
ニューヨーク:ドイツのバイオエヌテック社(BioNTech SE)の最高経営責任者は、同社とそのパートナーのファイザー社のコロナウィルス(COVID-19)用ワクチンが米国で使用認可されたことを受け、両社が現在直面している最大の課題は、膨大な需要を満たすために製造規模を拡大することだと述べた。
ウール・シャーヒン氏はロイター社のインタビューで「我々は製造面での課題を解決しなければなりません。もっと多くのワクチンが必要なのは明らかです。我々は現在この課題、つまり、より多くのワクチンをどうすれば製造できるかということについて模索中です」と語った。両社は最大10億3000万本のワクチンを来年製造する予定と述べている。
英国が今週初めにワクチンの接種を世界で初めて臨床試験以外で開始した後、米国の食品医薬品局(FDA)が金曜日にワクチンの緊急使用を承認した。
シャーヒン氏が言うには、両社のワクチンは今月末までに欧州医薬品庁の条件付き認可を得ることが予想され、来年初めには欧州諸国でワクチンの供給を開始できることを期待しているとのことだ。
供給を加速するために同氏が期待する一つの方法は、バイオエヌテック社がノバルティス社(Novartis AG)から購入したドイツ・マールブルクにある工場(年間7億5000万本のワクチンを製造可能)を、予定を前倒しして稼働させることだ。
バイオエヌテック社は2021年の上半期にこの工場でのワクチン製造を開始する予定と述べており、シャーヒン氏は同工場の迅速な稼働に向けて取り組んでいると語った。また、同氏は「基本計画は10億3000万本のワクチンを製造することです。そのために現在我々は計画を拡張して業務にあたっています。何が可能で、弊社がどれだけ規模を拡大できるかについて、今のところお伝えできませんが、大幅な拡大に努める意向です」と述べた。
人口約3億3000万人の米国では、ワクチンの供給は当初制限される。米国政府は2回の接種を必要とするこのワクチンを1億本発注したが、さらなる供給について交渉する可能性がある。
ファイザー社の取締役およびFDAの前長官であるスコット・ゴットリーブ氏は、同社はつい先月、米国政府にワクチンのさらなる販売を申し出たが、却下されたとCNBCのインタビューで語った。
今週リリースされたデータでは、ファイザー社とバイオエヌテック社のワクチンを接種した人に2回目の接種を受ける前でも防御作用が出始めたことが両社によって報告されている。1回目の接種から約12日後に効果が現れ始めた模様とのことだ。
シャーヒン氏はこのデータに驚いたと述べ、「免疫反応は2回目の接種後に大幅に増加することが我々には分かっています」と語った。
ロイター