
フランク・ケイン
ドバイ:石油生産国で構成されるOPECプラスのエネルギー相は、COVID-19の感染者数が世界的に急増する中、世界的な需要の不確実性を考慮し、歴史的な原油生産量の削減をさらに延長するかどうかを検討している。
サウジアラビアとロシアの2大生産国が率い、23か国からなるOPECプラスの政策立案者は、来月から日量200万バレルの原油を追加で世界市場に投入するかどうかを決定するために、今週開催される石油輸出国機構の重要な全体会合を前に協議を行ってきた。
原油取引の専門家は、世界経済の先行きが不透明な状況が続いていることを考慮して、現在の削減量(日量約770万バレル)をさらに延長する可能性が高いと述べた。
世界的な原油トレーダーであるビトル社のアジア事業責任者、マイク・ミュラー氏は、コンサルタント会社Gulf Intelligenceが主催したフォーラムで、「市場のコンセンサスは、全面的な引き上げを見送るだろうということだ。問題は、それが3か月なのか6か月なのか、どのくらいの期間見送られるのかということだ」と述べた。
サウジアラビアのエネルギー相でOPECプラスの閣僚委員会の委員長を務めるアブドルアジズ・ビン・サルマン王子は、経済の不確実性と脆弱な石油需要の伸びを考慮して、現在のスケジュールの「微調整」を検討する意向を示している。
OPECプラスの政策立案者の予測は、最近の原油価格の大幅な上昇によって複雑になっている。世界的な指標であるブレント原油は先週、3週連続で上昇し、1バレル48.27ドルとなった。
原油価格の上昇は世界市場の需要拡大を示唆しているため、昨年4月に合意した供給量回復のスケジュールをOPECプラスが断念する理由が少なくなった。昨年4月には一部の価格がマイナスの領域に転落して危機的状況に陥っていた。
一方で、OPECプラスの中には、パンデミックのロックダウンによる影響で経済が疲弊しているため、輸出量の増加に意欲的な国もある。
ナイジェリアは、OPECプラスのルールは加盟国の経済状況を考慮したものであるべきだと主張しているが、サウジアラビアはこの考え方に反対しているとみられている。それは、その他の国が「例外的な状況」を主張する道を開くことになり、OPECプラスの団結力と信頼性が損なわれるからだ。
イラクは今年、OPECプラスの制限を満たすのに苦労した生産国の1つであり、土曜日にはイラクのイフサン・ジャバー石油相が、原油価格に打撃を与えることのないよう、現在の上限に従い、上限の免除を求めないと述べたと地元メディアが報じたことで、OPECプラスの後押しとなった。
削減の延長とその期間を決める上で重要なのは、今年の春に原油価格が不安定になって以来、連携して行動してきたサウジアラビアとロシアの関係だ。
OPECプラスの閣僚会合に先立って行われたモスクワからの報道によると、ロシアは現在の削減量を3か月間延長することを希望しているという。