
三菱重工業が、国産初の小型ジェット旅客機「スペースジェット」(旧MRJ)の事業化を事実上凍結する方向で検討していることが22日、分かった。開発が遅れていたところに新型コロナウイルスの流行に伴う旅客の減少が重なり、航空機需要の回復が当面見込めないためだ。
日本企業が約半世紀ぶりに挑む旅客機の実現は、さらに遠のくことになりそうだ。30日に発表する事業計画の中で今後の方針を示す。
三菱重工は2008年に旧MRJ(三菱リージョナルジェット)の開発を決定。最初の顧客である全日本空輸(ANA)に対し、量産初号機(90席級)を当初「13年」に納入することを目指した。しかし、機体を一から手掛ける経験不足などから開発が遅れ、納入時期を6回にわたって延期し、今年2月に「21年度以降」へ先送りした。
三菱重工は5月、スペースジェットに投じる21年3月期の開発費を前期比ほぼ半減の約600億円とし、米国市場向けに検討していた70席級の開発の凍結を表明した。開発を担当する子会社、三菱航空機(愛知県豊山町)では従業員をほぼ半減し、縮小した体制で90席級の型式証明取得を目指している。
JIJI Press