
日本の株式市場の株価は17日、わずかに回復し、前夜のニューヨーク株式市場の歴史的暴落と同様の状態になることを回避した。日本銀行と公的年金基金による広範囲な買い支えがあったとみられる。
しかし、欧州と米国でコロナウイルスの感染拡大を防ぐための封鎖が行われ、それが世界金融市場に既に悪影響を与えた流行病による経済的打撃への不安を増幅させる中、全体的な市場心理は脆弱だ。
基準となる日経平均株価はきょう乱高下し、取引前半に2016年11月以来の最安値を更新した後、前日の終値より0.1%高い1万7011円53銭で取引を終えた。
オプションの価格付けに基づいた投資家の警戒感を示す指標である日経平均ボラティリティー・インデックスは、7.3%減少し56.27となり、ここ9年間で最高だった前日の60.86をわずかに下回った。
より広範囲のTOPIXは、取引前半に2016年6月以来の最安値となる1199円25銭まで下がったが、終値は2.6%上昇して1268円46銭となった。
ニューヨーク市場株式が1987年以来の最安値になる中で市場のムードは冷静だったものの、日銀がさらなる上場投資信託(ETF)の購入を実施するとの期待が、広範な市場の動きを後押しした、とトレーダーは述べた。
日銀は16日、市場が安定化するまで、ETFの購入額をこれまでの2倍に引き上げ、年間最大12兆円(1130億㌦)のペースで“積極的に”購入すると表明した。
「私は、日銀がきょう午後になってETFを購入したとみている」と、マッコーリーキャピタル証券会社の日本顧客向けセールストレーディング担当ヘッドであるマスザワ・タケヒロ氏は述べた。
市場関係者たちは、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)やその他の公的年金基金も株式を購入し、最近の売却後のポートフォリオをリバランスした可能性があると述べた。
東証の33セクターのサブインデックスのうち2つをのぞくすべてが前日より高値で取引され、紙パルプ、電気ガス、水産農林が最上位の3業種だった。
コロナウイルスの拡大を抑えるために自宅にとどまる人が増える中、ゲーム会社や食品メーカー株の高騰が目立ち、任天堂が5.9%上昇したほか、ニチレイ、山崎製パンもそれぞれ3.7%、9.9%上昇した。
一方、低迷した銘柄をみると、日経ウェート首位銘柄であるファーストリテイリング株が、コロナウイルスの影響により、米国内で運営する衣料品店のユニクロ全50店舗を一時的に閉鎖すると表明した後に4.8%下落した。
このほか、日本の最大手石油ガス開発会社である国際石油開発帝石株が、原油先物価格が16日に1バレルあたり30㌦を下回った後、4.4%下落した。
(1㌦=106.3600円)
ロイター