アミン・アッバス

ドバイ：首長国の作曲家イハブ・ダルウィッシュが、アブダビフェスティバルの1年にわたるハイブリッド仮想プログラムの一環として、「未来は今始まる」のテーマの下、3月30日に「Hekayat: Symphonic Tales」を開始した。

この公演は、20ヵ国128人の音楽家がすべての大陸の音楽的な伝統と文化を捉えながら、13の楽曲を演奏して世界中を横断する。

英語で物語を意味するHekayatは、首長国のアーチストによるこの種の最初の公演として歴史を作る。驚くほど洗練された技術を用い、各国で別々に録画・録音された演奏者たちが1つのオーケストラとして、アブダビの豪華なエミレーツ・パレス公会堂のステージに登場する。

ダーウィッシュは、巨匠トマシュ・トカルチクが指揮するクラクフの評価が高いベートーベン・アカデミー・オーケストラ、VOXチャンバー合唱団、テノール歌手ホセ・クーラ、名音楽家サラ・アンドン、鼓動、カルロス・ピニャーナ、キナン・アズメなど国際的な音楽家たちを、エネルギッシュな1つのグループにまとめた。

音楽家やパフォーマー、オーケストラは世界中の21の都市で個別に撮影されたため、この交響楽団は計画と制作のために、675回のズームセッションと86,600人時が必要だった。それぞれの演奏はデジタルに同期され、革新的なポストプロダクション技術によって、128人のアーチスト全員が仮想3Dモデルによるステージ上に配置された。

アブダビ音楽芸術財団の創業者でアブダビフェスティバルの芸術ディレクターであるフダ・I・アルカミスカヌール氏は次のように述べた：「イハブ・ダルウィッシュの「Hekayat」国際プレミアは、類まれな交響曲の世界的な旅であり、そこでは世界中のアーチストたちが、平和と文化的理解というこの作曲家の普遍的メッセージの下に集まっている。これは、アブダビフェスティバルのミッションと見事に一致する」

ダルウィッシュも次のように述べる：「私は常に、音楽のさまざまなジャンル、楽器、時間枠を実験している。「Hekayat」の実験的な性質は、より良い未来に対する私の内在的な希望や、共有された人間の価値に対する信念に触発されている。アブダビフェスティバルに最初に関わって以来、公演の形式はパンデミックによって変化してしまったが、それでも心を落ち着かせる音楽の深い感情的な影響力とパワーは、今まで以上に重要になっている。ユニークなバーチャルイベントとして、「Hekayat」は世界中のすべてのオーディエンスがアクセスできる。これはすばらしい利点である」

ダルウィッシュは、そのジャンルでは首長国初の作曲家である。彼の音楽は国際的なパブリッシャーであるユニバーサル・ミュージックMENAによって配給されており、ベートーベン・アカデミー・オーケストラの最初のゲスト作曲家にもなった。クラシック音楽の作曲を専門としており、彼の象徴的なスタイルとなった独特な西洋、アラブ、ハリージの融合を特徴とする。Hekayatではこのスタイルをさらに発展させ、ひときわユニークな楽器、音楽、ボーカルの融合を実現している。

日本の太鼓集団「鼓動」の洲﨑拓郎社長は次のように述べた：「このすばらしい交響楽団に参加することができ、たいへんな栄誉。ダーウィッシュの音楽は壮大で、その創造性のルーツには、古代アラビアのものの見方やパイオニア精神が多く含まれている。彼のメロディーはそのDNAから生まれているもので、国際的なアウトプットを超えている」

この初めての種類の公演は、3月30日から4月11日まで、AbuDhabiFestival.ae/Hekayat-Symphonic-Talesで見ることができる。