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インタビュー:ビル・ゲイツ、ワクチン、そしてCOVID-19との闘い

21 Jun 2020
イラスト:Luis Grañena
イラスト:Luis Grañena
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Updated 21 Jun 2020
21 Jun 2020

フランク・ケイン

ビル&メリンダ・ゲイツ財団の副局長であるハッサン・ダムルジ氏は、皆の生活を一変させた新型コロナウイルスのパンデミックについて、率直な、あるいは悲観的な考えを述べた。

「自分の国では全てが終わり、沈静化しているかもしれないと考えている人もいますが、実際には、世界的に非常に気掛かりな状況です。私たちは第3波の中に深く入り込んでいます」と彼はアラブニュースに語った。

ビル&メリンダ・ゲイツ財団は、マイクロソフトの創業者とその妻によって創設された数十億ドル規模の慈善団体。現在、ウイルスとの闘いにおいて最も重要な団体の一つだ。

「第1波は中国を襲い、他の国は比較的影響を受けませんでした。そして、中国は大きな問題を抱え、他の国はリスクを過小評価していました」とダムルジ氏は説明した。

「第2波は実際に、欧州、北米、そして東アジアの世界有数の裕福な国々を襲いましたが、現在は沈静化しています。米国の感染者数は今でもかなり多いですが。第3波は現在、中低所得国が被害を受けているところで、特に中南米諸国、ここはパンデミックの中心地です。パキスタンもですが、ここは私の住んでいる地域で、間近に見ています。アフリカ全体でも感染者が増加しています」

彼は、ゲイツ財団の中東での活動に対して直接の責任を負っており、危機に対する地域の対応を判断する上で強い立場にある。ダムルジ氏はつい最近、世界的なワクチン・アライアンスであるGAVIの5カ年の資金調達サイクルに関与した。

サウジアラビアは、そのイベントで力強く率先し、共同基金に1億5000万ドルを寄付し、それは最終的に88億ドルに達し、求められていた金額を約12億ドル上回った。同国はこれに先立ち、リヤドで開催されたG20の会合で、総額5億ドルをウイルス対策活動に充てると約束していた。ダムルジ氏はサウジアラビアの取り組みに感謝している。

「それは非常に寛大で、資金調達は非常に力強いスタートを切ることができました。サウジアラビアの人たちは早々と役割を担ってくれました。力強かったのは、単にお金を入れていたということだけではなく、彼らが意思を表明し、他の人たちが後に続く義務があったことです。サウジアラビアがG20の議長国であることを考えると、優れたリーダーシップを発揮していました」

「それは予想を上回りましたが、ウイルスの状況により、その必要性はさらに高まるでしょう。サウジアラビアは、コロナウイルスのワクチンが利用可能になったときの調達に関し、本当に尽力した。それはとても重要でした」

GAVIが調達した資金—ゲイツ財団は、その主要な出資者である—は、新型コロナウイルス感染症に対するワクチンの開発支援に使われるとともに、世界の最貧国のいくつかで、免疫化および医療の分野におけるGAVIの他の活動に提供される。

ダムルジ氏は、ワクチン発見に向けた現在の進捗状況について、厳しい現実を突きつけるような見方を示した。

「それと闘うためのツールの開発に関しては、私たちはまだ研究開発段階にあります。人々は、ワクチンが利用可能になる日を知りたがっていますが、実際のところ、革新においては、事が決して起きないこともあれば、考えていたよりもずっと早く起きることもあり、時には遠回りすることもあります」

「例えば、すばらしい新世界が、ポケットの中のiPhoneになるとは誰も思っていませんでした。よって、研究開発がどのように進むかを予測するのは非常に難しいのですが、ワクチンに関して言えば、明らかなのは、これが史上最速で、最も協調し、最も資金提供された、ワクチン開発に向けた取り組みであるということです」

「期待できる結果を示した、成功するワクチンになりそうなものが早くからいくつかあるので、楽観的であるのには理由があります。オックスフォード大学とアストラゼネカのものでも他のものでも、私たちが目にしている初期のものは、同じ技術プラットフォーム上にある傾向があり、その類似性ゆえに、それらは急速に進展することができました。しかし、そのうちの一つが失敗した場合、全てが失敗する可能性が高いです。科学的には、同一の基本的なアプローチだからです。

早期に成果が出ることへの、かすかな希望がある。「運が良ければ、それらのうちのいくつかは非常に早く功を奏し、来年半ばまでには、かなりの数のワクチンが市場に出回るでしょう」

しかし、それは保証されていない、と彼は警告した。「運が悪ければ、どれもうまくいかないでしょうし、そうなれば、さまざまなタイムラインに(ワクチンになりうるものが)何百個と出てくるでしょう。最終的にはワクチンは手に入るでしょうが、来年半ばを確定的なことだと考えるのは、あまりにも楽観的です」

科学の分野において世界で最も才知に富む人材がワクチンの発見に集中している一方で、世界、特に最貧国を苦しめている他の深刻な病から注意がそらされる危険がある。

例えば、ゲイツ財団は、中東やアジア諸国にとりわけ大きな被害をもたらしたポリオを撲滅するキャンペーンに多大な時間と労力を費やした。それは、この病気に対して勝利を宣言する寸前までいったが、結局パキスタンで脅威として再び現れるという結果になった。

「大きなリスクがあります。「野生型」ポリオの症例の最大の発生地であるパキスタンでのポリオワクチン接種キャンペーンは、ここ数ヶ月間中止されています。私たちは今月中の再開を望んでいましたが、パキスタンでのパンデミックの経過は、まだピークに達しておらず、まだ再開できていないということになっており、今は8月を見込んでいます」

「なので、パキスタンでのポリオワクチン接種は、ちょうど中断したところです。COVID-19に対するソーシャル・ディスタンシング措置のいくつかにより、他の病気の伝染も減少することを期待するかもしれませんが、実際には、ポリオに関しては間違いなく、この計画は大きな打撃を受けています」とダムルジ氏は述べ、発展途上国が一度に複数の重大な疾患と闘うことは困難であると付け加えた。「貧しい国では、あることを他より多くすると、他のことをしなくなります。エボラ危機が西アフリカを襲ったとき、エボラではなく、基本的な医療サービスが受けられないために死亡する人のほうがはるかに多かった。新型コロナウイルスでも同じようなことが起こる可能性は非常に高いです」

ゲイツ財団、特にその創設者は、パンデミックが起きてから、いくつかの突飛な陰謀説の標的になっている。ビル・ゲイツ氏はマイクロソフトで得た数十億ドルを慈善目的、特にコロナウイルスと闘うために使うと約束していたにもかかわらず、SNSの、より突飛な一部では、世界征服のために金を出したと非難されている。

ダムルジ氏には陰謀説支持者たちに突き合っている暇はない。

「これによって示されているのは、質の高いジャーナリズムの重要性だと思います。ネットの世界では、書きたいものを書くことを妨げるものは何もなく、面白いと思うものを見つければ、それを転送し、それは拡散するでしょう。私たちが発見したのは、大体において、質の高いジャーナリズムの発信元は、仮にこの種の陰謀説を報告したとしても、それを事実としてではなく、他の人が言っている非常に奇妙なこととして報告し、実際に反論しているということです。それを知れて本当に良かったです」

「これらのことが真実かどうか知ることに関心がある人は、信頼できる情報源を調べるべきですし、それを信じるに足る証拠はほとんど見つからないでしょう。まるで荒れた西部のように、WhatsAppでは転送を使ってさまざまなことが言われています」

ゲイツ財団は倫理基準に「レーザー光線のように集中」しているが、資金調達プロセスには実際的なアプローチを取っている。「私たちの基本的なアプローチは、命を救い、私たちが達成しようとしている目標を成し遂げるために、世界中の政府と協力し、できる限りのことをするというものです。多くの政府に対して批判があり、その中には妥当なものもあれば、そうでないものもありますが、それは全ての対象に対して当てはまります」と彼は話した。

世界が直面している経済危機を鑑みて、「慈愛はまずわが家、身近なところから始まる」というアプローチの必要性に政府や個人が気付く中で、ゲイツ財団のような慈善団体への寄付金が枯渇するのではないかという懸念もあった。

「心配しなければならないことの一つは、長期的な援助―慈善活動だけでなく、それより大きな、人命を救い生活を改善する、GAVIや他のプログラムのようなものへの政府援助―それらが長期的に損害を受ければ、それは心配の種です」

「政府が正しいか間違っているかという問題に関しては、私が言うべきことではありません。取るべきバランスというものがあり、個々の社会だけが、死VS経済的損失の難しいトレードオフを決定することができます」

しかし、彼が譲らない点は一つ、世界中の政府が、新たなパンデミックを防ぐための政策を採用しなければならないということだ。

「もし私たちがもっと強力なパンデミック対策システムを構築していたら、今のような状況にはならなかったでしょう」と彼は述べた。

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