
国際通貨基金(IMF)は9日、対日経済審査の終了に伴って発表した声明で、日銀は大規模な金融緩和を終了し、政策金利を段階的に引き上げるべきだとの見解を示した。また、先進国で最悪の財政の再建が必要だとして、消費税率の引き上げなどを検討するよう提言した。
IMFは、日本の物価動向について「ここ1年間でインフレの上振れリスクが顕在化している」と指摘。長短金利操作など日銀の金融緩和策は既に目的を達成したとして撤廃を求めるとともに、「段階的に短期金利を引き上げるべきだ」と主張した。その上で、金融政策を円滑に移行するためには「段階的で慎重なペース・タイミング」が必要だと強調した。
財政に関しては、消費税増税や金融所得課税の強化に加え、中期的な財政の在り方の見直しを続けるよう要請。大規模な補正予算の編成については「予期せぬ大きな経済危機が発生した場合のみに限定されるべきだ」と訴えた。
このほか、6月に始める定額減税は「的が絞られておらず時限的で、効果は限定的だ」と分析した。ガソリン価格や電気・ガス代の抑制に向けて延長した支援策は、脱炭素化の取り組みを妨げかねないなどとして、対象世帯を限定した給付に切り替えるべきだと指摘した。
時事通信