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日本の大人気歌声合成ソフトウェア初音ミクが公開16周年を迎える

初音ミクのヒット曲は、初音ミクの公式YouTubeチャンネルなど、オンラインで幅広くシェアされてきた。(初音ミクの公式ブログ)
初音ミクのヒット曲は、初音ミクの公式YouTubeチャンネルなど、オンラインで幅広くシェアされてきた。(初音ミクの公式ブログ)
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02 Sep 2023 07:09:59 GMT9
02 Sep 2023 07:09:59 GMT9

千葉:初音ミクは、永遠に16歳という設定で、常に長いアクア色のポニーテールをなびかせてきた、日本で最も有名なボーカロイドだ。ボーカロイドとは、コンピューターで歌声を合成するソフトウェアのことで、初音ミクの場合は仮想アバターを身に纏っている。

初音ミクがリリースされたのは、2007年8月31日。その16周年を祝って、バーチャル展覧会や新曲制作など、彼女の代名詞的な可愛らしい高音域の歌声を楽しめるイベントが開催され、多くのファンが集まった。また、セイコーの限定腕時計や初音ミクを象った人形シリーズも販売されている。

さらに、初音ミクの公式YouTubeチャンネルには2,500万人以上のチャンネル登録者がいるなど、初音ミクのヒット曲はオンラインで幅広くシェアされてきた。CDやDVD、セガとの共同制作による楽しいリズムゲーム、そして初音ミクの名前を冠した化粧品や、有名な漫画家が初音ミクを描いたTシャツなど、初音ミクグッズも数多く販売されている。

9月1日には、東京近郊のコンサートホールに数千人の人々が集まり、お目当ての初音ミクが人間のミュージシャンと共に歌って踊る姿に見入っていた。

観客は曲に合わせてカラフルなライトスティックを振り、中には可愛い目の初音ミクのコスプレをした人もいた。

レーザービームが光り輝く中、観客は歓声をあげながら、一緒に歌って踊っていた。歌や振り付けを暗記していたのだ。暗いステージの中央には、まるで本当に初音ミクがそこにいるかのような、等身大のホログラムが映し出されていた。

「初音ミクの声が人間らしくないのが好き」と、16歳のKoyo Mikami氏は、友達と共に幕張メッセコンベンションセンターで行われたイベントを楽しみながら語った。2人とも、大きな初音ミクの柄が入った着物を身に纏っていた。

初音ミクの歌声は、実在の歌手兼俳優兼声優である藤田咲氏の声を基に合成されている。

2020年にパリで歌う初音ミク。(『AFP通信』)

初音ミクのソフトウェアアプリケーションはWindowsでもMacでも使用でき、メロディーと日本語の歌詞を入力すると、初音ミクの歌声で音楽を書き出してくれる。ビブラートを追加するような編集も、ダブルクリックで簡単に行える。さまざまなバージョンが提供されているが、クリプトンによる公式の最新パッケージは1万6,500円(110ドル)で販売されている。

初音ミクは身長158センチ(5フィート2インチ)、体重42キログラム(93ポンド)で、永遠に16歳という設定で、BPMが70から150の曲が得意であると、クリプトンは案内している。

16年前からある技術というのは、時代遅れと見做すべきか、それとも定番と見做すべきかは、観る者が決めることだ。初音ミクの名前は「未来からの最初の音」を意味する。このジャンルを開拓したのは初音ミクだが、今や市場にはその他にも多くのボーカロイドが存在するに至っている。

初音ミクの初期版の時代と比較すると、技術は前進しており、さまざまな声や機能が利用可能になっている。

初音ミクのソフトウェアは10万超の曲で使用され、ロサンゼルスや香港では3Dコンサートでも演奏されているほか、無数のアート作品の着想の源泉となっている。

『From Cool Japan to Your Japan』の著者ベンジャミン・ボアス氏によると、初音ミクがデジタル時代の「It Girl」として君臨できているのは、日本の漫画、アニメーション、そしてポップ音楽文化が参加型の文化であることに起因するとのことだ。

ボアス氏は、日本の出版社や著作権者は、知的財産を厳しく守るのではなく、ファンによる2次創作を歓迎していると言うのだ。

ミッキーマウスやスーパーマリオなどの著作権保護されたキャラクターとは異なり、初音ミクはオープンソースソフトウェアとして提供されている。欧米ではクリエイティブコモンズライセンスが適用され、初音ミクを使用して作成したコンテンツをより自由に利用したり配布したりできるようになっている。

「ミクの成功の原動力となってきたのは、今も昔も、ファンコミュニティーと、どのファンもすぐにミクのプロデューサーになれるという構図だった」と、日本政府がクールジャパン名誉大使に任命したボアス氏は述べている。

「ファンコミュニティーが存続する限り、初音ミクには未来があると思う」

ボーカロイドで音楽を制作するクリエイターは、日本では「ボーカロP」と呼ばれている。「P」は「プロデューサー」の略だ。その一部は、2人組のYoasobiや歌手の米津玄師など、日本でスーパースターになっている。

また、ボーカロイドでさまざまな歌声を試して楽しんでいる人もいる。最近、オンラインで幅広く共有されたものとしては、伝説的なクルーナーのフランク・シナトラのAIバージョンが、 ヴィレッジ・ピープルの1978年のヒット曲「YMCA」をカバーした音源もある。シナトラが実際にこの曲を歌った記録はない。

日本北部の札幌に拠点を置き初音ミクを開発したクリプトン・フューチャー・メディアで代表取締役を務める伊藤博之氏は、音声ソフトウェアに合わせてキャラクターを作成するのは、プログラムをユーザーフレンドリーにするための工夫の1つだったと語る。

「当社では、音楽を趣味として楽しみたいアマチュアにも使いやすくしたいと考えた」とのことだ。「歌があまり上手ではない人もいるが、そんな場合でもこの16歳の少女がその人が書いた歌を歌ってくれるのだ」

永遠に思春期という初音ミクの設定を終わらせる計画や、年齢を16歳から上げていく計画は、伊藤氏によると存在しない。

「当社では、初音ミクが人々に愛され続けるよう、最善を尽くす」と、伊東氏は締めくくった。

AP

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