
レベッカ・アン・プロクター
ドバイ:NFT(非代替性トークン)は、その爆発的な広がりが世界的に注目を集め、サウジアラビアでも急成長中だ。これを受け、サザビーズのオークションハウスは、サウジアラビア文化省の視覚芸術委員会の協力を得て、2月25日から27日までの3日間、リヤドで行われているディルイーヤ・ビエンナーレにおいてデジタルアートに焦点を当てた展示フォーラムを開催する。
サウジアラビアと隣国のアラブ首長国連邦(UAE)は、湾岸地域でのNFTの急成長をリードしてきた。例えば、3月に開催される「アート・ドバイ」では、デジタルアートのセクションが設けられ、急速に拡大しているデジタルアート分野の作品が新たに紹介される。
NFTの主な特徴は、「一度しか存在せず、不変であり、他の何物によっても代替できない証明」であることだ。今回のサザビーズによる展示は、そんなまだ若いNFTの歴史を、数年前の初期のNFTから、「ポップ・デジタル」というジャンル、そして「収集価値の高いもの」まで網羅している。
サザビーズは声明の中で、「コレクターがNFTを購入されるということは、トークン(証明書)を購入するということであり、したがって、それにリンクした個別のデジタルアート作品や写真の購入をも意味しています」と説明している。
展示はインタラクティブなものでもあり、来場者はブロックチェーン上に自分の出席を記録したNFTの形式によるデジタルトークン「出席証明プロトコル」を入手することができる。
今回のイベント全体としては、3月11日まで開催されるディルイーヤ・ビエンナーレと同様、グローバルな対話と交流のためのプラットフォームとなることを目指しており、専門家によるアート、ブロックチェーン技術、NFTの各分野についての一連の講演会も実施される。
「今回私たちがNFTに関する啓蒙に注力しているのは、革新的な文化プログラムを支援してきた歴史を持つサザビーズにとって自然なステップであり、画期的なプロジェクト「ビジョン2030」に呼応した、サウジアラビアとの長年にわたる良好で活発な関係の証でもあります」とサザビーズのエドワード・ギブス中東・インド担当チェアマンは声明の中で述べている。
今回の展示フォーラムは、アラブ世界におけるデジタルシーンの拡大に欠かせないものであるとともに、過去1年間のNFTの急成長に改めてスポットを当てる役目も果たしている。スタティスタ(Statista)によると、2021年4月12日の時点で、「過去30日間にアート分野でおよそ23,700個のNFTが販売された」とのことだ。今年の2月15日の時点では、30日間にイーサリアム(Ethereum)のブロックチェーンに記録された販売数の集計は約35,500個に達している。
2021年4月以降、アート分野におけるサザビーズの販売額は、100NFTで約1億ドルを達成し、その間にはCryptoPunk1点(1,180万ドル)やBored Ape1点(340万ドル)など、数々の記録が生まれている。また、2021年6月、サザビーズはロンドンのニューボンドストリート本社のデジタルレプリカをディセントラランド(Decentraland)のヴォルテール・アート・ディストリクトの一等地に開設、内部に5つのスペースを設けて、純粋なデジタルアート作品、または同社の販売による物理的な作品のデジタルレプリカの両方を展示している。最近では、サンドロ・ボッティチェリの『嘆きの男』が、サザビーズ・ニューヨークで開催された「マスター・ペインティングズ」の一部としてオークションに出品される前に、サザビーズのバーチャルギャラリーの1つに礼拝堂風の内装ビジュアルの中にディスプレイされている。