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「はらぺこあおむし」の作家・イラストレーターのエリック・カール氏 91歳で死去

人気絵本作家・イラストレーターのエリック・カール氏の絵本「はらぺこあおむし」。最初に日本で製作された。2021年5月26日、カリフォルニア州エンシニータスの書店で。(ロイター)
人気絵本作家・イラストレーターのエリック・カール氏の絵本「はらぺこあおむし」。最初に日本で製作された。2021年5月26日、カリフォルニア州エンシニータスの書店で。(ロイター)
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29 May 2021 03:05:07 GMT9
29 May 2021 03:05:07 GMT9

世界的な人気絵本「はらぺこあおむし」で知られる絵本作家エリック・カール氏が91歳で死去した。水曜日、出版社ペンギン・ブックス USAが明らかにした。

ワシントン・ポストが報じた家族の声明によると、カール氏は日曜日にマサチューセッツ州ノーサンプトンの自宅で死去した。死因は明らかになっていないという。

カール氏の作品は、手描きした紙を切り抜いて制作した色鮮やかなコラージュ風のイラストが特徴である。ペンギン社によると、70冊以上の著書があり、世界で多くの言語に翻訳され1億5,200万部以上を発行した。

カール氏の絵本は、「くまさん くまさん なにみてるの?」、「ごきげんななめのてんとうむし」、「さみしがりやのほたる」、「だんまりこおろぎ」、「パパお月さまとって!」など、自然や動物の国をキャラクターやテーマにした物語が多い。

最も有名な作品は1969年に出版された「はらぺこあおむし」で、ペンギン社によると、66か国語に翻訳され、販売部数は5,000万部に上る。親から子どもへ何世代にもわたって枕元で読み聞かせる絵本の定番になっている。

当初、「はらぺこあおむし」は、「イモ虫ウィリーの一週間」と呼ばれていた。

穴あけパンチで紙の束に穴を作り、本を食べる虫を登場させるアイデアを最初に思いついたのはカール氏だった。担当編集者が虫の主人公を気に入らなかったので、いろいろな動物の案を話し合い、アオムシと蝶にたどりついた。米国の印刷会社はサイズがバラバラのページに穴をあけるデザインに難色を示して出版を拒んだが、最終的には日本で印刷を引き受ける印刷会社が見つかった。

「はらぺこあおむし」は、空腹の主人公の気まぐれな毎日をたどる物語だ。月明かりの夜、葉の上に産みつけられた小さな卵から始まり、ある日曜日の朝、「お日さまが昇り、ぽん! 卵から、小さくてとってもおなかをすかせたあおむしが生まれました」。

そしてアオムシは次から次へと食べ物を探し求める。読者は、アオムシがリンゴ1つ、ナシ2つ、スモモ3つ、イチゴ4つ、オレンジ5つを食べ尽くすのを追いかけながら、数字、曜日、食べ物の語彙を学ぶ。

さらにチョコレートケーキ、アイスクリーム、ピクルス、スイスチーズ、キャンディなど、あまり健康に良くないおやつを食べ続けて腹痛を起こし、やっと緑の葉っぱで一息つく。「まるまる太った大きなアオムシ」に成長した主人公はさなぎになり、2週間後、「美しいちょうちょ」に変身して飛び出していく。

ニューヨーク州シラキュースでドイツ系移民の家に生まれたカール氏は、6歳で両親と共に故国に戻り、ナチス政権下のドイツで少年時代を過ごした。後にカール氏は、12、13歳の頃を回想し、ナチス政権で「退廃芸術」として禁じられていた抽象主義、表現主義の作品の複製を美術教師がこっそり見せてくれたと語った。

ペンギン・ブックスがウェブサイトに投稿した経歴紹介記事によると、カール氏は数十年後に「私の緑色のライオン、水玉模様のロバなど『間違った』色の動物たちは70年前、絵を見せてもらったその日に生まれたのです」と話していたという。

その後、カール氏はドイツのシュトゥットガルト造形美術大学に学び、20代前半でニューヨークに戻ってグラフィックデザイナー、アーティストとして活動した。

87歳のときには段ボールと既製品を使った抽象的なコラージュで天使を描くシリーズに着手した。天使の絵で知られるスイス生まれのドイツ人画家、パウル・クレーへのオマージュだった。

ロイター

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