
2025年大阪・関西万博の会場建設費が最大2350億円に増えるとの見通しが明らかになった。資材などの高騰が背景にあるが、費用が上振れするのはこれで2回目。各種の世論調査では巨額の建設費に批判的な声が強く、国民の理解を得るためには開催意義の説明などが求められる。
万博を誘致した当初の建設費は1250億円だったが、20年末、暑さ対策の整備などを理由に1850億円に増額された。その後、新型コロナウイルス禍による生産・供給の制約やウクライナ危機といった影響で資材や労務費が高騰。業界団体「日本建設業連合会」の推計によると、建設工事にかかるコストは21年1月時点と比較して2割弱上昇している。
今回の2350億円には、想定を超える物価上昇やさらなる自然災害に備え、予備費として130億円が含まれた。20日の会合で日本国際博覧会協会の石毛博行事務総長は「予定外の工事発注が発生した場合を想定した」と説明した。
会合後、大阪府の吉村洋文知事は記者団に「次の世代を担う人たちが万博で新たな技術、価値観に触れ、未来社会をつくっていくことに大きな意味がある」とした上で、「3回目の(費用)上振れはあり得ない」と強調した。
ただ、政府関係者の間には「ロシアのウクライナ侵攻は想像がつかなかった。国際情勢にも左右される可能性がある」「これ以上の増額は避けたいが、さらにインフレが進めば厳しい」との指摘もあり、今後一層費用が膨らむ可能性も否定できない。
時事通信