
フランク・ケイン
ドバイ:サウジアラビアは、世界の数カ国が再びパンデミックによるロックダウン状態に入ることで年初の需要見込みに影響が出ることを鑑み、OPEC プラス加盟国に対して石油市場の方針を「警戒心と責任」を持って遵守するよう要請した。
サウジアラビアエネルギー相アブドゥルアジズ・ビン・サルマン皇太子は、新年度を迎えたOPEC プラス月例会議の初回で、「世の中の不確実性は当分高いままだ」と発言した。
彼はこう言う:「コロナ感染症の新変異種出現は予測のつかない展開であり、懸念材料と なっている。世界各地で感染率が深刻な増加傾向をたどっており、新たなロックダウンや規制が課せられようとしている。これによってそれらの国々の経済回復のスピードに間違いなく影響が出る」
「したがって、過去1年間に我々が一丸となって達成した成果を当然のこととは思わないでほしい。一瞬にして消える幻のような利益のために、我々が達成したもの全てに対するリスクを取るようなことはしないでいただきたい」と彼は言い添えた。
その会議では、今月のOPEC プラスの50万バレル増産と同レベルの増産を2月にも行うかどうかがを検討された。一部の石油輸出国は、最近の石油価格の値上がりによってある程度増産する余裕が出たと主張していた。
皇太子が話をしている時点で、世界的ベンチマークのブレント原油は1バレル$52.47がついており、パンデミックが世界のエネルギー需要を低迷させる前の昨年3月以来の最高値近くとなっていた。
昨年4月の歴史的協定で史上最大の供給削減を行い、その時の条約に則れば産油国は2021年の年頭から1日200万バレルの増産を実施することになっていた。しかし、主としてサウジアラビアの要請により、OPEC プラスは200万バレルの増産をそっくり延期し、その代わりに月に一度市場の状況を調査することになった。
「我々の協働アプローチによって、昨年の大打撃からようやく世界の石油市場を再び均衡させられるようになってきた。しかし、トンネルの先にやっと光が見えてきた今、誘惑に駆られて我々の固い決意を緩めるようなことはどんなことがあっても避けなければならない」と皇太子は言う。
サウジアラビアの警告は、石油輸出国機構(OPEC)のムハンマド・バルキンド事務局長に よっても繰り返された。彼は2021年の石油需要の見通しは「様々な要因の混在する」もので、「なんとかやりくりするにしても非常に多くのリスクがあることに変わりはない」と述べている。
アブドゥルアジズ皇太子はこの不透明な予測について強調する。「世界の石油需要は昨年初頭に比べて今なお低くなっている。交通機関用燃料の需要、特に航空機燃料の需要が極めて落ち込んでいる」
OPECプラスには、生産量を増減させる以外に、もう1ヶ月間現在と同レベルの生産量を維持するという選択肢もある。
「先月の会議で合意されたように、我々は世の中の動きに柔軟に対応し、必要な調整を行いながら市場のニーズに応えていく必要がある。あらゆる手を尽くして完璧なコンプライアンスと完全な報酬の両方を達成させなければならない」と皇太子は語る。