
富士フイルム子会社の富士フイルム富山化学(東京)は21日、新型コロナウイルス感染症の治療薬候補「アビガン」の臨床試験(治験)を国内で開始したと発表した。昨年10月にコロナ治療薬として承認申請したが、厚生労働省は有効性を判断するのが困難として、継続審議としていた。富山化学は対象者を変えて再治験を行い、承認に必要な追加データを提出する。
今回の治験は、「第3相」と呼ばれる最終段階の治験。症状が出てから72時間以内の重症化リスクのある50歳以上のコロナ患者、約300人を目標に実施し、10月末の終了を予定する。
富山化学はコロナへの有効性を確かめるため、昨年3月に国内で治験を開始。重篤ではない患者を対象に、症状の早期改善に一定の効果があることを確認していた。
コロナ治療薬をめぐっては、「レムデシビル」「デキサメタゾン」が国内で承認されている。アビガンも、同意した患者に投与する「観察研究」として既に一部で使われているが、再審査を経て承認されれば、さらに幅広い医療機関で使える可能性がある。
JIJI Press