武田薬品工業は9日、同社を含む製薬会社アライアンスが、新型コロナの血漿療法の世界的な臨床試験に最初の患者を登録したと発表した。臨床試験は当初の予定から数か月延期されていた。
声明によると、「CoVIg-19アライアンス」による第3相試験には、米国、メキシコ、その他16か国から500人の成人患者が登録される予定だという。
患者には、CSLベーリング、武田および他の2社が提携する同アライアンスが提供する血漿療法と並行して、ギリアド・サイエンシズのレムデシビルが投与される。
CSLベーリングのチーフメディカルオフィサーであるビル・メッザノッテ氏は声明の中で、「臨床試験のデータが年末までに利用可能になることを期待している」と述べた。
同アライアンスは当初7月に臨床試験を開始することを目指していたが、規制当局の承認が出るまで延期されていた。試験は米国の国立衛生研究所の資金提供により実施されている。
ドイツのバイオテストとオクタファーマ・プラズマも参加しているアライアンスは、血漿から抽出した高度免疫グロブリン製剤の開発に取り組んでいる。一定量の抗体を含有し、血液型が一致する患者に限定する必要はない。
世界保健機関は、新型コロナの血漿療法について、米国が緊急使用を許可したとしても、有効であることを示す「証拠の質は低い」とし、慎重な見方を示した。
治療薬の試験と生産は、新型コロナ感染症から回復した患者から抽出する血液成分の不足に対しても脆弱だ。CoVIg-19アライアンスは声明で、新型コロナ患者に血漿を提供することを検討するよう呼び掛けている。
ロイター