
ラス・ラファン、カタール:カタールの国有大手エネルギー企業は3日、同国北東部沿岸の輸出ターミナルを通して世界最大の天然ガス田からの生産を拡大するプロジェクトの建設工事を開始した。
ロシアのウラジミール・プーチン大統領が昨年はじめにウクライナに対する全面戦争を命じて以来、ロシアからの天然ガス供給を失った欧州の消費国が代替調達先の確保に奔走する中、カタール産天然ガスに対する需要が高まっている。
ドーハの北80kmに位置するカタールエナジーの陸上ガス処理基地ラス・ラファンで、カタール首長の立ち会いのもと、ノースフィールド・ガス田拡張工事着工の派手な式典が行われた。
シェイク・タミーム・ビン・ハマド・アール・サーニ殿下はX(旧ツイッター)への投稿で、このプロジェクトは「液化天然ガス(LNG)の世界的生産国としてのカタールの地位の強化に向けた我々の一環である」と述べた。
カタールのサード・アル・カービ・エネルギー相は、このプロジェクトを「エネルギー分野における我が国のリーダーシップに向けた跳躍」と呼んだ。
アラビア湾の下を通ってイラン領内にまで延びているこのガス田における生産量を増やすことで、カタールは2027年までにLNG生産量を60%以上引き上げ年間1億2600万トンにする予定である。
拡張部分で生産されたLNGは2026年の供給開始を予定している。
中国、日本、韓国を筆頭とするアジア諸国がカタール産天然ガスの主要な市場となっているが、昨年はじめのロシアによるウクライナ侵攻以降は欧州諸国からの需要も高まっている。
フランスのトタルエナジーズのパトリック・プヤンヌ会長は記者団に対し、ノースフィールド・ガス田拡張は欧州からのLNG需要が高まる中で行われる「巨大プロジェクト」だと述べた。
「さらなる供給が必要であることは明らかだ。市場はまだ脆弱である」と同会長は言った。「このプロジェクトは大規模なものであり、そのような市場にいくらかの安心感を与えるだろう」
トタルは昨年9月、カタールエナジーとの間で15億ドルの契約を結び、カタールのノースフィールド・サウス・プロジェクト(同ガス田拡張の第2段階)の権益の9.3%を獲得した。
トタルは昨年6月、ノースフィールド・イースト(拡張の第1段階)の最初のパートナーとなり、20億ドル以上を投資して権益の25%を獲得していた。
カタールは今年6月、中国石油天然気集団に年間400万トンの天然ガスを供給する27年間の契約を結んだと発表した。この契約期間は、2022年に中国石油化工集団(シノペック)との間で結ばれた契約の期間(この業界ではそれまでで最長だった)と一致している。
イギリスのシェル、イタリアのENI、米国の大手2社(コノコフィリップスとエクソンモービル)も、この拡張プロジェクトのパートナーとなる契約を結んでいる。
カタールは米国、オーストラリア、ロシアと並ぶ世界有数のLNG生産国である。
カタールエナジーは、現在知られている世界の天然ガス埋蔵量の約10%がノースフィールド・ガス田にあると推定している。
AFP