
ラワン・ラドワン
JEDDAH: ジェッダ:世界貿易機関(WTO)は早急に改革を必要としている、とサウジアラビアからの同機関の次期事務局長候補、ムハンマド・アル=トワイジリー氏が訴。
アル=トワイジリー氏は、ジュネーブのWTO本部で世界に向けて行われた記者会見の席上、WTOの未来に関する彼のビジョンについて説明した後、上述の主張を明らかにした。国際貿易の流れに影響を与える大きな問題に世界が直面していることに同氏は注意を促し、WTOの改革がこれまで以上に必要とされていると訴えた。
「私は、WTOのリーダーとなり、すべての加盟国のコンセンサスを得て改革を行うことを楽しみにしています」とアル=トワイジリー氏は語っている。同氏はまた、WTO事務局長の役目とは、ガバナンスの枠組みを大切にしながら、加盟国間の相互理解のための役に立つ中継点的な存在であることであり、また、明確な測定指標を通じて対象メンバー国のパフォーマンスをフォローアップすることでもあると付け加えた。
アル=トワイジリー氏は、問題を深いレベルで理解し、解決へのシナリオを複数用意するため、現在の状況を正確に調査する必要があると述べた。
「WTOという組織への信頼を回復することは、次期トップにとって最優先事項でなければなりません。それが、変化に対応する能力に加えて、将来の組織の成功のための最も重要な基準となるからです」とも同氏は語っている。
過去数カ月間、加盟国間の貿易紛争を裁定するWHOの上級委員会には、さらなる難題が突きつけられている。
アル=トワイジリー氏は、新型コロナウイルス感染症の世界的流行によって引き起こされた経済危機と保護主義的政策の台頭という状況の中で、WTOが直面している最も重要な課題は「効果的なリーダーシップとマネージメントの欠如」であると言う。同氏は、今後の閣僚級会議の開催とよりダイナミックで効果的な交渉手法の採用により状況が改善される可能性はあるとも述べ、WTOの多国間システムはすべての加盟国に役立っているが、そのスピード感に衰えが見られるため、テコ入れの必要があると強調した。
アル=トワイジリー氏は自身について、貿易と世界経済における長い経験に基づいた、WTOの機能に関するビジョンを持っていると語る。特に、貿易の流れ全体に影響する世界的変化のただ中で、すべての加盟国の合意による改革の実施が必要となっているため、世界の貿易のために緊急の処置を要する優先事項というものが存在している、と彼は指摘した。
女性事務局長の可能性に関する質問に対しては、WTOにおける指導的地位を女性が占めていくことを支持している、とアル=トワイジリー氏は述べ、次のように語った。「[女性たちがより力を持つことは]現在の課題を克服していく中での、WTOの発展のため、またそうした発展への支援において、中心的な役割を果たすでしょう」
王室顧問であり経済相を務めた経験もあるアル=トワイジリー氏は、7月の初めにサウジアラビアからWTOの次期事務局長候補に指名された。 WTOへの届け出文書において、サウジアラビアは、多国間貿易システムに対する同国の信念と、それをサポートする上でWTOが果たす重要な役割を確認している。
ジュネーブを本拠とするWTOは通常、加盟国の総意により事務局長を決定するが、合意に至らない場合は場合には選挙が行われる。新事務局長は9月1日に就任の予定だ。