
シンガポール:原油価格は金曜日のアジア取引で上昇し、3週間の下落に終止符を打つ構えだ。燃料需要の増加と、米国の世界的な相互関税計画が4月まで発効せず、貿易戦争を回避する時間が増えるとの予想が好感された。
サウジアラビア時間午後3時22分までのブレント先物は、59セント(0.8%)高の1バレル75.61ドルだった。米国のウエスト・テキサス・インターミディエイト原油は、47セント(0.7%)高の71.76ドルだった。両限月とも週間では約1%の上昇となる勢いだった。
ドナルド・トランプ米大統領は木曜日、米国製品に関税をかける国に対する相互関税を検討し、4月1日までに提言を返すよう通商・経済当局者に命じた。
IGのマーケット・ストラテジスト、イープ・ジュン・ロン氏は、「米国の関税引き上げ延期を踏まえた貿易面での前向きな動きは、今朝の原油価格に若干の回復の道を開く」
「しかし、ウクライナとロシアの和平交渉の可能性の中で、ロシアの供給が再び市場に戻ってくるという見通しを市場参加者が消化しなければならないため、原油価格の上昇は限定的なものになるかもしれない」と語った。
ロシアとウクライナの和平交渉の可能性により、モスクワへの制裁が解除されれば、世界のエネルギー供給が増加するのではないかとトレーダーは懸念している。
ロシアのプーチン大統領とウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領が、トランプ大統領との個別の電話会談で和平への意欲を示したことを受け、トランプ大統領は今週、ウクライナ戦争の終結に向けた協議を開始するよう米当局者に命じた。
国際エネルギー機関(IEA)は最新の石油市場レポートで、先月ロシアの原油生産量がわずかに増加したことを受け、米国による最新の制裁措置に対する回避策が見つかれば、ロシアの原油輸出は維持される可能性があると述べた。
一方、世界の石油需要は前年比140万バレル増の日量1億340万バレルに急増していると、JPモルガンのアナリストは金曜のレポートで述べた。
「当初は低迷していた移動用燃料と暖房用燃料の需要が2月第2週には回復し、実際の需要と予測とのギャップがまもなく縮小することを示唆している」「暖房用燃料の使用は再び増加すると予想される。加えて、ヨーロッパではガス価格が高騰しており、ガスから石油へのシフトを促し、需要を押し上げる可能性がある」と述べた。
ロイター