝統的な魔よけの置物とされていることから、備前焼でシーサーを作ることを決めた。依頼を受けた翌日から制作を開始。通常の創作活動の傍ら、1年間で30体を完成させた。
木村さんのシーサーは一つ一つ手作りで、表情やデザインが異なる。漆黒や赤茶色など、焼いたときの温度や土に含まれる成分を生かした色の違いも魅力の一つだ。立体作品のほか、いかめしい表情が際立つレリーフも作った。
岡山市内の自動車販売店の一角を借りて展示し、30体全てに買い手が付いた。約150万円の売り上げは全額、首里城再建の義援金として沖縄県に贈る。木村さんは「焼き物は日本の伝統的な遺産。備前の里から少しでも力になりたい」と話し、2026年まで毎年続ける予定という。
JIJI Press