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レバノンの人々が飢える中、ラマダン期間中の支援には限界も 慈善団体が懸念

レバノンの慈善団体関係者やモスクの導師は、今年のラマダン期間中は、増え続ける飢餓人口を支援する能力が低下することに懸念を示している。
レバノンの慈善団体関係者やモスクの導師は、今年のラマダン期間中は、増え続ける飢餓人口を支援する能力が低下することに懸念を示している。
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11 Apr 2022 05:04:09 GMT9
11 Apr 2022 05:04:09 GMT9
  • 壊滅的な金融危機の中、空腹を満たすための物価は急激に上昇し、寄付は減少し、ボランティア活動をする人は減っている

ベイルート:レバノンの慈善団体関係者やモスクの導師は、今年のラマダン期間中は、増え続ける飢餓人口を支援する能力が低下することに懸念を示している。同国の金融危機が影響している。

彼らは、過去1年間で物価が急激に上昇し、ボランティア活動をする人が減り、「有能な人々」からの寄付が減少していると述べた。理由に、「後援者の条件が変化した」ことを挙げている。

経済危機は多くの人に厳しい生活環境をもたらした。その結果、援助を必要とする家庭が増加した。一方、支援を行う慈善団体などがラマダン期間中に受け取る寄付金の額は減少することが予想され、増え続ける生活苦の人々に、毎日のイフタールの食事を提供する能力に影響を及ぼすという。

このような食事には、伝統的にファトゥーシュ・サラダと、米と肉のプレートが含まれる。昨年の一食分のコストは約5〜6万レバノン・ポンド(LBP)、1ドル=約1500LBPの公式為替レートに基づくと約33〜40ドルであった。

今年は、ガスなどの燃料、電気代、使い捨ての皿や包装、輸送や流通の価格が上昇した結果、コストが飛躍的に上昇した。調理場での作業や食事の配達をするボランティアも減っている。また、公式の為替レートがなかなかつかめず、取引所が提示する非公式の闇レートはさらに悪化している。

「今年のラマダン月の状況は、昨年よりもはるかに厳しいものになるだろう」と、困窮者に食料や衣類を提供するイスラム慈善指導改革協会のファテン・ムネイムナ氏は言う。

「昨年は1ドルあたり7000LBPだった為替レートが、今は1ドルあたり2万2000LBPに跳ね上がり、燃料や食料品、パンまでもが大幅に値上がりしている」と彼女は語る。

「今年は、イフタールの食事に肉や鶏肉は毎日出せない。ファトゥーシュ・サラダもない。その代わり、レタス、トマト2個、キュウリ1本を配り、自分でサラダを作れるようにしている」

「ガスボンベの値段が50万LBPに達しているため、自宅で食事を作るボランティアをしている女性の数は減少している。1カ月間、毎日120人分を食べさせなければならない。もしケータリングに頼れば、イフタールの食事を買うのに2000ドルが必要になり、そうすると薬や衣類など他のものが用意できなくなってしまう」

「さらに、イフタールの食事の配達は、ガソリンの大幅な値上げにより、非常にコストがかかるようになった」

ムネイムナ氏は、今年のラマダンでは、ますます多くの人々が飢えているとアラブニュースに語る。財政的な制約と少ないボランティアのためにイフタール食事の質は低く、種類も少ないという。

「そう、レバノンでは飢えに苦しむ人々がいる」と彼女は話す。「数日前、ビルの階段下の部屋に住んでいる50代の女性から電話があった。彼女は泣きながら、自分は飢えていると話した。以前は姉が助けてくれたが、今はもう無理なので、姉からもらったお金で携帯電話を充電し、私たちに電話をかけたと彼女は続けた」

ダル・アル・ファトワのザカート基金の事務局長であるシェイク・ズハイル・キビ師は、次のように述べた。「私たちが人々を支援する上で直面する最大の問題がある。銀行が私たちに現金を渡すことを拒否し、小切手しか渡さないため、銀行にあるお金が凍結され、キャッシュフローが欠如していることだ。どの慈善団体も同じ問題に直面している」

「一方で人道的な必要性は高まっている。特に医薬品や病院の治療費に加え、食料品の価格や輸送費などが、従業員の限られた賃金に影響を与えている」

彼は、財政危機があらゆる階層の家族に影響を及ぼしていると述べる。「私たちザカート基金は、1100世帯と2300人の孤児に援助を行っている。300世帯には毎月30万ポンド、すべての孤児には毎月70万ポンドを支給している。これらのニーズを満たすには毎月20億ポンドが必要で、これにはザカート基金の職員の給与は含まれていない」

同基金は、「断食の身代金(ラマダン中に断食できない人が支払い、他の人を養うために使われる金額)」を、昨年の1万5000ポンドから今年は3万5000ポンド(闇市場の為替レートで約160ドル)に引き上げたという。

ムネイムナ氏はこう語る。「これは義務であり、貧しい人々を助けるためのお金であり、慈善家の人たちは今でもザカートのためにお金を渡している。しかし銀行の手続きが複雑なため、その額は減少している」

「銀行からの引き出しが制限されているため、貧富の差に関係なく、すべての人が影響を受けている。私たちは、国外在住者からの仕送りに頼っている。しかし、銀行は、この仕送りを得るための努力を妨害しているのだ」

ベイルートのモスクで、夜明け前のスフールの食事を無料で提供すると発表すると、何百人もの人々が朝一番にそれを求めて集まってきたと、多くの人々が感じている絶望の状況を彼女は説明した。また、財政難のため、提供されるスフールには、もはや卵やチーズ、お菓子は含まれていないという。

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