
フランク・ケイン
ドバイ:COVID-19パンデミックによって世界経済が負担する損失は、来年末までに12兆ドルに上るだろうと、国際通貨基金(IMF)が水曜に予測した。
パンデミックは「他に類を見ない危機」であり、世界経済の縮小はこれまで考えられていたよりも大幅に悪く、回復は「不透明」と、IMFは悲観的に更新した「世界経済見通し」の中で述べた。
世界の国内総生産(GDP)は今年、同基金が「グレート・ロックダウン」と呼ぶ状況の中で4.9%落ち込むことが見込まれる。
成長率は来年5.4%跳ね上がるが、IMFのチーフエコノミストであるジータ・ゴピナートは、「医療的な解決策が存在しない中で、景気回復の強さは極めて不透明であり、各産業分野や国家への影響は均一ではない」と警告した。
IMFの予測には、いくつかの注目に値する敗者が存在する。イタリア経済は12.8%縮小し、スペインも同様である。フランスはそれよりわずかにましな12.5%の落ち込みとなりそうだ。英国経済は10.8%縮小する。
米国は8%の縮小と予測される一方で、コロナウィルスが最初に見つかった中国はウイルスの大流行に対する早期対応が功を奏し、実際のところ1%拡大しそうだ。
中東と中央アジアは4.5%の減速となる。サウジアラビアは今年6.8%の縮小に苦しんだ後、2021年には3.1%の回復になると、IMFは予測した。
王国は世界のエネルギー市場における価格変動と、4月に起こった石油価格の崩壊の影響を受けてきた。IMFは今年の平均石油価格を、現在の市場価格よりも低い1バレル$36.20と予想する。2021年の予想もわずかに高い$37.50と、多くの石油専門家の見積もりよりも大幅に安い。
同基金は、世界中の政策による対策が経済損失を限定し、金融市場を支えたと述べた。「危機が始まって以来、いくつかの国で展開された大規模な財務・金融分野の対策が、短期的な損失が膨らむのを未然に防いだ」という。
また、指標となる米国のウェスト・テキサス・インターミディエイトが「安定した値幅に収まる」など、「石油市場の安定も市場心理を引き上げるのに役立った」と付け加えた。
しかし同基金は、金融・証券市場は悲観的な経済見通しを反映しておらず、「金融情勢が想定されていた基準よりも引き締められる可能性が高まっている」とも警告した。
世界銀行やOECDなど他の国際機関による悲観的な評価を受け、IMFはこれまでも世界経済の予測を引き下げるかもしれないと示唆してきたが、金融市場は今回の報告を悪く受け取った。
ニューヨークのS&P500指数は2.69%下落して3,000ポイントの水準の上あたりをさまよった。世界的な指標となるブレント原油は4%以上値を下げたが、依然として1バレル$40以上を維持した。