ロンドン:パレスチナ自治政府のマフムード・アッバース大統領は21日、パレスチナ国民が完全な権利を手にしないまま、中東に平和が広く行きわたると考える人たちは間違っていると述べた。
アッバース大統領は国連総会で演説を行い、イスラエルによるパレスチナ領土の占領は「国際法と正当性の原則に違反しています。永遠に占領し続けて、人種差別的政策を定着させることを目的としており、領土の歴史的、地理的、そして人口動態の現実を変えてしまう時間との戦いになっています」と述べた。
国連が「イスラエルがパレスチナの領土の占領を終結させ、1967年6月4日に合意した国境に基づき、東エルサレムを首都とする、完全かつ独立した主権をもつパレスチナ国家の実現を要求する決議を履行すること」を、パレスチナは今も望んでいると同氏は述べた。
そして、イスラエルがパレスチナ国民への攻撃を続けており、「イスラエル軍、イスラエルの人種差別主義者やテロリスト、入植者らは、ただ我が国民の金銭や資源を盗むために、国民を脅して殺害し、住居や財産を破壊し続けています」と付け加えた。
同氏は、イスラエルが「イスラム教とキリスト教の聖地を攻撃し続けています…特に神聖なアル・アクサモスクは、イスラム教徒だけの独占的な礼拝の場として、国際的に正当性が認めています」と述べた。
同氏は、イスラエルがモスクの下や周囲にトンネルを掘っているため、モスクが完全にあるいは部分的に崩壊する恐れがあり、「崩壊すれば、計り知れない結果をもたらすことになるでしょう」と述べた。
同氏は国際社会に対し、エルサレムとその聖地の歴史的、法的地位を維持する責任を果たすよう求めた。
また、中東での平和の実現に関心をもつすべての国が参加する国際和平会議の開催も要請した。
「尊敬申し上げる組織とアントニオ・グテーレス事務総長に対し、この和平会議を招集し開催するために必要な手配を行うよう要請します。この和平会議は二国家解決を蘇らせる、そして事態をより深刻に悪化させて、この地域を含む世界全体の安全と安定を脅かすのを防ぐことができる最後の機会になるかもしれません」
同氏はまた、パレスチナを国家と承認していない国々に対し、直ちに承認するよう強く要求した。「パレスチナ国家が正式に国連への加盟が認められるよう要請します」と述べた。
「世界のすべての国々が話題にする国家が二つあります。イスラエルとパレスチナです。しかし、国家として認められているのはイスラエルだけです。なぜ、パレスチナは認められないのでしょうか」
「国連がオブザーバー国家として認めているパレスチナ国家を、一部の国が…国家として承認することに消極的であることを、私は理解できませんし、受け入れることもできません」
「これら消極的な国は、二国家解決を支持することをいつも確約してくれます。しかしながら、一方の国家、すなわちイスラエルしか承認していません。これはなぜなのでしょうか」