
アミン・アッバス
ドバイ:日本の原作者兼監督の富野由悠季氏は先ごろ、健康問題に悩まされており、アニメ業界で仕事できるのはあと3年だと思っていると明らかにした。
富野監督は、脊柱管狭窄症を患っていると語った。脊柱管狭窄症は、脊柱内の神経の通り道が狭くなり、神経に圧力がかかる。臀部から足にかけて痛みやしびれが起き、歩き回るのが不自由になった。富野氏は、自分が歩いている映像を見ると病人のようだと語った。
富野氏は、6月に2回目のコロナワクチンの接種を受けたという。 副作用について聞かれ、接種の後、3〜4時間は体が重く感じたと答えている。
富野氏は日本のメディアに、1989年から1990年にかけて全3巻で発表された小説を基にした『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の映画には参加していないと語った。映画は監督のものだからと説明し、映画についてはコメントしなかったが、当時『ガンダム Gのレコンギスタ』の仕事で忙しくしていなければ、脚色について監督と激論を交わしていたかもしれないと語った。
手塚治虫氏原作の『海のトリトン』で、テレビアニメの監督をしたが、原作者の手塚氏の立場が今は理解できると述べた。 手塚は、アニメ制作の現場に口出しせず、原作者としての気持ちをうまく抑えることができる人だったという。
「僕は手塚先生と同じ立場になっちゃったんだな。それは大変うれしいことなんだけれども」と語りつつ、「そういう年齢になっちゃったんだなぁ。そうよね、もうすぐ80歳なんだし!」と述べた。
ガンダムのハリウッドの実写版について尋ねられると、富野氏はこれについても、基本的にノーコメントとした。 しかし、自分の年齢ではハリウッドで実写を作るのは無理だと理解しているけれども、自分へ監督依頼の話が来てほしかったと話した。学生時代の個人的な経験から、撮影は肉体的に厳しい仕事であることを理解しているのだ。
「今の僕には、そこまでの体力は残っていない。なので、もう少しお年寄りを大切にしましょう、と言わせてください」と語った。
高齢をよそに、富野氏はアニメに対して野心的展望を持っている。 昨年4月、テレビ出演した際には、「ガンダムは子ども向けですが、元気で新作が作れるうちに、『鬼滅の刃』と『エヴァンゲリオン』を打ち負かします。そんな風に野心的に考えなかったら、80歳過ぎてテレビアニメを作っていられませんよ」と語っていた。
劇場版 『Gのレコンギスタ III 』「宇宙からの遺産」は、『ガンダム Gのレコンギスタ』を再構築した劇場版5部作の第3部で、7月22日に日本で公開された 。ガンダムシリーズの原作と監督を手がける富野氏は、作品をガンダムアニメで確立されていた機動戦士ガンダムの宇宙世紀の歴史を詳しく述べることはせず、「新しい物語」であるという。 ストーリーを作る間、宇宙開発の難しさを強く感じたと語った。