東京：日本銀行は2日、金利を据え置き、世界経済の不確実性の高まりを警告した。さらなる利上げのタイミングは、潜在的な米国の関税引き上げによる影響に大きく左右されることを示唆した。

しかし植田和男総裁はまた、食品コストの上昇と予想を上回る賃金の伸びが基調的なインフレ率を押し上げる可能性があると述べ、中央銀行が国内の物価上昇圧力に注目していることを強調した。

「日本の賃金・物価情勢は順調に推移しており、予想よりも強い可能性がある。しかし、米国と世界の先行きが不透明なため、日本経済への潜在的な影響を評価するのは難しい」と植田総裁は記者会見で語った。

「そのため、4月上旬に発表されるデータを見て、予測を再考したい」と植田氏は語った。

植田総裁は次回の利上げ時期についてほとんど示唆を与えなかったが、引き金を引くにあたって、日銀は必ずしも米国の関税の影響についてすべてがはっきりするまで待つ必要はないと述べた。

同総裁は、「かなり後になってから判明する要因もあるかもしれないが、国民心理の変化など、かなり早い時期に判明する要因もある」と述べた。国内のインフレリスクへの対応については、「あまり後手に回らないようにする」と付け加えた。

1月に利上げを行ったばかりの日本銀行の理事会は、広く予想されていた通り、短期政策金利を0.5％に据え置くことを全会一致で決定した。

この決定は、ドナルド・トランプ米大統領の関税政策による世界的な景気減速懸念が、日本が日銀のインフレ目標2％の持続的達成に向けて前進していることを示す賃金・物価データを覆い隠す中で下された。

「海外の不確実性は著しく高まっており、すでにアメリカや世界経済に影響を及ぼしている」と植田氏は述べた。

日銀の決定直後、円は下げたり上げたりを繰り返したが、その後は値を下げた。最終的には1ドル＝149.56円まで0.2％値を下げた。

伊藤忠経済研究所の武田篤チーフエコノミストは、「植田総裁の発言はバランスが取れており、日銀が食料品価格上昇の影響を強く意識していることを示していた」という。

日銀が7月に利上げに踏み切ると予想している武田氏は、「植田氏は海外リスクだけでなく、賃金交渉の好調な結果についても何度も言及しており、市場が考えているほど日本経済の先行きに慎重ではないことを示唆している」と語った。

物価上昇圧力

日銀会合は米連邦準備制度理事会（FRB）の数時間前に開かれた。FRBもトランプ大統領が4月に予定している関税引き上げの動向を見守るため、金利を据え置くと見られている。

米国は先週、鉄鋼とアルミニウムの輸入関税を25％に引き上げた。ワシントンは4月2日に自動車関税を発表し、より広範な相互関税のアジェンダを発表すると予想されている。

米国は日本にとって最大の輸出先であり、21兆円（1405億6000万ドル）相当の商品があり、自動車はその約28％を占めている。

ロイターの世論調査によると、3月の日本の製造業の景況感は悪化している。

しかし、国内の賃金とインフレの状況は、日銀の追加利上げの条件が整いつつあることを示唆している。

日本の大企業は先週、労働組合との賃金交渉で3年連続の大幅賃上げを提示した。

食品価格の上昇が続き、人件費の上昇も加わって、1月のヘッドラインインフレ率は2年ぶりの高水準となる4％を記録した。

「先週の賃金交渉の結果は、予想よりやや強かった。一部の理事会メンバーは、物価上昇リスクに留意する必要性を訴えた。ですから、（成長率の下振れと物価上昇の）両方のリスクに留意する必要があります」と植田氏は述べた。

日銀は、4月30日から5月1日にかけて開催される政策決定会合で、四半期ごとに成長率と物価見通しを見直す予定だ。

日銀は昨年、日本が長期的なインフレ目標を達成する手前にあるとの見方から、大規模な景気刺激策を打ち切った。

経済・物価情勢が予測通りに推移すれば、さらに利上げを行う用意があることを示唆している。ロイターの世論調査では、エコノミストの3分の2以上が、日銀は第3四半期に0.75％まで利上げを行い、7月に実施する可能性が高いと予想している。

ロイター