
岸田文雄首相は4日の経済財政諮問会議で、経済再生と財政再建の両立に向けた「経済・財政新生計画」を策定すると表明した。新計画の期間は2025~30年度の6年間。月内の閣議決定を目指す経済財政運営の基本指針「骨太の方針」と合わせてまとめる。経済成長に軸足を置き、税収増などを通じて財政健全化に取り組む。
同日の会議で民間議員は、新計画がスタートする25年度に国と地方を合わせた基礎的財政収支(PB)を黒字化する現行の財政再建目標を堅持するよう提言。これに対し、首相は「25年度の目標達成が視野に入っている」と述べ、維持する姿勢を示した。民間議員は社会保障制度などの持続可能性を確立するため、新計画でPB黒字化後の新たな財政再建目標を設定することも求めた。
財政健全化の道筋を示した現在の「新経済・財政再生計画」の期間は19~25年度。25年度のPB黒字化に加え、「団塊世代が75歳以上になるまでに財政健全化の道筋を確かなものにする」との方針を掲げている。新計画はこれに代わるもので、民間議員は債務残高対GDP(国内総生産)比の安定的な引き下げを目指す従来方針の維持も訴えた。
首相は経済成長に関し、実質GDP成長率1%超を安定的に実現するために「生産性向上などとともに、官民連携の投資を推進する」との考えを示した。
歳出改革については、民間議員が新型コロナ対策で膨張した歳出構造を「平時」の状態に戻すべきだと主張。一方、景気が一時的に悪化した場合に機動的な財政出動を可能とする「柔軟性」が必要だとも指摘した。
会議では今年の骨太方針の骨子案が示された。デフレから完全に脱却し、成長型の「新たな経済ステージ」に移行させるため、所得の増加や賃上げの定着に取り組む方針が盛り込まれた。
時事通信