
緊急事態宣言が解除されて1日が過ぎた東京。新型コロナウイルスと共存する「新しい日常」に向けて備えてきた人々の表情からは、解放感と不安感とが入り混じった気色が伺える。
安倍総理大臣は月曜日、「国内の感染者数を、約1万6600件という比較的少ない数字に抑えることに成功した」と述べ、東京を含む残された5都道府県における緊急事態宣言を解除した。
渋谷でロイターのインタビューに応じた会社員の富永大輔さんは、「コンサートに行きたいです」と答えた。
厳格な都市封鎖を行った他国とは違い、日本は企業に対し営業停止を強制しなかった。緊急事態宣言の解除以前から営業を再開していたところもある。
それでも約7週間続いた宣言が解除され、多くの人が仕事に戻り、外出するようになった。ソーシャルディスタンス(社会的距離)の確保と、マスクの着用は続いている。
古城直人さん(45)は、朝の通勤電車がいつもより混んでいたことに不安を感じたという。
「まだ少し心配です。感染拡大の第2波が来るかもしれないので、今後も気を付ける必要があるでしょう」と話していた。
多くの学校は分散登校などの予防策を講じつつ、来週から授業を再開する予定だ。
東京の小池都知事は、油断は禁物と警告した上で、「ワクチンや治療法が開発されるまで、テレワークや時差通勤などの『新たな日常』に慣れていかなければならない」と述べた。
多くの企業では今後も社員のテレワークを続行するとしている。小田急電鉄は、乗客が混雑を避けやすいように、電車の利用データを公表するという。
ソニーは6月のオフィス勤務者を30%に抑える。また日立製作所は、業務の半分を在宅でできるようにすることを目指すと発表した。
取材に応じた日立製作所の中畑代表執行役は「以前の働き方に戻ることはない。新しい働き方を推し進め、在宅ワークを新たなスタンダードにする」と話した。
日銀の黒田総裁は国会に向けて、「新型コロナウイルスが日本の産業構造と人々の行動を変える可能性がある。物事がパンデミック以前に戻るのは難しいかもしれない」と述べた。
ロイター通信